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気相OHラジカル反応の反応速度を測定する方法

 VOCの環境影響評価に資する −
特許 第3837492号 (出願2002.2)

1.目的と効果

 揮発性有機化合物(VOC)およびその分解生成物の環境影響を評価するためには、大気中におけるVOCの主要な分解経路であるOHラジカルとの反応を調べることが不可欠です。しかし、従来法では生成するOHラジカル濃度が低く、測定が不可能な化合物が多数ありました。そこで、私たちはOHラジカルを高濃度で生成する方法を開発し、反応速度の測定下限を2桁向上することに成功し、広範なVOCについて信頼性の高い環境影響評価を可能にしました。

[適用分野]
 ● 大気化学
 ● 大気環境影響評価

2.技術の概要、特徴

 今までの方法は、反応開始前に測定対象物質とOHラジカル発生源となる物質(オゾンおよび水)を反応容器に導入し、低圧水銀灯などの光でOHラジカルを生成していました。オゾンが光分解で消費されると共に生成したOHラジカルは、オゾンとの反応でも消費されるため、OHラジカルの濃度が時間と共に急激に減少するという問題がありました(図1)。そこで私たちは、光分解に相当する量のオゾンを連続的に導入することで、オゾンとOHラジカルとの反応を抑え、時間的に一定かつ高濃度でOHラジカルを生成する方法を開発しました(図2)。従来法ではOHラジカルの濃度が低いため、測定対象物質(CHF3)はほとんど減少しませんが、この方法では従来法よりもOHラジカル濃度が平均で100倍も高いため、CHF3は充分に減少します。このため、測定時間の短縮とともに、測定精度も2桁向上し、世界で最高の測定精度を実現しました。

3.発明者からのメッセージ

 私たちは、この方法を用いて、民間受託研究、共同研究およびNEDOプロジェクトなどの課題で多くのVOC化合物とOHラジカルとの反応速度や、分解生成物を測定し、温暖化影響評価を行ってきました。この結果に基づいて製品化された化合物もあります。

図1

図2

図2 オゾン連続添加法装置

図1 OHラジカル、オゾンおよびCHF3の濃度変化。太線が今回開発した方法、細線は従来法。


環境化学技術研究部門環境管理技術研究部門
PDF(928KB:産総研 TODAY Vol.7 No.12 p.26)

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