1.目的と効果
多機能セラミックス「チタンシリコンカーバイド」の高純度バルク材の合成技術を提供します。チタンシリコンカーバイドは、高剛性(ヤング率320 GPa)、高強度(4点曲げ強度260〜330 MPa)、耐酸化性(〜1000 ℃)を示しながら、金属導電性による鉛なみの導電率(4.3×106 Ω-1m-1)、グラファイトなみの切削加工性、チタン酸アルミニウムを超える耐熱衝撃性(ΔT=1400 ℃)とナイロンなみの制振能を示す多機能セラミックスです。[適用分野]
● 高温酸化雰囲気や酸・アルカリ溶液などの過酷な環境下で使用する電極
● 過酷な環境下で使用する治具類・制振材
● 生体材料、バイオセンサー
2.技術の概要、特徴
原料のチタン粉末、シリコン粉末、炭化チタン粉末を混合し、ホットプレスの一種であるパルス通電加圧焼結法(図1)を用いて焼結(1350 ℃, 50 MPa, 20 min)することにより、短時間で高純度(98 vol%以上)・高密度(相対密度※99 %以上)のバルク材を合成します。この処理は、合成と焼結緻密化が同時に行える省プロセスでもあります。合成されたチタンシリコンカーバイドは、切削加工性を低下させる炭化チタンの含有率が 2 %以下で、合成後、高速度鋼製の切削工具で容易に精密加工が可能です(図2)。関連技術として、高純度のチタンシリコンカーバイド粉末の合成技術も開発しています。チタン、シリコン、炭化チタンの混合粉末を真空中で加熱(1400 ℃, 2h)することにより、98 vol%以上の純度のチタンシリコンカーバイド粉末を合成できます。合成粉末は容易に微粉砕できるため(図3)、微粉末に有機バインダなどを添加してペースト状にすることが可能です。また、チタン粉末、炭化ケイ素粉末、グラファイト粉末を混合後、プレス成形し、これを真空中で加熱することにより、純度 98 vol%以上、相対密度 97 %以上のチタンシリコンカーバイドバルク材を合成することもできます。
3.発明者からのメッセージ
チタンシリコンカーバイドの導電性は金属導電性(自由電子による導電)です。これまで導電性のマシナブルセラミックスがなかったので、ガラス状カーボンに代わる半導体製造用治具材料への利用が考えられます。また、高剛性でナイロンなみの制振能を示す材料として、振動する高温の重量物の防振台などへの適用も期待でき、このような機能を活かした実用化への協力を求めています。- 用語説明
※相対密度:材料が完全に緻密な場合の理論的な密度に対する実際の密度の比をパーセントで表したもの
![]() 図1 パルス通電加圧焼結法による合成 |
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図2 チタンシリコンカーバイドは、切削工具で容易に精密加工が可能 |
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| 図3 合成された高純度のチタンシリコンカーバイド粉末を微粉砕したもの | |



