1.目的と効果
道路の橋脚や航空機のような構造体の定期点検には、打音検査、超音波探傷、蛍光探傷など熟練者の勘にたよる検査法が用いられています。このような方法では、不確かさに加え天候や時間にも影響されるという欠点があります。発明者らは、先に、樹脂製フィルム上に複数の圧電センサを配置した損傷センシングシートを提案してきました(関連特許:特許第3459982号)。ここで紹介する技術は、これを改良し、損傷による信号をキャッチするだけでなく、1つのセンサから診断信号を発信してほかのセンサでその信号を受信し、構造体に発生した損傷を見極める方法です。[適用分野]
● 構造体・車体の損傷検知装置(高速道路の架橋や支柱などの鉄骨構造体、航空機や車両・車体など、センサを埋設できない構造物や稼動している部材における損傷検知)
2.技術の概要、特徴
本発明は、超音波の発振と検知を兼ねた損傷センシングシートです。構成は図1にあるように、 弾性波の発生と検知を兼ねた複数の圧電センサとセンサ信号を伝達する電極を設けた樹脂フィルムからなります。このシートには当該樹脂フィルムの外面側に粘着層を形成し、一体(シート状)もしくは分割して(パッチ状)貼り付けることができます。損傷センシングシートを用いて、被検査体である構造体の損傷を検知するには、その構造体にシートを貼り付けたり埋め込んでおき、1つのセンサに電圧を負加して発振させ、ほかのセンサで発振に伴って発生する超音波を検出します。例として図2にセンサ1から発信した超音波をセンサ2〜4で受信した波形を示します。超音波の伝播経路に損傷がない場合にはセンサ1からの距離に応じた応答遅れが現れ、最も遠いセンサ3の応答が遅くなっていることが分かります。実際の点検では、超音波の発信と受信を行い図2にあるようなデータを記録して、伝播状態の変化により構造体内外部の損傷を検出することになります。3.発明者からのメッセージ
本発明に係る損傷センシングシートは被検査体に貼り付けるだけで使用できるので、鉄骨構造体や車体などセンサを埋設できない構造物や、供用中の施設にも適用できます。特に、本損傷センシングシートは、被検査体への取り付け作業性・密着性に優れているため、複雑な形状の被検査体に簡単に取り付けることができます。また、過負荷や衝撃によりセンサが故障した場合でも、その修復には故障したセンサを含むシートを交換するだけでよいので、利便性の極めて高いものと考えています。
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図1 損傷センシングシートによる計測模式図とセンサ部 |
図2 センサ1から発振した超音波を |

