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鉛を含んだガラスからの新しい鉛分離法

 − ブラウン管等の省エネリサイクルへ−
特許 第3663434号 (出願2001.5)

1.目的と効果

 鉛ガラスはブラウン管ディスプレイ等に広く利用されてきましたが、有害な鉛イオンを含むため、近年その廃棄処理が問題となっています。私たちは、高温高圧のアルコールで鉛ガラスを処理することによって、鉛成分がガラスの表面に還元されて濃縮された状態となることを見いだしました。これを利用した新しい分離法を使えば、ガラスを溶融する一般的な処理法より低温での処理が可能であり、新規な省エネルギー型処理プロセスとなることが期待されます。

[適用分野]
 ● 鉛を含むガラスの無害化処理および有効利用

2.技術の概要、特徴

 近年液晶テレビやディスプレイ等の普及に伴って、鉛ガラスを多用するブラウン管の廃棄量が大幅に増大し、その処理が問題化しています。鉛ガラスから鉛を分離する方法として、溶融後に還元する方法が主に検討されていますが、一般的には1200℃以上の高温が必要であり、多量のエネルギーを消費します。
 この新しい技術は、ディスプレイ等に使われる高品質ガラスのマテリアルリサイクルを検討した過程で見いだされたものです。280℃、10MPaのメタノールで鉛ガラスの粉末を処理すると、粉末の表面に金属鉛が濃縮されることを確認しました(図1)。液相のメタノールからは鉛成分は検出されず、有害な鉛成分が固相表面に止まっていることも特長です。なお濃縮された鉛は酸での洗浄等により溶出させることができます。
 高温高圧のアルコールは、シリカを含む金属酸化物と反応して、アルコールに可溶な金属アルコキシドを生成しますが、この反応と、メタノールの還元作用により、ガラス内部から鉛成分が移動し、還元されて表面に析出したものと思われます。

3.発明者からのメッセージ

 副次的に見いだされた技術であるため、詳細な検討は十分にできてはいませんが、省エネルギー型の鉛除去プロセス、あるいはマテリアルリサイクルの手法としてユニークな技術であると考えています。
 この技術に関しての共同研究、技術指導等が可能です。

図1
図1 鉛ガラス粉末(左)を280℃、10MPaの高温高圧メタノールで6時間処理した後の状態(右)


ナノテクノロジー研究部門
PDF(256.7KB:産総研 TODAY Vol.6 No.7 p.23)

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