独立行政法人産業技術総合研究所
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独立行政法人 産業技術総合研究所 中期目標 [PDF全文:324KB] Get Acrobat Reader

平成22年2月26日
改正 平成24年3月27日
経済産業省

 独立行政法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」という。)は、平成13年4月に旧工業技術院の研究所等16の機関を統合し、一つの独立行政法人として発足した。その後、平成17年4月に非公務員型独立行政法人に移行した。上記の措置の実施により、多岐にわたる分野の研究者集団の融合が進められるとともに、柔軟で機動的な組織運営や予算執行、産業界、大学との人材交流等が可能となった。

 現下の産業技術を巡る状況を見れば、地球温暖化、少子高齢化といった地球規模の課題が顕在化する中で、こうした課題の解決の鍵として、戦略的なイノベーションを推進し、それにより新たな需要を創造することが重要となっている。政府は、今後10年間を見据えて新たな成長戦略を策定・実行し、我が国の強みを活かした「課題解決型国家」を実現することとしている。そのため世界をリードする「グリーン・イノベーション」、「ライフ・イノベーション」などを迅速に推進し、課題の解決とともに、アジアと連携した成長を実現していくこととしている。また、産総研はこれまで以上に機動的かつ効率的な業務運営を実現し、民間では困難な研究開発活動を一層効果的に実施することが求められている。

 このような状況の下、イノベーションによる課題解決と新たな成長の実現に向けて、産総研の業務である鉱工業の科学技術に関する研究開発等の重要性は高まっており、なかでも、基礎的な研究と開発的な研究との間をつなぐ橋渡し研究の意義は一層増している。第1期中期目標期間(平成13〜16年度)及び第2期中期目標期間(平成17〜21年度)における実績を踏まえつつ、第3期中期目標期間においては、こうした観点から産総研が業務や組織のさらなる見直しと重点化を進め、経済と環境の両立、国民生活向上等への研究開発による貢献、新たなイノベーションシステムの構築、イノベーティブな人材養成の推進、新時代の産業基盤の整備等、国際的な展開も含めた新たなイノベーションを創出していくための活動を戦略的かつ効率的に実施すること等を通じ、世界トップに立つ研究機関を目指していくことが期待される。


I.中期目標の期間 

 産総研の平成22年度から始まる第3期における中期目標の期間は、5年(平成22年4月〜平成27年3月)とする。

II.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上

1.「課題解決型国家」の実現に向けた研究開発の重点分野

(1)世界をリードする「グリーン・イノベーション」、「ライフ・イノベーション」の推進

  • グリーン・イノベーションについて、太陽光発電、蓄電池、次世代自動車、ナノ材料、情報通信システムの低消費電力化等の技術開発を加速化する。また、第3期中期目標期間中に実用化の可能性が高い技術について、重点的に取り組む。太陽光発電等の新規技術の性能や信頼性に係る評価技術の開発を推進する。
  • ライフ・イノベーションについて、産総研の有する高度なものづくり技術を最大限に活用し、創薬、再生医療、遠隔医療システム、介護・福祉ロボット等の技術開発を推進する。また、ロボットの性能・安全性評価技術を重点的に開発する。
  • 上記の技術開発においては、要素技術の開発にとどまらず、技術のシステム化及びその社会への導入のために必要な研究開発もあわせて推進する。

(2)他国の追従を許さない先端的技術開発の推進

  • 産業競争力の維持、強化のために必要な情報通信技術、材料・部材技術、製造プロセス技術等に関する革新的な技術開発を行う。

2.地域活性化の中核としての機能強化

(1)地域経済の競争力を支える最高水準の研究開発の推進

  • 地域センターは、バイオものづくり、蓄電池等地域の産業集積等を踏まえて研究分野を重点化し、国内最高水準の研究開発を推進する。
  • 地域センターは、各地域で重点化した分野において、企業の研究人材を積極的に受け入れ、共同研究を効率的に推進する。

(2)中小企業への技術支援・人材育成の強化

  • 中小企業が行う研究開発から生まれた製品の実証試験・性能評価等を支援し、その事業化を促進する。そのため、産総研の設備等の供用、公設試験研究機関等との連携等を積極的に行う。
  • 中小企業との共同研究、技術相談等の件数を増大させる。
  • 共同研究を通じて、中小企業の研究者を積極的に受け入れる。また、技術研修等を通じ、先端的な技術開発等に対応できる中小企業の人材の育成を推進する。

