独立行政法人産業技術総合研究所
現在位置産総研について業務方法書・計画・報告・規程等 > 産業技術総合研究所 第3期 中期計画


産業技術総合研究所 第3期 中期計画

別表1 鉱工業の科学技術

I.グリーン・イノベーションを実現するための研究開発の推進

 グリーン・イノベーションを実現するためには、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量削減と、資源・エネルギーの安定供給の確保を同時に図る必要がある。温室効果ガスの排出量削減のため、再生可能エネルギーの導入と利用拡大を可能とする技術及び運輸、民生等各部門における省エネルギー技術の開発を行う。資源・エネルギーの安定供給のため、多様な資源の確保と有効利用技術、代替材料技術等の開発を行う。将来のグリーン・イノベーションの核となるナノ材料等の融合による新機能材料や電子デバイスの技術の開発を行う。産業部門については、省エネルギー技術に加えて環境負荷低減や安全性評価と管理、廃棄物等の発生抑制と適正処理に関する技術の開発を行う。

1.再生可能エネルギーの導入拡大技術の開発

 再生可能エネルギーは枯渇の心配がなく、低炭素社会の構築に向けて導入拡大が特に必要とされるエネルギーである。このため、再生可能エネルギー(太陽光、バイオマス、風力、地熱等)を最大限有効利用するための技術の開発を行う。また、再生可能エネルギーの需要と供給を調整し、末端最終ユーザへの安定供給を行うために必要なエネルギー貯蔵、パワーエレクトロニクス、エネルギーネットワークにおける統合制御技術の開発を行う。

1-(1) 太陽光発電の効率、信頼性の向上技術

 太陽光発電技術に関して、共通基盤技術及び長寿命化や発電効率の向上等に関する技術の開発を行う。具体的には、太陽光発電普及に不可欠な基準セル校正技術、評価技術、診断技術等の基盤技術開発を行い、中立機関としてその技術を産業界に提供するとともに、標準化に向けた活動を行う。また、長寿命化、高信頼性化のために構成部材、システム技術等の開発を行うとともに寿命の検証のための評価技術の開発を行う。

1-(1)-@ 太陽光発電の共通基盤技術の開発及び標準化 (W-3-(1)-Aへ再掲)

 太陽光発電システム普及のための基盤となる基準セル校正技術、高精度性能評価技術、屋外性能評価技術、信頼性評価技術、システム評価技術、システム故障診断技術等を開発し、それらを産業界に供給する。性能評価の繰り返し精度を1%以下に向上させる。
 国内企業の国際競争力の向上に資するため、国際的な研究機関や企業と協調、連携し、IEC 等の国際規格やJIS 等の国内規格、工業標準の提案、策定、審議に参画する。

1-(1)-A 太陽光発電の長寿命化及び高信頼性化

 太陽光発電システムの寿命及び信頼性の向上のために、太陽電池モジュール構成部材、システム構成部材、システム運用技術等を開発する。新規部材を用いること等により、太陽電池モジュールの寿命を現行の20年から30年に向上させるとともに、それを検証するための加速試験法等の評価技術を開発する。

1-(1)-B 太陽光発電の高効率化

 太陽光発電システムの低コスト化に直結する発電効率の大幅な向上を目指し、結晶シリコン、薄膜シリコン、化合物薄膜、有機材料、それぞれの太陽電池デバイス材料の性能に関して、相対値で10%以上の効率向上のため、表面再結合の抑制と高度光閉じ込めにより、安定で高性能な新材料や、それを用いた多接合デバイスを開発する。

1-(2) 多様な再生可能エネルギーの有効利用技術

 温暖化防止や新たなエネルギー源の確保のため、バイオマス資源、風力、地熱及び次世代太陽光利用等、多様な再生可能エネルギーの利用に必要となる要素技術、評価技術等の開発を行う。
 具体的には、非食料バイオマス資源を原料とする燃料製造技術、高品質化技術等の開発を行う。また、我が国の気象条件を考慮した、安全性や信頼性に優れた風力発電のための技術の開発を行う。地熱資源開発のための評価技術、特に低温地熱資源のポテンシャル評価技術の開発を行い、地熱発電及び地中熱利用システムの開発普及に寄与する。さらに、多様な再生可能エネルギーについての情報を収集し、必要に応じて新たな技術の開発に着手する。

