1.目的と効果
細胞、ウイルスなどで生じる膜融合を検出し解析するために信頼性の高い方法を開発しました。リポソームなどの人工膜において生じる膜融合の解析にも利用できます。2波長の蛍光画像を用いることによって、顕微鏡画像の上で膜融合の発生領域を異なる色で表示できるようにしたため、融合した膜と融合していない膜とを明確に識別できます。[適用分野]
● 細胞機能解析
● 抗ウイルス剤スクリーニング
● 遺伝子治療・DDSベクターの評価
2.技術の概要、特徴
膜融合は細胞による物質生産、物質輸送、情報伝達といった生命活動を支える重要な機能の1つであり、また、ウイルスの細胞感染でもウイルス膜と細胞の膜の融合がウイルス侵入のキー・ステップとして働いています。膜融合は遺伝子治療やDDSベクターの基本原理としても注目され、人工膜リポソームと細胞との膜融合技術の応用開発が進んでいます。これまで膜融合の測定によく用いられてきた方法は蛍光自己消光解消法と呼ばれるもので、解析対象の膜を蛍光脂質プローブで標識し、他の膜と融合したときに蛍光強度が増すことを測定します。この方法を顕微鏡に応用して顕微鏡画像上の蛍光強度分布を追跡すれば、細胞集団の中から膜融合した細胞を見いだしたり、細胞の内部で膜融合の発生領域を検出したりすることが可能と期待されます。しかし、顕微鏡画像上の蛍光強度は細胞の膜の形、集合状態や位置の変化などによっても影響されるので、蛍光強度分布の変化すべてが膜融合を示すとは限りません。ウイルス粒子やリポソームの細胞内動態を追跡し膜融合を検出しようとする場合にも同様の問題があります。顕微鏡画像上で膜融合を他の現象とは区別して検出しようという課題を2波長蛍光イメージングによって解決しました。膜融合が発生したときに蛍光脂質プローブの蛍光が変化しない波長と蛍光が明るくなる波長を利用し、これら2波長の画像データ間の演算処理を行います。そのことによって、例えば、融合した膜を緑色に、融合していない膜を赤色に、というように互いに異なる色で表示して、膜融合の発生領域を他から明確に識別することができます。細胞機能解析、抗ウイルス剤スクリーニング、遺伝子治療・DDSベクターの評価などにおいて、膜融合を明確に識別する信頼性の高い方法として役立ちます。3.発明者からのメッセージ
細胞内カルシウムイメージングで普及してきた2波長蛍光イメージングを、新たに細胞、ウイルス、リポソームなどの膜融合の分野で実現しました。この技術の活用を検討したい方々からの連絡をお待ちしています。 |
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膜融合により蛍光脂質プローブの蛍光が変化しない波長と蛍光が明るくなる波長
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膜融合検出の例:細胞内に侵入したウイルスの膜融合を蛍光色の変化で検出(エンドソーム膜との融合) |

