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超音波を用いた非接触マイクロマニピュレーション技術

 − 媒質中の微小物体を超音波を用いて非接触で捕捉し移動させる

特許 第2990273号(出願1998.11)
関連特許(出願中:国内1件)

1.目的と効果

 マイクロマシンやバイオテクノロジーなど様々な場面で、微小物体を非接触で操作する技術が求められています。超音波の定在波音場中では、波長に比べて十分に小さな微小物体を音圧の節に捕捉することが可能です。また、音場を制御することにより、捕捉された微小物体を非接触で操作する、超音波非接触マイクロマニピュレーションが実現できます。

[適用分野]
 ● マイクロマシンやバイオテクノロジーなどにおける微小物体を対象とするマイクロマニピュレーション技術、液体中に懸濁した貴重な粒子の回収や、工場廃液中の固形分の分離技術等。

2.技術の概要、特徴

 超音波には音響放射圧と呼ばれる力があり、非接触で音場中の物体に力を作用させることが可能です。また、異なる方向から同一周波数の音波を干渉させると、定在波音場が形成されます。定在波音場中では等間隔で音圧の節と腹が存在し、媒質と音響特性の異なる固体の微小物体は一般に音圧の腹から節に向かう力を受け、音圧の節に捕捉されます。そして、音波を制御することで音圧の節の位置を移動できるため、音圧の節に捕捉された物体を非接触で操作することが可能となります。

 図1は、水中で3方向から同一周波数の超音波を重畳して生成させた定在波音場中で、各音波の位相を制御することで音圧の節に捕捉した微小物体を移動できることを示しています。図2は、振動子(左)と反射板(右)の間に生成される定在波音場を用いたフィルタリングの例です。水中で上部より投入した懸濁液中の粒子は、音圧の節の層に捕捉されます。そして、周波数を高速で変化させることで音圧の節の位置を移動させ、下部に流れ落ちる間に粒子を右側に寄せられることを示しています。すなわち、流体中を流れる固体粒子を、超音波を用いて濃縮することが可能となります。

3.発明者からのメッセージ

 超音波洗浄器を使っていると、気泡や微細なゴミが定位置に捕捉されていることがあります。これは、定在波音場中の音圧の節や腹に、物体が捕捉されている現象です。音場を変化させることができれば、捕捉されているものを自由に動かせると思い、本技術を発明しました。

 図1
図2

図1 微小物体の2次元マイクロマニピュレーション(上:音圧分布のシミュレーション、下:実験写真)

図2 超音波フィルタリング(左:模式図、右:実験写真)


先進製造プロセス研究部門
PDF(280KB:産総研 TODAY Vol.8 No.02 p.26)

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