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炭素鎖の伸びたヒドロキシカロチノイドの微生物生産

 − カロチノイド系色素の製造方法 −

特許 第3796540号(出願2002.3)
関連特許(登録済み:国内1件)

1.目的と効果

 カロチノイド系色素は、人体に悪影響を及ぼす活性酸素の除去や、抗腫瘍性、老化防止効果を示すことが知られており、食物からの摂取不足を補うための健康食品やサプリメントが市販されています。しかし、カロチノイドの基本骨格は不飽和炭化水素鎖で、親油性が高く用途制限もありました。水酸基の結合したカロチノイドは、水系溶媒への分散性が向上することから、利用価値が高くなります。また、網膜など動物組織での重要な役割が知られています。

[適用分野]
 ● 機能性食品・サプリメント
 ● 研究開発用試薬

2.技術の概要、特徴

 沿岸海水から分離したオーレオバクテリウム(FERM P−18698)を、液体培地を用いて培養することで、ヒドロキシカロチノイドであるデカプレノキサンチンが菌体内に生産・蓄積されます。本菌株は通常の培養装置により好気的に培養できるので、生産から分離精製まで特殊な操作を必要としません。グルコースなど一般的な糖類は生産性向上に効果が認められませんでしたが、希少糖のプシコースを培養液に添加すると4割程度向上します。
 生産される色素は単一の化学構造(図1)で、凍結乾燥した菌体から有機溶剤抽出、および、クロマトグラフ精製などにより高純度試料が得られます。図2は、抽出色素のシリカゲル薄層クロマトグラフでの分離例です。基本骨格はカロテンの両シクロヘキセン環に側鎖が結合したもので、炭化水素鎖の全長は生体膜の構成脂肪酸二分子に相当します。両末端に存在する水酸基により、生体膜の基本構造である二分子膜を貫通し、また、膜面に垂直に配向していると推測されます。このことから、評価技術の開発があまり進んでいない生体膜類の分子配列や相転移挙動など、機能解明用試薬類への応用が見込まれます。

3.発明者からのメッセージ

 他色素に対するデカプレノキサンチンの優位性解明は進んでいるとは言えませんが、両末端の水酸基を介した機能性分子の結合などによる用途拡大が期待されます。また、使用した菌株は色素とともに、グルコースとマンノース、および飽和脂肪酸2個が結合したグリセロ糖脂質(特許第3796539号)を生産します。グリセロ糖脂質類はノニオン性で、温和な界面活性作用を示すことから、環境負荷の少ない界面活性剤としての応用が可能です。
 図1

図1 デカプレノキサンチンの化学構造
(カロテンの両シクロヘキセン環に側鎖を介して水酸基が結合)

 図2

図2 抽出色素のシリカゲル薄層クロマトグラフ
(黄色のスポットがデカプレノキサンチン、白色および青色のスポットは膜脂質類)


健康工学研究センター
PDF(255KB:産総研 TODAY Vol.8 No.04 p.32)

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