1.目的と効果
光を照射することで開閉する制御バルブと微小流路を基板上に配置し、光の走査により流体の制御を行う流体化学反応システムです。光駆動を行うことで、集積化に伴う駆動回路の複雑化を回避できるとともに、多様な流路構造に対して単一の光制御機構で柔軟に対応することが可能になります。また、駆動機構に熱を使用しないことから、化学反応への熱の悪影響を最小限にすることができます。
[適用分野]
●微小流路を利用したマイクロリアクタ、マイクロ化学合成システム
●超小型分析装置、DNAチップ
2.技術の概要、特徴
近年、半導体微細加工技術などを利用し、基板上に微小流路や制御バルブを集積化した集積化学システムの研究が盛んになっています。しかし、従来は制御バルブに熱膨張型のアクチュエータを利用する例が多かったため、集積化に伴う駆動機構の複雑化や発熱による流体への影響が問題でした。本技術は、光により直接バルブの駆動を行うことで、上記の問題点の解決を目指すものです。単体の光駆動バルブは図1のような構造を持ち、流路を開閉する弁体の上に光応答性物質が付加されていて、光応答性物質の体積変化を利用して弁の開閉を行います。光応答性物質としては、光誘起相転移材料、光異性化ポリマー、光歪セラミックスなどの利用が考えられます。
この制御バルブと微小流路を基板上に集積化することで、図2のような化学システムが形成できます。バルブの開閉は光の走査により行われるため、基板上には電気的な駆動回路や接続が不要になります。また、基板の種類が変わっても、光の走査を行うプログラムを変更するだけで対応できるため、多様な化学システムに柔軟な対応が可能です。熱駆動を用いないためバルブ周辺の温度上昇を抑えることができ、化学反応に重要な温度制御を容易にする効果もあります。
3.発明者からのメッセージ
マイクロ流体化学システムが複雑化するときに起こる、駆動側の問題点を解決するブレークスルーになる技術であると考えています。特性のよい光応答性材料技術を持つ企業での実用化開発を期待しています。![]() |
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図1 光駆動バルブの断面図。 |
図2 集積システムの実施例。 |


