1.目的と効果
キトサンビーズは反応性に富むアミノ基をもち、高い金属イオン吸着能や生体親和性を持つ再生産可能なバイオポリマー素材です。現在はカニ殻などのキチンから生産されていますが、その製造工程は化学反応をベースにした煩雑で環境負荷の高い工程です。このキトサンビーズを微生物培養法によって生産することを目的に、新規なキトサンビーズ及びその製造法を開発しました。本製造法により、機能性の高い独特な形状(中空球状)のキトサン素材を製造できます。[適用分野]
●重金属吸着素材 ●酵素固定化素材
●機能性食品素材 ●養殖魚介類の餌料素材
2.技術の概要、特徴
細胞壁成分としてキチン、キトサンを多量に含有するリゾプス属菌類は、種々のアルコール類を含有せしめた培地中で培養することによって、粒子状(ペレット状)の菌体を得ることができます。この菌体を120℃前後の希アルカリ溶液で1時間程度熱処理すると、菌糸体の細胞成分及び細胞壁中のキチン質以外の成分が溶出し、キトサン含有の中空球状素材を得ることができます。この素材の特徴は粒状であること、内部が中空状になっていること、さらに構成素材自体もまた中空繊維状であることです。このような独特な構造をした素材は、カニ殻由来のキトサンから作った従来のキトサンビーズには見られないものです。3.発明者からのメッセージ
ここで提案したのはビーズ状キチン質ですが、菌糸状の培養菌体からは繊維状のキチン質も得ることができ、紙を抄く方法で簡単にフィルム状にすることができます。形態制御の方法としては、界面活性剤や培養pHによる制御なども考えられます。また、現在発酵産業では細胞壁にキチン質を有する菌が使用されていますが、メインの発酵と同時にこのような菌の生育形態の制御を組み合せることができれば、発酵済みの廃菌体の有効利用という観点からもこのような形態制御培養法が有用となります。![]() |
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図 リゾプス属菌由来の多孔性キトサンビーズ構造 |
表 ビーズ状生育を誘発するアルコールの種類と濃度 |


