独立行政法人産業技術総合研究所
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独立行政法人 産業技術総合研究所 中期目標

別表1 鉱工業の科学技術

I.グリーン・イノベーションを実現するための研究開発の推進

 二酸化炭素等の温室効果ガス排出量を削減しつつ、資源・エネルギーの安定供給及び確保を図るグリーン・イノベーションを推進するため、再生可能エネルギーの導入拡大技術、エネルギー供給システムの高度化、運輸、民生、産業部門等における省エネルギーに資する革新的技術開発を行う。また、資源の確保と有効利用とともに、グリーン・イノベーションを支える材料及びデバイスの開発、産業の環境負荷低減や安全性の評価及び管理技術、廃棄物等の発生抑制技術と適正処理技術の開発を行う。

1.再生可能エネルギーの導入拡大技術の開発

 低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギー(太陽光発電、バイオマス、風力、地熱等)の有効利用のための技術開発を行う。また、変動を伴う自然エネルギーを利用するための高効率なエネルギーマネジメントシステムの開発を行う。

1-(1) 太陽光発電の効率、信頼性の向上技術

 我が国の再生可能エネルギー拡大の大宗を担う太陽光発電の利用拡大のために、発電効率と信頼性の向上のための技術の開発を行う。

1-(2) 多様な再生可能エネルギーの有効利用技術

 多様な再生可能エネルギーの利用を拡大するため、バイオマス、風力、地熱資源等を有効に利用する技術の開発を行う。

1-(3) 高効率なエネルギーマネジメントシステム

 出力変動の大きな自然エネルギーの大量かつ高効率な利用を可能とするエネルギーマネジメントシステム技術及びそのために必要な要素技術の開発を行う。

2.省エネルギーによる低炭素化技術の開発

 省エネルギー推進による低炭素社会の実現のため、運輸システムの高度化、住宅、ビル、工場の省エネルギー技術及び情報通信の省エネルギー技術の開発を行う。

2-(1) 運輸システムの省エネルギー技術

 輸送機械の二酸化炭素排出量の低減に貢献するため、安全かつ低コストで高エネルギー密度化を実現する電池材料、燃料電池自動車用水素貯蔵技術、輸送機器の軽量化技術、自動車エンジンシステムの高度化技術、市街地移動システム技術の開発を行う。

2-(2) 住宅、ビル、工場の省エネルギー技術

 戸建て住宅等の電力設備を効率的に運用し、省エネルギーを実現する電力マネジメント技術の開発を行うとともに、分散型蓄電デバイスの高エネルギー密度化、定置用燃料電池の高効率化技術の開発を行う。また、未利用熱エネルギーの高度利用技術、省エネルギー性能に優れた建築部材及び家電部材の開発を行う。

2-(3) 情報通信の省エネルギー技術

 情報通信機器の省エネルギーに貢献するため、電子デバイス、入出力機器の省エネルギー化技術の開発を行う。また、大容量情報伝送技術、情報処理システムの高効率化技術の開発を行う。

3.資源の確保と高度利用技術の開発

 物質循環型の社会を実現するため、バイオマスからの化学品等の製造技術の開発を行う。また、枯渇性資源の最大活用のために未利用化石資源であるメタンハイドレートの利用技術、石炭の高度利用技術、鉱物資源(レアメタル等)の省使用化、再生及び代替に関する技術の開発を行う。

3-(1) バイオマスの利用拡大

 バイオマスから、化学品等を製造するプロセス技術の開発を行う。

3-(2) 化石資源の開発技術と高度利用技術

 メタンハイドレートから天然ガスを生産するための技術開発及び石炭ガス化プロセス等にかかわる基盤技術の開発を行う。

3-(3) 資源の有効利用技術及び代替技術

 レアメタル等の資源確保に資するため、ライフサイクルを考慮した物質循環評価技術の開発を行うとともに、廃棄物及び未利用資源からレアメタル等を効率的に分別及び回収する技術、レアメタル等の有効利用技術及び代替技術の開発を行う。また、レアメタル等の陸域鉱床探査と資源ポテンシャル評価、海底鉱物資源調査、大陸棚画定に係る国連審査のフォローアップを行う。

4.グリーン・イノベーションの核となる材料、デバイスの開発

 革新的材料、デバイス創成のため、ナノレベルで機能発現する材料、多機能部材、ナノチューブ、炭素系材料の量産化と産業化技術の開発を行う。また、グリーン・イノベーションの実現に必要となる電子デバイスの高機能化技術及び高付加価値化技術の開発を行う。材料、デバイスの効果的かつ効率的な開発のためのプラットフォームを整備してオープンイノベーションを推進する。

