1.目的と効果
ケンプトリ酸はシクロヘキサン環上にアルキル基とカルボキシル基をそれぞれ3個ずつ持っており、アルキル基の立体反発により立体配座制御ができることからキラル助剤などの分子認識材料の原料として利用されています。このケンプトリ酸に他の官能基が導入可能な構造を取り入れることにより、受容体とのマッチングを意図した、生体模倣ビルディングブロックの設計を進めています。
[適用分野]
● プロテオミック薬剤 ● 抗コリン作用薬、ムスカリン受容体作用薬 ● 分子認識センサー ● 機能性界面修飾剤
2.技術の概要、特徴
これらの生体模倣ビルディングブロックは、複数の異なる官能基が導入可能で、適度の柔軟性を有しつつ官能基の方向を制御できる特徴を持っています。その中のラクトンイミン、ジオキサアザウルチタンおよびラクタムアルデヒド化合物は、他の官能基が導入可能な擬タンパク質としての構造を持たせており、様々なアミノ酸、ペプチドに適用可能です。ヘミアセタールカルボン酸化合物は、カルボン酸と糖類似の構造を併せ持っており、溶媒の極性を変えるだけでアルデヒド−エステル構造に可逆的に変化する非常に興味深い挙動を示します。この性質により、酸化状態の異なるアルコール、アルデヒド、カルボン酸の機能をもつビルディングブロックとして利用できます。
また、アゾニアアダマンタン化合物がもつ基本骨格は、神経伝達物質であるアセチルコリンやセロトニンと類似した構造をとり、ムスカリン受容体やセロトニン受容体との拮抗作用等の観点から注目されています。高血圧、動脈硬化等の心臓血管疾患薬等の様々な用途への展開が期待されています。
3.発明者からのメッセージ
薬理プロテオミクス創薬の観点からも、リガンドと受容体との相互作用、特に官能基の自由度に起因する立体配座情報に基づくリガンド設計が注目されてきています。産総研では、光学活性を有するリガンドの立体配座情報を取り出すことができる、日本に数台しかない赤外円二色性(VCD)分光装置を導入し、新規構造解析技術を駆使しつつ、新たなコンセプトに基づく機能性材料の設計を進めています。関心をお持ちの方はお問い合わせください。![]() |
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図 新しい医療技術への可能性を持つ生体模倣ビルディングブロック化合物
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