1.目的と効果
無機膜の持つ構造安定性、耐熱性、耐薬品性に着目した膜分離技術が開発されつつありますが、ゼオライト膜は分子レベルの細孔や固体酸を持っているため、分子ふるい効果や反応と分離を同時に行える「触媒膜」として注目されています。私たちは、層状ケイ酸塩を前駆体として用い、その層間に存在するSi−OH基を縮合させることにより、新しい細孔構造を持つゼオライトを合成する手法を開発すると同時に、この新しいゼオライトをムライトやアルミナの支持体表面に膜化することにも成功しました。
[適用分野]
● バイオマスアルコールの濃縮 ● 有用有機酸の膜回収プロセス ● ガス分離膜
2.技術の概要、特徴
本技術は、合成が容易でコスト的にも安価な低次元の層状ケイ酸塩を前駆体として、構造相転移によるゼオライト化が可能なため、これまで水熱合成法では得られなかった新規なトポロジーのゼオライトがより経済的に構築できるものと期待されます。製膜の方法は、ムライトやアルミナの多孔質中空管(10mmφ、80mm長)の外表面に前駆体であるPLS−1を種晶として塗布し、その種晶を二次成長させることで緻密なPLS−1膜を作製した後、400℃および600℃で空気中にて10時間焼成することで、CDS−1膜に転換します。浸透気化法による水/エタノールの分離を行ったところ、600℃焼成の膜はアルコール選択透過膜(分離係数{エタノール/水}=53、透過流束0.5kg/m2・h)の性質を示しました。
このCDS−1膜は、骨格構造がAll−Silicaで八員環というゼオライトの中でも比較的小さな細孔構造を有するため、900℃まで構造が安定であり、酢酸や塩酸などの耐薬品性にも優れていることが確認されています。
3.発明者からのメッセージ
本技術により製膜したCDS−1は、縮合の仕方(加熱条件)を調整することで、膜の性質をアルコール選択透過膜(疎水性)から水選択透過膜(親水性)に変えることも可能であることもわかっています。
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図1 層状ケイ酸塩PLS−1から新規ゼオライトCDS-1が構築されるモデル
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![]() 図2 ムライトチューブに製膜したCDS−1膜 |


