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PVAから炭素材料を製造する新方法

 −低環境負荷高分子材料の実用化に貢献−
特許 第3723844号 (出願2001.10)

1.目的と効果

 水溶性高分子であるポリビニルアルコール(PVA)は、溶液成型によって生じる廃液の処理に煩雑な工程を必要としないことから、環境負荷の小さい高分子材料と言えます。私たちは、PVAから望む形態を持った炭素材料を高収率で製造する簡便な方法の開発に成功しました。
 この方法では、PVAを比較的低温のヨウ素蒸気中において短時間熱処理した後、高温の不活性雰囲気において熱処理することによって、理論炭素化収率(54.5重量%)に匹敵する高い収率で炭素を製造できます。

[適用分野]
 ● 炭素繊維、炭素フィルムなどの各種炭素材料の製造

2.技術の概要、特徴

 PVAから炭素を製造する方法はこれまでにいくつか提案されていますが、いずれも長い工程を必要とすることや、炭素化収率が低いなどの問題をもっていました。今回開発した方法は、まずPVAを100℃程度のヨウ素蒸気中で熱処理し、つづいて高温の不活性雰囲気での熱処理を行うことによって炭素に転換します。ヨウ素蒸気中における熱処理によってPVAは耐熱性の高い化学構造に変化するため、炭素化過程において溶融することがありません。その結果、PVAの段階で賦与した形態を保持した炭素を得ることができます。
 ヨウ素蒸気中における熱処理が数時間程度と短くても、理論炭素化収率(54.5重量%)に匹敵する高い収率で炭素を得ることができます。毒性の低いヨウ素を用いる点も従来法に比べて有利です。
 また、この方法では、ヨウ素を収着させたPVAからなる偏光フィルムの製造装置を利用することができますが、この装置はすでに工業的規模で生産されているものであることから、実用化にも容易に対応できるという利点をもっています。

3.発明者からのメッセージ

 PVAからは繊維やフィルムだけでなく、単結晶や多孔性のゲルを得ることもできます。これらの材料にこの方法を適用することによって、高結晶性炭素や多孔性炭素を製造することを現在試みています。

図1
図1 ポリビニルアルコールから得られた極細炭素繊維織布の走査型電子顕微鏡写真

図2
図2 ポリビニルアルコールの不融化および炭素化機構


エネルギー技術研究部門
PDF(252.8KB:産総研 TODAY Vol.6 No.9 p.34)

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