1.目的と効果
赤外放射計測機器が電磁波を受けた場合、誤動作なく作動するかどうかの適合性の評価をすることを目的として、参照熱源とその試験方法を開発しました。一般的な参照熱源は、金属製の材料や電気ヒーターなどで構成された黒体炉のため、的確に電磁波試験を実施するのは不可能でしたが、金属材料や電気回路を使用しない参照熱源を開発することにより、電磁波試験の実施を可能にしました。[適用分野]
● 電磁波試験
● 赤外線式体温計
● 黒体炉
2.技術の概要、特徴
一般に、赤外放射計測機器用の参照熱源には、金属製の高放射率の黒体空洞を使い、その黒体空洞を電気ヒーターなどで温度制御する「黒体炉」が使われています。このように構成された黒体炉システムは、高い温度安定性・信頼性を持っているのですが、電磁波試験を行う場合には黒体炉システム自体がその電磁波を乱してしまいます。さらに、試験に用いる電磁波の影響により、黒体炉の正常な温度制御が困難となるケースも想定され、赤外放射計測機器を正しく評価することができなくなります。そこで、金属材料や電気回路を使わず、構造材料として透明樹脂を採用した参照熱源を開発し、動作中の赤外放射計測機器の電磁波試験を可能としました。使用する樹脂材料は、可視光領域では光学的に透明ですが、赤外放射計測機器が観測する熱赤外波長域では吸収が強く、放射率が高いという特徴を持っています。また、本参照熱源は水やオイルなどの液体を熱媒体とした精密な循環恒温槽装置と組み合わせて温度制御を行っています。これにより、37℃相当の輝度温度において、50 mK以下の温度安定性を容易に実現することができます。3.発明者からのメッセージ
赤外線式(耳式)体温計に対して、電磁波試験の実施は非常に重要です。日本をはじめ、ヨーロッパ、米国の規格では当試験を必須としています。さらに、今後、当試験法はISO規格にも、盛り込まれる予定であり、世界的に必要な条件となります。従って、この発明は有用性が極めて高いものです。 ![]() |
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熱媒体の流れ |
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参照熱源の外観とその温度分布 |
赤外線式体温計における電磁波試験の風景 |



