1.目的と効果
ドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖高度不飽和脂肪酸は、様々な生理機能を持った脂肪酸として機能性食品や医薬分野への利用が期待されています。DHAは魚油に含まれる成分ですが、高い純度のDHAやその類縁の高度不飽和脂肪酸を得ることは困難でした。そこで、新しい製造方法として、ラビリンチュラ科の海生菌を用いる方法を開発しました。この技術は従来のDHA生産微生物と異なり、油脂を発酵原料として用いることができるという特徴を持っています。[適用分野]
●食品 ●化粧品 ●餌料 ●医薬品原料
2.技術の概要、特徴
ラビリンチュラ科海生菌(写真)は沿岸海域に多く存在する海生菌で、DHAなどの高度不飽和脂肪酸を生産する生物の一種です。10〜20ミクロンくらいの大きさの紡錘形の細胞で、運動性を有するという特徴を持っています。これまで有効な分離・培養方法がなかったため、その分布特性や増殖特性あるいは有用機能などは、ほとんど知られていませんでした。我々は、ラビリンチュラ科海生菌の増殖が、いくつかの海洋性バクテリアによって活性化されることを見出し、ラビリンチュラ科海生菌と親和性の高いバクテリアを塗布した分離培地を用いる新規な分離方法を見出しました。さらに、種々の海洋環境から得られたラビリンチュラ科分離株について増殖因子の検討を加えてきた中で、培地中に油脂を添加することにより飛躍的にその増殖活性とDHA生産性を増すことができました(図)。油脂を原料としてDHAなどに変換する能力は、従来から知られていた各種のDHA生産微生物にはなかった特性です。
3.発明者からのメッセージ
ラビリンチュラ科海生菌の培養は、従来の液体培養法とは異なる固体培養で行う必要がありますが、このような培養条件を生かした従来に無い生産物や微生物処理法などへの応用ができると考えていますので、関心のある方はご連絡ください。![]() |
●写真:ラビリンチュラ科海生菌 |