4-(1) ナノレベルで機能発現する材料、多機能部材

 ナノスケールの特異な物性を利用して機能を発現する新しい材料、多機能部材や革新的光、電子デバイス、高予測性シミュレーション技術の開発を行う。

4-(2) ナノチューブ、炭素系材料の量産化技術と応用

 従来材料より優れた様々な特性を有し産業化が期待されるカーボンナノチューブの大量生産技術の開発を行うとともに、透明導電膜、太陽電池、薄膜トランジスタへの応用技術の開発を行う。また、有機ナノチューブ、ダイヤモンド等の合成技術及び利用技術の開発を行う。

4-(3) ナノエレクトロニクスのオープンイノベーションの推進

 高付加価値デバイスの効率的、効果的な技術開発のため、ナノエレクトロニクスのオープンイノベーションのためのプラットフォームを整備し、オープンイノベーションを推進する。また、高性能かつ高機能なナノスケールの光、電子デバイスの開発を行う。

5.産業の環境負荷低減技術の開発

 産業の環境への負荷を最小限にするため、機械加工、化学、バイオ等の各種製造プロセスの効率化技術の開発を行うとともに、環境保全技術の開発を行う。

5-(1) 製造技術の低コスト化、高効率化、低環境負荷の推進

 製造技術の低コスト化、高効率化及び低環境負荷を実現するための、革新的製造技術であるミニマルマニュファクチャリングの開発を行う。また、レーザー加工技術による高効率なオンデマンド技術の開発を行う。

5-(2) グリーンサステナブルケミストリーの推進

 酸化技術、触媒技術、膜分離技術、ナノ空孔技術、マイクロリアクター技術、特異的反応場利用技術等を用いた環境負荷の少ない製造プロセス技術の開発を行う。

5-(3) バイオプロセス活用による高効率な高品質物質の生産技術

 微生物や酵素を利用したバイオプロセス技術の開発を行う。特に、微生物資源や有用遺伝子の探索と機能解明、生体高分子や生体システムの高度化、遺伝子組換え植物産出技術と植物工場システムの開発を行う。

5-(4) 省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システム製造技術

 センサ、光通信、医療・バイオ、自動車など多様な分野に適用が期待される小型、高精度で省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システムの低コストな大面積製造技術の開発を行う。

5-(5) 環境負荷低減技術、修復技術

 産業活動に伴って発生した環境負荷物質について、選択的吸着技術、触媒技術等を活用した浄化技術及び自然浄化機能を利用した環境修復技術の開発を行う。

6.持続発展可能な社会に向けたエネルギー評価技術、安全性評価及び管理技術並びに環境計測及び評価技術の開発

 二酸化炭素削減のための技術と取組の評価手法を開発するとともに、その開発及び技術の導入シナリオ並びに二酸化炭素削減ポテンシャルを明らかにし、技術開発、施策等の分析と評価を行う。また、産業活動における安全性を向上させるため、先端科学技術、生産活動、化学物質の安全性と環境の評価技術の開発を行う。

6-(1) 革新的なエネルギーシステムの分析、評価

 二酸化炭素の回収貯留、水素を媒体としたエネルギーシステム等、革新的なエネルギーシステムの関連技術について、開発や導入シナリオの分析と評価を行う。

6-(2) 持続発展可能な社会と産業システムの分析

 様々な二酸化炭素削減のための技術と試みについて、原単位や消費者の行動等を解析して二酸化炭素削減率の定量化を行い、それら方策の削減ポテンシャルを明らかにし、技術開発、技術のシステム化、市場システムの分析と評価を行う。

6-(3) 先端科学技術のイノベーションを支える安全性評価手法

 先端科学技術の実用化と製品化のために必要となる安全性評価手法を開発する。特に、カーボンナノチューブ等の工業ナノ材料について、有害性評価、ばく露評価及びリスク評価手法を開発する。

6-(4) 産業保安のための安全性評価技術、安全管理技術

 事故事例情報をデータベース化するとともに、産業保安のための安全性評価、安全管理技術の開発を行う。

6-(5) 化学物質の最適管理手法の確立

 化学物質のリスク評価と安全管理技術、発火と爆発危険性の評価技術の開発を行う。

6-(6) 環境の計測技術、生体及び環境の評価技術

 産業活動に伴って発生した環境負荷物質等の計測技術、生体影響評価技術、環境影響評価技術の開発を行う。

II.ライフ・イノベーションを実現するための研究開発の推進

 国民が安心して暮らすことができる社会を実現し、ライフ・イノベーションを推進するために必要な安全・安心、健康に貢献する研究開発を推進する。具体的には創薬技術や医療診断技術の開発、人の健康状態を評価する計測技術、情報通信(IT、センサ)やロボット技術による身体の負担軽減や介護支援技術等の開発を行う。

