1.目的と効果
機能をそこなわないために120℃以下に保つ必要があるピエゾ素子上に、駆動用電極保護の目的で高絶縁膜を形成するためにPVDやCVDの低温下での高絶縁膜形成方法を開発しました。製品の量産を最も低コストで行えると考えられる簡便なCVD法を考案し、120℃よりも更に低温の基板上でも、高絶縁膜の形成に成功しました。この方法は絶縁膜に限らず、一般的に低温基板に低コストで機能性膜をコーティングできる方法です。[適用分野]
● 高絶縁膜、各種機能性膜の低温コーティング
2.技術の概要、特徴
この方法は熱フィラメント(触媒体)などで原料ガスを熱分解して基板上に堆積させる時、グロー放電を起こして基板に向かって運動するイオンを堆積している粒子と堆積しつつある粒子に衝突させて適当な運動エネルギーを与えることで、膜の緻密(ちみつ)性と基板と膜の密着力を同時に増加させて良好な機能性膜を形成するものです。熱分解しただけの粒子では運動エネルギーが小さいため低温基板上に堆積するとほとんど動かないので欠陥の多い膜になってしまいます。その時熱を与えると粒子の運動を促進するので、高温基板に成膜するのであればCat-CVD法で十分ですし、更に高温なら通常の熱CVD法で目的を達成できます。本法を用いることで、機能性膜の中でも特に条件の厳しい高絶縁膜を低温基板に形成できます。高絶縁の条件は、膜の一カ所でもピンホ−ルがあるとリーク電流が発生して満たされません。本法では、テオス(テトラエトキシシラン)、酸素、アルゴン、窒素等を用いて、105℃のシリコン基板(108Ω・cm以下)上にSiO2膜を形成し、銀ぺースト電極でも1013Ω・cm以上の比抵抗値を示しました。
3.発明者からのメッセージ
低温基板上に高機能性膜を形成する方法は、その困難性から大掛かりな装置を必要として生産装置の初期投資費用が高くなるのが普通でしたが、本法は極めて簡便な装置を使用するCVD法なので、初期投資額と生産コストの両方を極めて安価とすることができると考えられます。![]() |
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膜堆積法の概念図
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