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疑似エピタキシャル成長基板

 − 異種材料基盤上での高品質な単結晶薄膜の成長を可能に −

特許 第3834608号(出願2001.4)

1.目的と効果

 高機能な半導体エレクトロニクス素子には単結晶薄膜が多く用いられます。薄膜は何らかの基板に支えられることが必要で、その基板の結晶格子をテンプレートとしていわゆるエピタキシャル成長をします。必要に応じて薄膜と異なる材料を基板にしますが、その場合には、格子定数の違いが薄膜結晶に欠陥を招いて品質を悪くします。この特許の方法では、基板と薄膜との界面にのみ欠陥を閉じこめて、応力やひずみのない単結晶薄膜の成長を実現します。

[適用分野]
 ● 半導体電子材料の製造

2.技術の概要、特徴

 図1は、 表面が正確に(001)結晶格子面になっているGaAs基板の上に蒸着したCu薄膜をX線回折の極点図法で観測したものです。薄膜の結晶軸が基板結晶格子の方位にならって基板表面に垂直に立っていれば中心に1つだけ斑点が現れるはずですが、この例では、基板の対称性に従って4つに分裂し、それらの軸の方向が、垂直から一定の角度に傾いていることが示されています。

 この特許の方法では、この現象を逆に利用して、目標とするエピタキシャル薄膜の結晶格子方位に対して基板の結晶格子が傾斜整合する角度に基板表面を切り出しておくことによって、基板表面に垂直な方向に軸方向をもった単一領域のひずみのない薄膜の成長を可能にします。図2は傾斜整合の原理を説明するために、基板と薄膜との界面の状態を模式的に示したものです。基板表面の傾斜による周期的ステップに転位を誘引することによって、両材料の結晶格子定数の違いから生じる内部応力を緩和して疑似エピタキシャル成長を実現します。

3.発明者からのメッセージ

 薄膜と基板、それぞれの材料が決まれば傾斜角を決めることは容易ですが、実際に薄膜を成長させる条件は材料の種類によって異なりますから、材料の組み合わせごとに実験によって技術を確立する労力は必要です。

図1
図1 結晶格子面が傾斜して成長した薄膜の観測例

図2
図2 傾斜整合による疑似エピタキシャル成長の仕組み(J. Appl. Phys. 79 (2001) 608, A.Yamada et al.)

太陽光発電研究センター
PDF(880.9KB:産総研 TODAY Vol.7 No.9 p.19)

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