独立行政法人産業技術総合研究所

放射線測定の信頼性について放射線測定の信頼性について

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2011一般公開特別講演スライド
[PDF:787KB]

1.計測の信頼性を支える基礎

 信頼性の高い計測を行う上で欠かせない3つの要素があります。まずは、使用する計測器が正確でなければなりません(「正確な計測器」)。さらに、計測器をどのように使って測定を行うか(「計測器の正しい使い方」)を取り決めた手順書と、計測器を手順書に沿って正しく取り扱うことのできる「測定者の高い技能」が必要です。図1は、これらの3要素を図示したものです。

 「計測器の正確さ」の担保には"計測のトレーサビリティと国際相互承認"が重要な役目を果たします。 "測定方法の規格" は、「計測器の使い方」を文書化し、皆で使えるよう公開されたものです。また、"技能試験"を行うことで「測定者の技量」を確認します。さらに、これらを支える認定制度や法規・法令があります。

計測の信頼性を支える3つの要素の図
図1 計測の信頼性を支える3つの要素

1.1 計測のトレーサビリティと国際相互承認

 

計測器の正確さは、正確な“標準”と比較(“校正”)すればわかります。

最も正確なのは国家標準ですが、国家標準との比較によって正確さが確認された2次標準や、2次標準との比較によって正確さが確認された3次標準などとの比較でも、正確さの確認ができます。計測器の正確さをこのような比較の連鎖によって国家標準にまでつなげる(トレースできる)仕組みを、「トレーサビリティ体系」といいます。

図2の左側に示されているように、日本の場合、比較の連鎖の頂点は、産業技術総合研究所(AIST)計量標準総合センター(NMIJ)であり、日本の国家標準をつかさどる国家計量機関です。国家標準から現場で用いる実用計測器までの比較の連鎖は、多くの場合、2次標準や3次標準を持つ校正事業者が担っています。

(トレーサビリティについての詳細は、産総研NMIJのページに記載されている解説をご参照下さい。)

各国の持つ国家標準は、お互いに比較を行うことで正確さを確認し合っています(国際比較)。さらに、今日のグローバル化社会で円滑な通商を進めるために、各国がトレーサビリティ体系を構築することで、それぞれの国で測定した結果が同等であると互いに受け入れ合う仕組みができています。これを「測定結果の国際相互承認」といいます。

(国際比較と国際相互承認の詳細は、産総研NMIJ国際計量室のページで解説されています。)

各国のトレーサビリティ体系と、国家間の国際比較や国際相互承認の仕組みの図
図2 各国のトレーサビリティ体系と、国家間の国際比較や国際相互承認の仕組み

1.2 測定方法の規格、技能試験、認定

 計測器の使い方を文書にまとめ、公開することで、計測器の使い方を統一し、計測の信頼性を向上させることができます。こうした文書は規格と呼ばれ、日本国内で用いられるものにはJIS(日本工業規格)があります。また、国際的な規格にはISO(電気及び電子技術分野を除く全産業分野)やIEC(電気及び電子技術分野)があります。

 規格については、日本規格協会のホームページ日本工業標準調査会のページにて詳しい情報が提供されています。

 測定者の技能を評価する技能試験では、正確な測定のできる機関が試験用のサンプルを提供し、技能試験を受ける機関(測定者)がそのサンプルに対して測定を行います。正しい測定結果が得られたかどうかで、測定者の技能がわかります。このような技能試験に参加して技能が十分に高いことを示すことは、その測定者による測定結果が広く受け入れられるための要件となります。

 高い技能を維持し、適切な品質保証体制を整備することで、校正事業者や試験所は適合性認定を受けることができます。認定については、公益財団法人 日本適合性認定協会のホームページ独立行政法人 製品評価技術基盤機構のホームページで詳しく説明されています。