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平成15年11月5日制定
平成16年7月1日改正
平成17年4月1日改正
独立行政法人産業技術総合研究所
1.基本的な考え方
工業標準は、産業技術の基盤であり、時代の流れの中でその役割が変遷してきているものの、その重要性については些かの揺るぎもない。
近年、産業競争力強化の観点から、研究開発と標準化を一体的に進めることの重要性が高まっている。研究開発段階から標準化を視野におくことによって、研究開発成果を迅速かつ着実に標準化することは、研究開発成果の社会への還元につながるものである。
よって、産業競争力強化に貢献する公的研究機関である産総研は、工業標準化への取り組みを強化する必要がある。
2.工業標準化の理念と産総研の使命
(1)工業標準化の役割の変化
従来の工業標準化は、もっぱら鉱工業品の品質の改善、互換性の確保等を目的とした規格(JIS:日本工業規格)の策定を意味してきた。
しかしながら、近年、経済活動のグローバル化が進展する中で、国際標準化活動の重要性の増大、先端技術分野での国際的なフォーラム活動の活発化が進みつつあり、また、地球環境問題への対応、循環型社会の形成、消費者保護/高齢者・障害者配慮などの新たな社会問題への対策としての規格の作成など、工業標準化の役割は大きく様変わりしている。
| (参考1)工業標準化法(第2条)における工業標準の定義 |
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鉱工業品の種類、生産方法等を全国的に統一し又は単純化するための基準 |
(2)研究開発と標準化の関係
技術革新の進展の中で研究開発と標準化は、極めて密接な関係を有するようになっている。欧州連合(EU)や米国は、産業競争力強化を念頭に置きつつ、研究開発の初期段階から標準化を視野に入れた研究開発を実施し、その成果を迅速にISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)、国際的なフォーラム等を通じて国際標準化するという戦略的な取り組みを進めている。
(参考2)欧米の標準化戦略
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欧州連合:
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EUフレームワークプログラムにおいて、標準化を目指した研究開発を行い、その成果を欧州規格に結びつけるとともに、最終的に国際標準化機関に提案するという戦略的な取り組みを進めてきている。 |
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米国:
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主に情報通信分野を対象としたフォーラム等による標準化活動が盛んであるが、近年は公的なプロセスを経た標準化(デジュール標準)にも力を入れており、商務省の傘下のNIST(米国標準技術研究所)が重要な役割を果たしている。 |
我が国では、日本工業標準調査会(JISC)の標準部会が策定した「標準化戦略(総論編)」(平成13年8月31日策定)において、研究開発活動と標準化活動の連携の重要性が示されるとともに、産総研等公的研究機関の標準化活動への積極的な取り組みが求められている。
(3)政府としての標準化への取り組みの強化
平成15年6月の総合科学技術会議の意見具申「知的財産戦略について」においては、研究開発、知的財産権取得、標準化の一体的推進の必要性が示され、関係府省が一丸となって取り組むことが要請されている。
(4)産総研にとっての意義
産総研の工業標準化への取り組みは、以下の意義を有する。
<1>標準化を通じて、産総研の研究開発成果が目に見える形で使われることを、より確実なものにできる。
<2>標準化活動への参画を通じて、産業界との交流が拡大し、産学官連携をより一層促進することができる。また、産総研が標準化に必要な試験研究を実施することにより、各企業に分散しがちな試験データやノウハウ等が一カ所に蓄積され、必要に応じて活用することができる。
<3>社会ニーズに沿った標準化を念頭に置くことにより、研究目的の明確化、さらに研究効率の向上といった副次的効果が期待できる。
<4>国際標準化活動への参画は、産総研の国際戦略の遂行に寄与するとともに、結果として、産総研の国際的な広報に資する。
3.工業標準に係る産総研の役割
(1)標準化を視野に入れた研究開発の推進
研究開発計画の企画立案段階において成果の標準化の必要性を常に検討することとし、その結果、標準化が重要な課題であると推定された場合は、研究開発活動の中で、標準化に必要な試験研究等を併せて実施する。
| (参考3)標準化に必要な試験研究等 |
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データ取得やラウンドロビンテストに加えて、将来の標準化を見越した内外の関係者への中間的な成果発表等を含む。 |
(2)研究開発成果の普及に資する規格の作成
研究開発成果の標準化を通じてその普及を促進させるため、標準基盤研究制度等を活用しつつ、研究開発成果に基づく規格の作成に取り組む。
(3)国際標準化活動への参画
産総研が主導的な立場にある分野又は民間のみでは対応困難な分野において、国際標準化活動に主体的に参画する。特に、国際標準化機関や国際的なフォーラムの議長・コンビナー・国際幹事等の役職を積極的に引き受ける。また、産業界と連携しつつ、国際標準を獲得するための研究開発に取り組む。
4.工業標準化への取り組みの強化
(1)研究ユニットにおける標準化活動の位置づけ
各研究ユニットは、標準化研究の実施、規格原案の作成、国際標準化に係る議長・コンビナー・国際幹事等の活動を、自らの本来的な業務の一環として位置づける。
(2)研究開発における標準化への取り組みの評価
研究テーマのスタートの際に、標準化の必要性が検討されているかどうかを評価するとともに、研究成果を評価する時点においても標準化への取り組みを評価する。
(3)標準化活動に対するインセンティブの付与
工業標準化への貢献を表現する業績リストの運用、長期評価の昇格審査における考慮等を通じて、産総研職員の標準化活動を業績評価へ反映する。
5.工業標準化への取り組みのための体制・組織
(1)産学官連携推進部門工業標準部の使命
産学官連携推進部門工業標準部は、産総研における工業標準化の中核として、工業標準化戦略を企画立案するとともに、研究ユニットの工業標準化への取り組みに対する支援を行い、産総研の工業標準化への取り組みをリードする。具体的には、社会ニーズに対応した標準化ニーズの把握と研究ユニットへの提案、研究開発成果の規格化に係る支援、国際標準化活動に係る支援等を行う。
(2)所内の組織的な取り組み
分野別連絡会議等を活用しつつ、標準化関係者のネットワークを構築し、工業標準化への組織的な取り組みを図る。計測技術開発に係る標準化においては、産学官連携推進部門工業標準部と計量標準総合センターが連携して研究ユニットを支援する。標準化の対象となる技術に特許等知的財産が含まれる場合は、研究ユニットと知的財産部門が連携して対処する。
(3)工業標準化の拠点の整備
産総研の標準化研究及び広報活動の拠点として、くらしとJISセンターを位置づけ、その積極的な活用を図る。
| (参考4)産総研の組織変更 |
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平成16年7月1日付けの産業技術総合研究所の組織変更に伴い、「成果普及部門工業標準部」を「産学官連携部門工業標準部」に、「産学官連携部門知的財産部」を「知的財産部門」に改正した。
平成17年4月1日付けの産業技術総合研究所の組織変更に伴い、「産学官連携部門工業標準部」を「産学官連携推進部門工業標準部」に改正した。 |
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