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塗膜形成によるシリカ厚膜の新製法

 − 従来困難だったゾル・ゲル法でのシリカ系厚膜作製 −
特許 第3733421号 (出願2002.3)

1.目的と効果

 ゾル・ゲル法によってシリカ・ベースの厚膜を作製することは、これまでかなり困難とされていました。膜を作製する際にSi-C結合を含む物質を添加せずに、「緻密性」「密着性」「柔らかすぎない」の条件を満たそうとすると膜厚の限界は1µm程度といわれ、Si-C結合を含む物質をたくさん添加しても、膜厚10µmを超えることは困難でした。
 この新技術は、Si-C結合を含む物質を多く添加せずに、10µmを超える厚膜を基板上に形成し、かつ基板との密着性・耐熱性に優れた、シリカを主成分とする塗膜形成用材料を提供するものです。

[適用分野]
 ● 様々な分野で用いられる各種基板(金属、ガラス、ポリマーほか)への、緻密性・密着性のあるシリカ・ベース厚膜に適用できます。ミクロ/メソ(あるいはナノ)構造の導入も可能と思われます。

2.技術の概要、特徴

 TEOS(テトラエチルオルトシリケート)などのシリコン・アルコキシドに、PDMS(ポリジメチルシロキサン)を少ない重量割合で添加し、水分は人為的には添加せず、120〜200℃程度で加熱すると、ほぼ無色透明で やや粘性のある液体が得られます。これを基板に塗布した後、加熱し、制御された雰囲気に曝すなどの処理をすることで厚膜が形成されます。必要に応じて、Si-C 結合を多く含まない有機物(例えば脂肪酸など)、粉末など(例えば石英粉末)を添加することができます。条件を選べば数mm厚のものも作れます。適用できる基板の種類は多様で、金属、ガラス、セラミックス、ポリマーなど、ほとんどあらゆる基板上にシリカ膜を形成できます。多くの場合、基板の湿気を取り除いたあと、塗布・製膜を行うのが好ましく、また、多くの場合、製膜段階で湿雰囲気に曝すことで、しっかりした膜が得られます。条件によって、持続する強い撥水性を持たせることも可能です。詳細な最適条件はケースバイケースです。

3.発明者からのメッセージ

 TEOSとPDMSとは反応しないように思えますが、フラスコ中で混合して加熱すると、粘性の上昇など、確かに変化が起こります。精密な条件下での実験を行い、現象を解明することは興味深いことです。密着性の発現機構の解明も重要です。

図1 図2
図1 アクリル基板上に、最適ではない条件で厚膜を作製し、一部剥離したもの。付着している部分は、基板とシリカ膜の間に薄い中間層のようなものが形成されている。

図2 標準的な処理フロー(混合比、加熱などの条件は様々)



環境管理技術研究部門
PDF(909.1KB:産総研 TODAY Vol.7 No.3 p.22)

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