1.目的と効果
高齢化とともにわが国でも問題となっている「アルツハイマー病」の発症原因と考えられているのは、β−アミロイドタンパク質という40から42残基のタンパク質です。これが多数会合することによって神経細胞に毒性を発揮すると考えられており、その会合を阻害できればアルツハイマー病の発症が阻止できる可能性があります。そこでβ−アミロイドタンパク質会合阻害剤を新規に設計・開発し、会合阻害活性及び神経芽細胞腫に対する毒性抑制効果を見出しました。[適用分野]
● アルツハイマー病発症予防
2.技術の概要、特徴
アルツハイマー病の発症原因と考えられるβ−アミロイドタンパク質は、その内部にKLVFF(Lys-Leu-Val-Phe-Phe)という特徴的なアミノ酸配列を持っており、この部分がβ−アミロイドタンパク質間の自己会合の際の重要部分であると考えられてきました。そして、この会合体形成がアルツハイマー病を発症させるという仮説が提唱されてきました(アミロイド仮説)。私たちは、このKLVFFという配列のC末端側に、エーテル結合を含む親水性のアミノカルボン酸を複数個(1〜6個)結合した分子を合成しました。このアミノカルボン酸の重合体は、ポリエチレングリコールの構造に類似しているため、親水性と生体適合性を併せ持つと考えられます。アミノカルボン酸の数をさまざまに変えたのは、親水性の度合いによって会合阻害効果に違いが現れるかどうかを調べるためです。結果としては、親水性部分が長いほど、会合体形成阻害活性及び細胞毒性阻害効果が高いことが判明しました。
3.発明者からのメッセージ
顕著に高齢化が進む日本社会で、アルツハイマー病の発症は今後ますます大きな問題となっていくと考えられます。私たちの合成したβ−アミロイドタンパク質会合阻害剤が基盤となり、アルツハイマー病の発症を抑える新薬が開発されることを願っています。![]() |
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β−アミロイドタンパク質会合阻害剤の構造
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