1.目的と効果
近年、部材表面にスパッタにより膜を形成して機能性を付与する技術がさまざまな分野で活用されています。しかし、そのターゲットは高価なものであり、さまざまな組成の膜を形成することは困難です。多成分系の膜を形成する場合、膜を構成する元素を層状に積み重ねて均質化する等の技術が利用されています。安価に入手できる目的組成のターゲットを希望する人は少なくないと思われます。そこで私たちは、粉末冶金技術を利用して種々の組成のスパッタリングターゲット組立体を迅速に作製する技術を開発しました。この技術では脆い金属間化合物製ターゲットを作製することも可能です。[適用分野]
● 薄膜状素子 ● 磁歪材料 ● 形状記憶材料 ● 熱電変換材料 ● 耐食性表面処理
2.技術の概要、特徴
多成分系のスパッタリングターゲットを作製するには、偏析をおさえた均質な材料を作製することが重要です。この技術では機械的合金化法などの粉末冶金的合成方法と高速焼結技術により偏析の少ないターゲット材料を作製しました。得られたターゲット材料は溶解法で得られたものに比べて微細結晶粒であり、10ミクロン以下になっているのが特徴です。また、スパッタリングターゲットではターゲット表面と冷却面との温度差による熱応力が発生します。金属間化合物などの脆い材料ではこれによって割れが発生することがあります。そこで、スパッタ中の熱応力による割れを防止するため、この技術ではターゲットの中に5〜20体積%の気孔を導入しました。スパッタリングターゲットは冷却用のバッキングプレートに固定して使用されるのですが、気孔が残存するターゲットを固定するのは難しくなります。そこで、ターゲット材料とバッキングプレートの間にインサート材をいれ、加圧下での通電加熱による接合技術もあわせて開発しました。3.発明者からのメッセージ
この技術には、目的組成のターゲットを短期間で作製できるという上記の特徴の他に、任意の形状のターゲットを得ることができるという利点もあります。
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図 スパッタ用ターゲット組立体の作製方法と応用例 |

