1.目的と効果
結晶成長には、容器壁の存在が悪い影響を与える場合があり、浮遊状態で行わせる無容器結晶成長が試みられてきました。本技術は超伝導マグネットが作れる数Tの磁場で「磁化力」を発生させ、結晶を浮遊状態で作ることにより、容器壁の影響のない完全な結晶を作ることを目的とします。この浮遊状態で作った結晶は、容器壁の影響による歪みがなく、また対流の影響が大幅に軽減されるので、完全性の高い結晶となりました。
[適用分野]
●構造解析に使用できるタンパク質結晶 ●透明性の要求される光学結晶
●非線形光学結晶 ●レーザー発振を行わせる結晶
●半導体素子
2.技術の概要、特徴
超伝導マグネットで発生する1〜15Tの強磁場を利用すると、磁場が不均一なところで、磁場から逃れようとする力(反磁性体の場合)あるいは磁場に入ろうとする力(常磁性体の場合)が発生します。このような「磁化力」を積極的に利用して、結晶成長を浮遊状態で行わせることが本技術の概要です。反磁性体が磁場から逃れる力は非常に弱く、従来、それを利用した浮上が起きるのは、日本に2台しかないような強力ハイブリッド磁石の中だけと考えられてきました。その場合、電力消費も大きな問題です。しかし反磁性体の置かれた環境を常磁性に変えると、周辺環境自体が反対方向に引かれ、小さな磁化力を増強したのと同じ結果になり、浮遊結晶成長が実現できたものです。超伝導マグネットの作る磁場で充分なので、どこででも長期間の浮遊が起こせ、磁場を作る電力コストもゼロで済みます。
3.発明者からのメッセージ
従来、タンパク質の良質結晶を作るには宇宙の無重力環境を使うことが普通でした。本発明によれば、それと同様に「浮いた」状態で結晶が作れます。対流を減らすことも可能です。手軽に地上でできる無重力状態をものづくりに活用していただきたいと考えています。![]() |
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a)磁場のない状態で得られた結晶 |
b)磁場存在下で得られた結晶(良質かつ配向) |
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写真 結晶性の良否判定に最適なモデルタンパク質(卵白リゾチーム)で実証した顕微鏡写真 |
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