1.目的と効果
揮発性有機化合物(VOC)による汚染が社会問題化する中で、揮発性有機塩素化合物(トリクロロエチレン(TCE)等)による土壌や地下水の汚染は特に深刻視され、環境測定の現場では簡便で高性能な環境測定用ガスセンサが求められています。そこで、水晶振動子と分解薬剤を利用したハイブリッドタイプの検出手法(ハイブリッド型QCM測定手法)を用いた新しいセンサを開発しました。この検出法によって、ppbレベルの環境基準の測定が可能になりました。
[適用分野]
● 揮発性有機塩素化合物(代表例トリクロロエチレン)等によって汚染された土壌や地下水の濃度測定ならびに汚染場所の特定調査
2.技術の概要、特徴
一般的に水晶振動子を利用した測定法(QCM)では、VOCガスを水晶振動子の表面で捉え、VOCガスによる水晶振動子の重量変化を発振周波数変化に変換して検知しますが、その場合、測定対象物質に有効な「検知膜」を使用します。しかし、ppbレベルの環境基準の場合、温度や特に湿度の影響を受けることが多く、現場環境で実用的に測定するためには、それらの対策を施す必要性があります。そこで私たちは、新たに測定対象物質に対して有効な分解薬剤を利用し、その反応生成物を水晶振動子の電極と直接反応させて検知する、「ハイブリッド型QCM測定手法」の開発を行いました。この手法は、湿度などの影響を受けにくく、かつ分解薬剤と反応しないガス(酸素や窒素等)の影響を受けないこと、誰にでも簡便に測定可能であるという特長を持っています。
この成果により、例えばトリクロロエチレンについては、大気環境基準(約37ppb程度)レベルの低濃度を測定可能としました。
3.発明者からのメッセージ
この測定方法は、揮発性有機塩素化合物(TCE等)ばかりではなく、分解薬剤を変えることによって揮発性芳香族化合物(トルエン等)も測定可能です。今後は、さらに他のVOCガスや重金属類に対しても有効な手法の研究開発を行っていきます。![]() |
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図1 基本的な検知原理図(左)と水晶振動子の外観(右上)
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図2 ハイブリッド型QCMによる測定例(TCEの場合)
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