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宇宙用伝熱装置

特許第3416731号 (出願2000.5)

1.目的と効果

 本発明は、特異な性質を有する水溶液を作動媒体として用いた軽量、高性能なヒートパイプ型伝熱装置です。当該流体を用いることにより、宇宙(無重力)環境下では従来のヒートパイプで使用されていたウィックが不要となり、さらに容器壁面の親水性処理により、性能向上も可能となります。通常の溝状ウィックを有するヒートパイプに比べて、本発明のヒートパイプは最大で60%程度軽量化でき、構造も簡単で製造コストを低減できます。一方、地上の応用においても、通常のヒートパイプ構造で、従来の水を用いたヒートパイプに比べて熱輸送量の増大を図ることができます。
[適用分野]
 ●宇宙用熱制御機器  ●地上用冷却デバイス

2.技術の概要、特徴

 本発明では、作動媒体として炭素数が4を超える高級アルコールの希薄水溶液を用いることを特徴としています。これらの水溶液では、表面張力が温度の上昇と共に増大する特異な性質を有し、またアルコール成分が選択的に蒸発するため、温度差マランゴニ効果と濃度差マランゴニ効果が相乗的に作用する結果、特に無重力環境下では、凝縮部から蒸発部への液の自発的循環が著しく促進されます。さらに、蒸発部壁面を親水性に、凝縮部壁面を疎水性に処理することによって、液の循環を更に促進することも可能になります。本発明により、除熱能力に優れ、軽量な宇宙用冷却システムを構成することが可能となります。また、本発明のポイントである相乗的なマランゴニ効果は、無重力環境ばかりでなく、地上の応用においても、ヒートパイプの除熱能力の向上に有効に作用するため、現在電子機器等の冷却技術に使用されている水を用いたヒートパイプにとってかわる可能性も期待されます。

3.発明者からのメッセージ

 本技術はすでに、無重力環境での基礎実験を経て実証段階にあり、また地上技術としての応用テストも進めております。実際の組み込み機器がわかれば共同研究により製品化まで協力させていただきます。製品化についての支援制度もございますので、お問い合わせください。

図1

図1 本発明のウィックレス・ヒートパイプの概念図

図2

図2 通常ヒートパイプにおける熱除去特性の比較の例
(水および1-ブタノール水溶液:水に比べて除熱限界が増大し、熱抵抗が低下している)



電力エネルギー研究部門
PDF(203.5KB:AIST TODAY Vol.4 No.2 p.37)

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