1.目的と効果
機械システムの多くでは、状況に応じて、「力は要らないが速い動作」と「遅くても良いが力の要る動作」の双方を実現しなければなりません。このような場合、一般には変速機を使用して動作に応じた適切な減速比を選択します。ところが自動車等に用いられている既存の変速機は補助動力や電子回路などの付属機器を必要とするため、大型・複雑な構成にならざるを得ません。これに対して本変速機は付属機器が不要で、シンプル・低コストな構成であり、変動負荷を駆動する機器に容易に適用することができます。
[適用分野]
無負荷での位置合わせ動作と負荷の駆動で必要な速度と力が大きく変動する機器全般
●荷役・搬送機器 ●介護機器
2.技術の概要、特徴
図1は開発した負荷感応変速機の外観です。変速機内部には2つの伝達経路、すなわち動力源を負荷に直接接続して低減速比で駆動する経路(図2上側)、および前段減速機を経由して高減速比で駆動する経路(下側)を設けています。各経路はそれぞれクラッチによる接続・分離が可能で低負荷時には低減速クラッチを、また高負荷時には高減速クラッチを接続することにより、負荷に応じた変速動作を実現します。クラッチを操作するためには、永久磁石を利用した切換機構を用いています。この機構では、複数の永久磁石の配置が変化するとそれらの間で作用する吸引・反発力が反転することを利用して、負荷の増減に応じて各クラッチを接続・分離します。本切換機構は補助動力や電子回路などの付属機器や外部接続を必要とせず受動的に動作するため、小型軽量かつシンプルな変速機を構成することができます。また本変速機の特長として高効率(90 %以上)であること、特殊な加工や部品を必要としないため低コストであることもあげられます。
3.発明者からのメッセージ
本変速機は、多段変速への拡張を可能にしたタイプや、メンテナンスフリーを可能にする非接触磁気クラッチタイプなど、いろいろなタイプに着々と発展中です。「変速機を使えば新たな付加価値が生まれるのだが、既存の変速機では複雑・大型・高価なので引合わない」という機器への応用を一緒に実現しましょう。![]() |
図2 基本構成 |
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図1 負荷感応変速機プロトタイプ |