1.先進的、総合的な創薬技術、医療技術の開発

 健康長寿社会のニーズに応えるため、創薬技術及び医療診断技術を含む先進的な医療支援技術の開発を行う。

1-(1) 細胞操作及び生体材料に関する技術の応用による医療支援技術

 再生医療等の先進医療支援技術を確立するための基盤となる細胞操作技術及び生体材料技術や診断機器の開発を行う。

1-(2) 生体分子の機能分析及び解析に関する技術

 医療支援技術として、生体分子の機能分析及び解析技術と、それらの技術に基づく創薬技術の開発を行う。

1-(3) 情報処理と生物解析の連携による創薬支援技術や診断技術

 ヒトの遺伝子、RNA、タンパク質、糖鎖情報等のバイオデータベースを整備するとともに、医薬品開発のため、それら情報の利用技術の開発を行う。

2.健康な生き方を実現する技術の開発

 心身共に健康な社会生活を実現するための基盤となる人の生理、心理及び行動の測定技術、生体情報の計測技術及び評価技術並びにそれぞれの人の健康状態に合わせた社会生活を実現するための支援技術の開発を行う。

2-(1) 人の機能と活動の高度計測技術

 人の健康状態を把握するための基盤となる生理、心理及び行動の測定技術並びに測定装置の開発を行うとともに、標準化に取り組む。

2-(2) 生体情報に基づく健康状態の評価技術

 人の健康状態を評価するための生体情報の計測及び評価技術の開発を行うとともに、標準化に向けてデータベースを構築する。

2-(3) 健康の回復と健康生活を実現する技術

 人の健康状態に合わせた社会生活を実現するため、介護、医療等の負担の軽減、心身機能の回復、心身活動能力の補助のための技術の開発を行う。

3.生活安全のための技術開発

 高齢化社会の到来に対応した事故防止、生活支援のため、情報通信及びロボット技術を活用した安全な社会生活支援技術の開発を行う。

3-(1) ITによる生活安全技術

 安全な社会生活の実現をIT技術で支援するため、センサを用いた人や生活環境のモニタリングシステム、消費者情報保護のための情報セキュリティ技術の開発を行う。

3-(2) 生活支援ロボットの安全の確立

 生活支援ロボットを実環境で安全に動作させるため必要となる安全性の評価技術の開発を行う。

III.他国の追従を許さない先端的技術開発の推進

 我が国の産業競争力を維持していくため、先端的な情報通信産業や製造業の創出につながる材料、デバイス、システム技術の開発を行う。また、サービス生産性の向上と新サービスの創出を目指して、情報技術、機械技術の開発を行う。

1.高度な情報通信社会を支えるデバイス、システム技術の開発

 情報通信の高度化のための、光、電子デバイスの高機能化及び高付加価値化技術の開発を行う。また、IT 活用による製造技術及びシステム技術の高効率化及び高機能化に取り組む。

1-(1) デバイスの高機能化と高付加価値化技術

 更なる微細化を実現する革新的電子デバイス、大容量光送受信を可能とする超小型全光スイッチ、情報入出力機器のフレキシブル化と小型軽量化を実現する高性能光入出力素子の技術開発を行う。また、電子デバイスの構造、物性及び新機能予測を行うシミュレーションシステムの開発を行う。

1-(2) IT活用によるシステムの高効率化及び高機能化

 IT を利用したシステムの高機能化に取り組む。特に、産業用ロボット知能化技術、人間機能シミュレーション技術等の開発を行う。

1-(3) ナノエレクトロニクスのオープンイノベーションの推進(I−4-(3)を再掲)

 高付加価値デバイスの効率的、効果的な技術開発のため、ナノエレクトロニクスのオープンイノベーションのためのプラットフォームを整備し、オープンイノベーションを推進する。また、高性能かつ高機能なナノスケールの光、電子デバイスの開発を行う。

2.イノベーションの核となる材料とシステムの開発

 革新的な材料、システムを創成するため、ナノレベルで機能発現する材料、多機能部材ナノカーボン材料の量産化技術、マイクロ電子機械システムの開発を行う。

2-(1) ナノレベルで機能発現する材料、多機能部材(I−4-(1)を再掲)

 ナノスケールの特異な物性を利用して機能を発現する新しい材料、多機能部材や革新的光、電子デバイス、高予測性シミュレーション技術の開発を行う。

2-(2) ナノチューブ、炭素系材料の量産化技術と応用(I−4-(2)を再掲)

 従来材料より優れた様々な特性を有し産業化が期待されるカーボンナノチューブの大量生産技術の開発を行うとともに、透明導電膜、太陽電池、薄膜トランジスタへの応用技術の開発を行う。また、有機ナノチューブ、ダイヤモンド等の合成技術及び利用技術の開発を行う。

