1.目的と効果
原子間力顕微鏡による試料表面観察にはカーボンナノチューブ (Carbon Nano Tube:CNT)を取り付けた探針(CNT探針)が広く使われています。CNTは機械的強度があり、壊れにくいのですが、基礎となるシリコン製探針はもろく、また既存のCNT探針では、CNTが摩耗して所定の性能がでない場合、その判断が困難という欠点がありました。そこで、壊れにくく、かつ所定の性能が得られなくなった際、交換タイミングが明確であるCNT探針を発明しました。[適用分野]
● 走査型プローブ顕微鏡による試料表面の観察
2.技術の概要、特徴
CNT探針は、シリコン製探針にCNTを取り付けた構造になっており、位置分解能が高い特徴を持ちます。CNT自身は機械的強度が高いのですが、シリコン製探針はもろいため、試料と強く衝突した際に壊れてしまい、先端のCNTごとなくなってしまうという欠点がありました(図1)。また、CNTは徐々に摩耗し所定の分解能が得られなくなったとしても、その判断は非常に難しい。CNT探針で観察しているつもりでも、実はベース探針で観察していたということにもなりかねません。この発明は、衝撃に強く、また性能劣化による交換タイミングを明確にするCNT探針とその製造方法を提供するものです。シリコン製探針の先端をスパッタ法で丸め、それをベース探針としCNTを取り付けるという工夫をしました。ベース探針は、丸めることにより機械的な衝撃に強くなり、CNT探針の長寿命化を実現しました。また、ベース探針を鈍化したことにより、CNTが摩耗してなくなったときには、ベース探針で表面を観察することになり、極端な位置分解能の低下が観察されるため、不慣れな人にもCNT探針の交換時期が明確になります。
3.発明者からのメッセージ
既存の探針先端をスパッタで削るだけなので、CNT探針の製造プロセスに大きな負担をかけることなく、付加価値を持ったCNT探針が製造可能です。![]() |
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図1 市販品(a)と本発明品(b)の場合での衝突時の比較図 |
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図2 本発明により作製されたCNT探針の電子顕微鏡写真
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