3.産業や社会の「安全・安心」を支える基盤の整備

(1)国家計量標準の高度化及び地質情報の戦略的整備

  • ナノスケール等の高度な計測ニーズや新素材の安全性評価等に応えるため、計量標準の高度化、新規標準物質の提供等を行う。
  • 資源エネルギーの安定供給の確保、防災等のため、地質調査を行うとともに、従来に比してより詳細な地質図の作成等を行う。

(2)新規技術の性能及び安全性の評価機能の充実

  • 研究開発によって得られた新規技術の社会への普及に不可欠な性能及び安全性の評価について、民間企業とのコンソーシアム等を活用しつつ、評価技術の開発、基準の作成を推進する。そのため、産総研内に性能及び安全性評価の推進を主務とする組織を設置する。
  • 開発した性能及び安全性評価技術の標準化を進めるとともに、蓄積した技術や知見等について民間認証機関への移転を推進する。
  • 環境配慮素材の物性等の性能・安全性のデータベースの整備を推進する。

(3)研究開発成果の戦略的な国際標準化、アジアへの展開

  • 研究開発プロジェクトの企画の段階から、標準化を見据えたものとし、国際標準化の提案を拡大する。我が国の提案の実現に向け、国際標準化を検討する国際会議等への専門家の派遣数を拡大する。
  • 環境技術やその性能、信頼性に係る評価技術等の分野について、アジア諸国等の評価機関等との技術協力を行うとともに、可能な分野において国際標準化に向けた共同作業を行う。

4.「知恵」と「人材」を結集した研究開発体制の構築

(1)産学官が結集して行う研究開発の推進

  • ナノテクノロジー、太陽光発電、蓄電池、ロボット等の分野において、つくばセンターや地域センターの研究環境を整備すること等を通じて産業界、大学及び公的研究機関の多様な人材を結集し、世界をリードする研究開発を推進する。あわせて、施設や設備の外部利用、共同研究時の知的財産の保有に関するルール作り等を行う。
  • 世界トップに立つ研究機関を目指し、論文数の拡大を推進するとともに、その論文の被引用数に基づく世界ランキングの向上を実現する。

(2)戦略的分野における国際協力の推進

  • 燃料電池、バイオ燃料の技術等のクリーン・エネルギー技術分野における米国の国立研究所との間の共同研究等を推進し、国際的な人材交流、研究テーマの拡大を実施する。
  • バイオマス等において、アジア諸国等の研究機関との間で、現地における実証、性能評価に関する研究協力等を拡大する。

(3)若手研究者のキャリアパス支援及び研究人材の交流推進

  • 産総研を通じてポスドク等の研究人材を共同研究の相手先企業に派遣すること等により、若手研究者の能力向上や就職の機会を拡大する。
  • 企業の研究人材の受入れや産総研研究者の企業への派遣等、人材交流を拡大する。

5.研究開発成果の社会への普及

(1)知的財産の重点的な取得と企業への移転

  • 産総研として取得し管理すべき知的財産の対象を重点化するため、知的財産の取得や管理に係る方針を策定する。
  • 円滑な技術移転を実現するため、知的財産権の対価の柔軟化など、管理体制等を見直す。

(2)研究開発成果を活用したベンチャー創出支援

  • 産総研の研究成果だけでなく、大学、他の研究機関等の成果を組み合わせた事業創出を支援する。事業の円滑な発展のため、産総研職員の企業における兼業等を促進する。

(3)企業や一般国民との直接対話を通じた広報の強化

  • オープンラボ等を通じた積極的な広報により、研究者や国民に対し産総研の成果を直接アピールする機会を拡大し、認知度を高める。

6.その他

  • 平成24年3月31日限りで特許庁からの委託による特許生物株の寄託や分譲等の業務等の全部を廃止する。なお、当該業務については、同年4月1日から独立行政法人製品評価技術基盤機構が承継する。
  • 上記1〜5を踏まえ、下記の分野について、それぞれ別表に示した具体的な技術開発を進める。

    鉱工業の科学技術   【別表1】

    地質の調査       【別表2】

    計量の標準       【別表3】