2-(3) 省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システム製造技術(I−5-(4)を再掲)

 センサ、光通信、医療・バイオ、自動車など多様な分野に適用が期待される小型、高精度で省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システムの低コストな大面積製造技術の開発を行う。

3.情報通信基盤を利用したサービス生産性の向上と新サービスの創出への貢献

 我が国のサービス産業の生産性向上と新サービスの創出を目指してサービスプロセスを変革する情報技術、機械技術の開発を行う。

3-(1) 科学的手法に基づくサービス生産性の向上

 サービスの生産性を向上させるため、現場の情報から利用者行動をシミュレーションし、サービス設計を支援するサービス工学基盤技術の開発を行う。

3-(2) 高度情報サービスプラットフォームの構築

 サービスの生産性を向上させるためのクラウド型等の情報プラットフォーム技術の開発を行う。

3-(3) サービスの省力化のためのロボット化(機械化)技術

 サービス産業へのロボット導入に当たって必要となるロボットの自律移動技術や、ロボットによる物体の把持技術、ロボットと人とのインタラクション技術の開発を行う。

3-(4) 技術融合による新サービスの創出

 既存の技術を融合することによる新サービス創出に取り組む。メディア処理とウェブでのインタラクションを融合したコンテンツサービスの創出、情報技術と災害軽減、危機管理、環境保全、資源探査などの技術を融合した地理空間情報サービスの創出、メディア技術とロボット技術を融合した人間動作の模擬技術の創出に取り組む。

3-(5) 情報基盤における安全性や信頼性の確立

 IC カード等のハードウェアや基幹ソフトウェア等の情報システムのセキュリティ対策技術、信頼性検証技術など情報基盤の安全性評価技術の開発を行う。

W.イノベーションの実現を支える計測技術の開発、評価基盤の整備

 広範囲にわたる産業活動を横断的及び共通的に支援するため、基盤的、先端的計測技術の開発を行うとともに、得られた知見を戦略的にデータベース化し、また、試験評価方法の標準化により評価基盤を構築する。

1.技術革新、生産性向上及び産業の安全基盤の確立のための計測基盤技術

 産業活動を支援するためのツールとなる計測評価技術、先端計測及び分析機器の開発を行うとともに、それらの標準化を推進する。また、計測技術を発展、統合させて、生産性向上をもたらす課題解決策(ソリューション)として生産現場に提供する。

1-(1) 産業や社会に発展をもたらす先端計測技術、解析技術及び評価基盤技術

 材料、部材及び構造物における損傷、劣化現象等の安全性及び信頼性の評価にかかわる計測技術の研究開発を行うとともに、産業界に提供する。特に、有機、生体関連ナノ物質の状態計測技術、ナノ材料プロセスにおける構造と機能計測及び総合解析技術の開発を行う。

1-(2) 先端計測技術及び分析機器の開発

 新たな産業技術の創出と発展を促進するため、材料評価、デバイス、システム評価のための先端的計測技術及び分析機器に関する研究開発を行うとともに、それらの標準化を推進する。

1-(3) 生産性向上をもたらす計測ソリューションの開発と提供

 産業界における製品の品質と生産性の向上の基盤となる生産計測技術の開発を行い、計測にかかわる総合的な課題解決策を提供する。

2.知的基盤としてのデータベースの構築と活用

 先端産業技術の開発と社会の安全・安心のための基盤となる重要な計測評価データを蓄積し、データベースとして産業界と社会に提供する。

2-(1) 標準化を支援するデータベース

 標準化を支援し、産業技術の基盤となる物質のスペクトル、熱物性等のデータベースを構築し、提供する。

2-(2) 資源等の有効利用を支援するデータベース

 資源等の有効利用を支援するために必要な地質、環境、地図情報などをデータベース化し、利用しやすい形で提供する。

2-(3) 社会の持続的な発展を支援するデータベース

 環境・エネルギー技術、社会の安全・安心及びものづくりの基盤となる重要なデータを集積し、データベースとして提供する。

3.基準認証技術の開発と標準化

 材料、製品、サービスの商取引に必要となる適合性評価技術の開発を行うとともに、民間における適合性評価事業の育成を推進する。

3-(1) 適合性評価技術

 新技術の事業化を促進するため、民間では困難な性能や安全性に関する実証に取り組む。また、新規の素材、製品、サービス等の社会普及を促進するため、商取引、規制において求められる性能、安全性等に関する適合性評価技術を開発し、そのような評価技術の民間移転に積極的に取り組み、民間による適合性評価機能の強化を図る。