独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、ジーンファンクション研究センター 多比良 和誠(たいら かずなり)研究センター長の論文に関する研究ミスコンダクトの疑いについて、「独立行政法人産業技術総合研究所における研究ミスコンダクトへの対応に関する規程」(以下「ミスコンダクト規程」という)に基づき設置した調査委員会の報告と今後の措置についてとりまとめた。
■研究ミスコンダクトに関する調査結果報告と今後の措置について
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、ジーンファンクション研究センター 多比良 和誠(たいら かずなり)研究センター長の論文に関する研究ミスコンダクトの疑いについて、「独立行政法人産業技術総合研究所における研究ミスコンダクトへの対応に関する規程」(以下「ミスコンダクト規程」という)に基づき設置した調査委員会の報告と今後の措置についてとりまとめた。
1.経緯
(1) 東京大学による調査
平成17年9月13日、東京大学工学系研究科調査委員会は、日本RNA学会会長から研究ミスコンダクトの疑いがあるとして調査依頼を受けた多比良和誠教授の論文12報のうちの一部について、実験結果を裏付ける明確な生データの存在を確認することができなかった旨を公表した。
(2) 産総研における予備調査の実施
この発表を受け、産総研では、多比良教授が産総研ジーンファンクション研究センターの研究センター長を兼務していることから、産総研においても実態を調査すべきと判断し、「ミスコンダクト規程」に基づき、9月22日付で予備調査委員会を設置し、調査を開始した。
この結果、12月1日、予備調査委員会は、ほとんどの論文について系統的な研究記録が示されていないことから、一連の研究の中に研究ミスコンダクトが行われた可能性を否定することはできなかったとし、研究ミスコンダクトについてその有無を判断するべく外部委員を含む調査委員会を設置するべきであると理事長に報告した。(予備調査結果概要については、平成17年12月2日公表済み)
(3) 産総研における本調査の実施(調査委員会からの調査結果報告)
予備調査結果を受け、産総研では「ミスコンダクト規程」に基づき、外部有識者を含むRNA工学、生物物理、研究者倫理等の専門家からなる調査委員会(委員長:大塚栄子、北海道大学監事)を設置した。調査委員会では、予備調査委員会が分析した資料の確認に加え、多比良教授をはじめとする関係者からの事情聴取や、追加資料の収集分析を行った結果を取りまとめ、平成18年2月27日、理事長に報告した。
2.調査結果要旨
調査委員会から提出された報告書の要旨は以下の通りである。
(1) 調査対象となった産総研協力研究員川崎氏が筆頭著者の論文は、研究記録がほとんど保存されておらず、論文の実験結果を系統的に裏付ける資料は提出されなかったため、研究ミスコンダクトの有無に関し、事実の裏づけに基づく判断は極めて困難であった。しかし、論文の作成過程で責任著者である多比良研究センター長と生データで議論したことが無いこと、また研究試料の作成方法について責任著者と異なる説明があったことなどから、公表された論文において研究ミスコンダクトが行われたことを否定できないと判断した。
(2) 多比良研究センター長は、調査対象となった論文に関する実験を自ら行っていなかったことを考慮すると、同研究センター長の直接的な研究ミスコンダクトの有無を判断することは適当とはいえない。しかしながら、産総研における川崎氏の受け入れ担当者として、また共著論文の責任著者として川崎氏の研究を管理・監督する立場にあったにもかかわらず、川崎氏との生データでの議論や実験記録の保存などについて適切な管理を怠ったため、科学的な根拠が不明瞭な状況のまま論文が公表される事態を招き、研究管理者としての責任を果たしていない。
(3) 以上から、川崎氏が筆頭で多比良研究センター長が責任著者である論文や、それら論文に記載のデータを実施例とした特許、またこれらを成果として引用した報告書などについては、取り下げあるいは訂正することを勧告する。
(4) 調査委員会でジーンファンクション研究センターの川崎氏以外の研究員について調査したところ、他の研究員は研究記録の保存や管理を適切に行っていた。
3.調査結果報告を受けて産総研が講ずる措置
産総研では、調査委員会の報告に基づき、以下の通り対応することとした。
(1) 論文等の取り下げ等
1) 論文
研究記録が保存されていないなど、根拠が不十分な状態で論文を公表していることは、研究者の社会的責任を果たしているとは言い難いので、これを取り下げるよう、産総研として責任著者である多比良研究センター長に勧告する。
2) 特許
実験記録がないことなどにより特許の効果を保証できないものについて、取り下げまたは放棄を検討する。
3) 成果報告書
外部資金による研究の成果報告について、根拠が不十分な論文を成果として記載したり、事業の直接の成果ではない論文を成果として記載している場合には、外部機関と協議の上、必要な訂正を産総研として行う。
(2) 研究予算執行の妥当性の確認
ジーンファンクション研究センターの研究予算について適正に支出されたかどうか、購入された物品は適正に管理されているかどうか等について検査を実施する。
(3) 再発防止対策
理事長より研究センター長等に対し、研究管理者としての責任について改めて注意喚起するとともに、産総研で制定した「研究者行動規範」の各研究員への浸透を徹底するよう指示した。
特に以下の項目の徹底について、実施状況の報告を求め、不十分な場合には改善を指示する。
○研究記録の保存(産総研研究ノート使用、保存の状況)
○研究成果の公表に際しての元データのチェック、実験データに基づいた議論
○研究員に対する適切な研究指導、研究管理、監督
(4) ジーンファンクション研究センターの在り方等に関する検討委員会の設置
関係理事等からなる検討委員会を設置し、今後のジーンファンクション研究センターの体制の在り方、研究センター長が研究管理責任を果たさなかったことへの対応等について、今月中を目途として結論を得る。
(5) ジーンファンクション研究センターの管理に関する当面の措置
検討委員会による結論を得るまでの措置として、研究センター長事務代理を発令し、研究センター長の職務を代行させることとした。
問い合わせ
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