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動くものの内部も撮れるX線CT

 − 高速撮影が可能にした移動体・変形体の内部スキャン −
特許 第3612553号 (出願2000.5)
関連特許 (登録済み:国内1 件・国外2件)

1.目的と効果

 X線CTは人体臓器や構造物など静止している物体の吸収係数分布を測定する装置ですが、撮像中に被写体が動いたり変形したりすると、再構成された画像には偽像(アーティファクト)が現れてしまいます。私たちは、流体などの移動体や変形体の内部構造を可視化するための高速スキャンX線CT(スキャン時間を従来の2桁以上短縮)によって画像の高精度化を実現する方法を開発しました。

[適用分野]
 ● 気液混相流や不透明液体の分布計測 ● プラント配管内流れの分布計測 ● 流動層装置
 ● 工業用非破壊検査

2.技術の概要、特徴

 移動または変形する被写体の速度が断層撮影のスキャン速度より大きいと、再構成された断層像にはアーティファクト(偽像)が現れ、画質の劣化につながります。CT装置のスキャン時間を被写体の動く時間に比べて十分短くすることができれば、被写体の内部をあたかも止まっているかのように断層撮影することができます。この装置は、複数のX線源と固定配置した検出器が備わっており、X線のパルス照射を電気的に制御するので、稼動部分が全くないため、約4ミリ秒で1断面をスキャンすることができます。しかし、それでも移動速度が大きくなると、一種のブレが生じてきます。これは、被写体が軸方向に移動する間に、最初の何回かのX線照射は対象物のある側面だけを照射し、最後の何回かのX線照射は移動した対象物の別の側面を照射するためです。そこで、高速時でもX線照射が均等になるような照射パターンを考案することによって、高速で移動する被写体に対する測定精度の大幅な向上を実現しました。

3.発明者からのメッセージ

 空間分解能や濃度分解能の高いX線CT装置に対し、高速スキャンX線CTは時間分解能を高めた装置に相当します。動きを見るCT装置は、他にあまり例がなく、気液が混じって流れる混相流や粉体を使った流動層の3次元的構造を可視化し、装置開発の最適化に貢献できます。
図1
図2

図 高速スキャンX線CT装置の構成とパルスX線照射方法



先進製造プロセス研究部門
PDF(252.8KB:産総研 TODAY Vol.6 No.4 p.31)

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