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タリウム系超伝導線材の製造技術

 − 環境負荷を減らす超伝導線材の応用拡大へ −
特許 第3538620号 (出願2001.2)
関連特許 (登録済み:国内3件、国外1件)

1.目的と効果

 低温で電気抵抗ゼロという特徴をもつ超伝導体は、地球環境にやさしい省エネルギー技術への応用が期待されています。超伝導を広く利用するためには超伝導材料の線材化が必要です。
 私たちは、従来材料より超伝導転移温度(Tc)の高いタリウム(Tl)系超伝導体を用いた線材製造技術を開発しました。Tcの高い材料を用いることで超伝導体の冷却にかかるコストを小さくできるため、産業への応用拡大が期待できます。

[適用分野]
 ● 超伝導送電線  ● 超伝導マグネット  ● 超伝導磁気エネルギー貯蔵

2.技術の概要、特徴

 高温超伝導の産業応用として、現在Bi系(Tc=110 K)とY系(Tc=90 K)材料を用いた線材の研究開発が進展しています。Tl系材料は比較的Tcが高いことから注目されていますが、材料制御の困難さなどからその研究開発が他の材料に比べ遅れているのが現状です。Tl系に存在する幾つもの相のうち、線材応用に最適な相を選択的に合成することが長年の技術課題でした。
 私たちは、原料に残存する微量の炭素が相生成制御の鍵であることを突き止めました。この特許は、残留炭素を含めた組成を最適に調整した原料を用いることで、結晶方位の揃った銀被服線材の製造を可能とすることを特徴としています。線材内の結晶を配向させることは臨界電流密度など線材の性能を高めるための必須要素です。私たちは、Tl系材料(Tl−1223系)を、超伝導体中で最高級のTc(133 K)へと引き上げる製造方法も開発しています。これらの技術により、より高温で利用可能な超伝導線材が実現できます。

3.発明者からのメッセージ

 Tl系超伝導線材は、その性能向上に必要な相制御と結晶の配向制御が可能になったことにより、研究開発が先行しているBi系あるいはY系線材を凌駕する第三世代の超伝導線材となりうると考えられます。

図

図 Tl系銀被服線材写真と結晶方位の配向を示すX線パターン(銀被服を剥がして測定)



エレクトロニクス研究部門
PDF(280.4KB:産総研 TODAY Vol.5 No.9 p.29)

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