1.目的と効果
炭化珪素は省エネルギーや低環境負荷の観点から自動車用などの高温・高出力半導体素子の材料として有望視されていますが、これには結晶構造の違いからなる100種類以上の多形が存在します。半導体素子への応用には薄膜の結晶構造や基板との界面を高度に制御することが必要になります。種々の薄膜作製方法の中でも、レーザ成膜法は結晶制御性に優れているため、この方法により次世代材料である炭化珪素の結晶構造を制御することができます。[適用分野]
● 薄膜材料、半導体素子
2.技術の概要、特徴
炭化珪素のエピタキシャル薄膜作製方法が種々提案され利用されていますが、従来技術で作製した炭化珪素薄膜の多形は、使用する基板の種類やその結晶構造等により決まってしまうという問題がありました。そのために、ある単結晶又は結晶性薄膜基板の上に単一相からなる任意の多形のエピタキシャル薄膜を作り分けることはこれまで不可能でした。また極めて高い温度が必要であるために、合成温度の精密な制御が非常に困難でした。レーザ成膜法ではレーザパルスの周波数を変化させることで表面の実効温度を大きく変化させる事が可能になり、これによって多形を制御して結晶性炭化珪素の薄膜を作製できることが分かりました。 成膜条件を最適化し、膜の結晶性を向上させることで、より高性能の素子を創製するのに必要なヘテロ構造の作製技術を提供することも可能となります。3.発明者からのメッセージ
SiC等のワイドバンドギャップ半導体に関して、レーザ蒸着技術の特徴を生かした新たな応用分野が開かれることを期待しており、産業化を目指した共同研究先・技術移転先を求めています。
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図 3種類の炭化珪素の結晶構造(上図 左:3C-、中央:2H-、右:4H-SiC)と周波数を変えて作製した同多形の炭化珪素薄膜の高分解能電子顕微鏡写真(下図) |

