1.目的と効果
この発明は、ニッケル−クロム合金表面の平坦性を向上させることにより、耐食性を改善し、水、ガス、細菌などの吸着が少なく清浄性において格段に優れた表面を形成させた材料およびその作製方法に関するものです。真空容器に適用した場合には、容器内壁の水やガス吸着サイトが少なく、容易に超高真空環境を得ることが可能になります。また、原子レベルで平坦な表面には細菌が付きにくいため、エアコン、空気清浄器など、細菌発生を嫌う機器用の材料表面に効果的です。
[適用分野]
● 耐食性材料
● 超高真空容器
● 清浄な配管材料
● エピタキシャル成長基板
2.技術の概要、特徴
空気酸化膜や汚れを溶液中で電気化学的に除去した直後にニッケル−クロム合金のバルク材料や薄膜を不働態化させて、合金表面に原子レベルで平坦なテラス構造を構築させる表面処理方法です。不働態化に適した電位は合金のクロム濃度によって異なり、クロム濃度が低いほど、高い不働態電位に設定する必要があります。この方法で作製すると中心線表面粗さRaが1 nm以下または最大高さRmaxが3 nm以下の平担面を得ることができます。原子レベルで平坦なテラスの成長にはある優勢な方向があり、テラス幅は5 nm程度ですが、テラスの長さは40 nm以上に達する場合もあります。
この発明は、一般構造材料だけでなく、機能性膜の下地層として使用されるニッケル−クロム合金の表面平坦性と耐食性を向上させる技術としても有効で、原子レベルで平坦な表面を用いることによってその上に積層されるコバルト基磁気記憶媒体の結晶性が向上することに繋がります。
3.発明者からのメッセージ
原子レベルで平坦なテラスの幅を15 nm以上に拡張することが課題ですが、数10 nmに達するテラスの長さは十分有意な広さとなっており、耐食性や清浄性ばかりでなく、エピタキシャル成長基板や原子レベルの表面反応基板としても期待されます。
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Ni-10at%Cr合金の原子レベル平坦化表面 |
原子レベルで平坦な表面を有するNi-21at%Cr合金のステップ−テラス構造 |


