1.目的と効果
生体では低分子から高分子まで様々な核酸類(DNAやRNA)が機能していることがわかってきました。RNA(リボ核酸)はその多岐にわたる機能が明らかになるにつれ、ゲノム解析が一段落したDNA(デオキシリボ核酸)に替わって核酸研究の焦点となりつつあります。現在遺伝情報の発現を制御する新技術としてsmall interfering RNA(siRNA)を利用する手法が関心の的になっています。医薬として期待されていますが、構造の明確なRNAの調製には化学合成が有効です。対象となる分子はいずれも多官能性物質であり、生体で機能を発揮させるためにはきわめて厳密な選択性が要求されます。私たちは官能基間の選別法を検討して位置特異的導入法と選択的除去方法を確立し、RNA化合物の合成素材を簡便効率的に調製することを可能にしました。[適用分野]
●自動合成機用RNAモノマーの調製 (化合物1)
●各種修飾リボヌクレオシドの調製 (化合物2)
2.技術の概要、特徴
DNAを構成するデオキシリボヌクレオシドが分子内に一級(5´-OH)、二級(3´-OH)の水酸基を各1個含んでいるのに対して、RNAを構成するりボヌクレオシドはさらに1個の二級水酸基(2´-OH)を有しています。このためRNA化学では2´水酸基の扱いが焦点となり、RNA合成の出発物質には2´水酸基を保護した化合物が必要です。私たちは2´-O-修飾ヌクレオシドを簡便に製造することを可能とするために3´および5´水酸基の保護について検討し、二官能性化合物を用いて3´および5´水酸基が位置選択的に保護できること、生成物(化合物2)は各種合成条件に対して安定であることを見出しました。さらに、これを2´-O-シリル化に適用し選択的脱離条件を確立して化合物1を簡便に得ることができました。この結果、RNAを化学合成するプロセスの重要な中間体である2´-O-tert-ブチルジメチルシリルヌクレオシド(化合物1)を3´-O-シリル化合物を副生することなく原料ヌクレオシドからきわめて効率よく経済的にワンポットで調製することが可能です。
3.発明者からのメッセージ
本技術は、アルドピラノース構造を分子内に含む機能性物質を製造するときにも広く適用できます。![]() |
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●図1 シリル化ヌクレオシド |
●図2 原料ヌクレオシドからワンポット合成 |


