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内部まで生体活性を有する人工骨

 − より人に優しい医療をすすめる技術 −
特許 第3619869号 (出願2000.3)

1.目的と効果

 人や動物が怪我や病気のために骨に欠損を負ってしまった場合、他の部分の骨や人工骨による置換術を受ける事になります。なかでも強靱で耐久性の優れた金属製人工骨はとりわけ広く用いられています。私たちは、内部まで生体活性のある金属製人工骨を開発しました。この人工骨は表面に水酸化アパタイトが形成され、骨組織と速やかにかつ強固に接合し、また装着時の寸法調整や、体内での疲労や摩耗により表面脱落が生じた場合でも生体活性を消失しません。

[適用分野]
 ● 人工骨 ● インプラント等の生体材料

2.技術の概要、特徴

 金属粉末射出成形法(Metal Injection Molding;MIM)とは、金属粉末に樹脂またはワックスなどの流動性を持たせる物質(バインダ)を添加し、加熱・混練して可塑性を持たせ、プラスチックと同様に射出成形し、その後バインダを除去(脱脂)し、焼結して金属部品を作製する方法です。複雑な形状の金属部品が量産できる金属の加工法で、人工骨材料として用いられるチタン等の鋳造や機械加工の難しい金属にも使用できます。図1はMIM法により製造した人工骨の例です。
 この方法では、焼結前の脱脂体が多孔質である事を利用し、カルシウムやリンを含む溶液を含浸させ、乾燥、焼結して、内部まで生体活性を持たせた人工骨を作ることができます。さらに、生体活性物質を溶解した溶液中で水酸化アパタイトの生体活性層を生成させた人工骨を作ることもできます。(図2参照)

3.発明者からのメッセージ

 最初から直接原料に生体活性物質を混合した場合には、製品中に空孔が多数生じ強度が低下してしまいます(アパタイト1%混合の場合900MPaから400MPaへ低下)。
 この人工骨は、内部まで生体活性を有しており、装着時に体に合わせて寸法・形状調整のために表面を削っても体内で容易に新たな水酸化アパタイトの生体活性層が新表面に形成されるので、骨芽細胞の増殖および生着が促され、骨組織と速やかにかつ強固に接合します。

図1

図1 MIM法により製造したチタン製人工骨の例

図2 人工骨の製造工程

図2


サステナブルマテリアル研究部門
PDF(262.5KB:産総研 TODAY Vol.6 No.3 p.25)

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