1-(2)-@ バイオマスからの液体燃料製造及び利用技術の開発 (T-3-(1)-Cへ再掲)

 バイオ燃料製造技術の早期実用化を目指して、高効率バイオ変換(酵素糖化、発酵)技術、熱化学変換(ガス化、触媒合成)技術、及びトータルバイオマス利用評価技術を開発する。特に、エネルギー収支2.0(産出エネルギー/投入エネルギー)以上の高効率バイオ燃料製造プロセスの基盤技術を開発する。
 油脂系バイオマスの化学変換(触媒存在下の熱分解や水素化処理及びそれらの組み合わせ処理)により、低酸素の自動車用炭化水素系燃料(重量比酸素分0.1%未満)を製造する第2世代バイオ燃料製造技術を開発する。また、東アジアサミット推奨及び世界燃料憲章提案の脂肪酸メチルエステル型バイオディーゼル燃料(BDF)品質を満たすために、第1世代BDF の高品質化技術(酸化安定性10h 以上)等を開発する。同時に、市場導入に必要な燃料品質等の国内外の標準化を行う。

1-(2)-A 風力発電の高度化と信頼性向上

 我が国の厳しい気象や風特性を反映した風特性モデルを開発し、安全性と信頼性に優れた普遍的な風車技術基準をIEC 国際標準として提案する。また、高度な風洞実験やシミュレーション技術を援用することにより、風速のリモートセンシング技術の精度と信頼性を向上させ、超大形風車ウィンドファームの発電量を数パーセント以下の不確かさで評価する技術を開発する。

1-(2)-B 地熱資源のポテンシャル評価 (別表2-2-(2)-Aの一部を再掲)

 再生可能エネルギーとして重要な地熱資源の資源ポテンシャルを地理情報システムによって高精度で評価し、全国の開発候補地を系統的に抽出する。また、地熱開発促進にむけて地熱利用と温泉保全の両立を図るため、温泉発電技術や貯留層探査評価技術を含む地熱技術を開発する。さらに、地中熱利用のため、平野部等の地下温度構造及び地下水流動モデルを構築する。

1-(2)-C 次世代型太陽光エネルギー利用技術

 太陽光エネルギーを直接利用した水の分解により水素を製造する、可視光応答性の光触媒や光電極による分解プロセスの効率向上を目的とした、光電気化学反応技術を開発する。また、人工光合成システムの経済性や実現可能性を検証する。
 色素増感太陽電池の高性能化と耐久性向上を目的として、増感色素や半導体電極、電解質、対極、封止材、セル構造等の改良を図る。色素増感太陽電池の早期実用化への貢献を目指し、新規色素や半導体を30種類以上開発し、データベース化する。

1-(3) 高効率なエネルギーマネジメントシステム

 自然エネルギーの導入拡大等による出力変動を吸収して安定した電力を供給するための技術の開発を行う。具体的には、エネルギー貯蔵技術、パワーエレクトロニクス技術、情報通信技術等を活用して、地域の電力網における電力供給を安定させるためのエネルギーネットワーク技術の開発を行う。また、高効率電力ネットワークシステムに必要となる電力変換器の高効率化と高密度化を実現する素子の開発を行うとともに、その量産化、集積化及び信頼性向上に必要な技術の開発を行う。

1-(3)-@ エネルギーネットワーク技術の開発 (T-2-(2)-@へ一部再掲)

 太陽電池等の再生可能エネルギー機器が高密度に導入された住宅地域のエネルギーネットワークを設計、評価する技術及びネットワークを効率的に運用するためのマネジメント技術を開発する。数百戸規模の住宅における実用化を目指して、数十戸規模の住宅を対象とした研究を行う。また、電力系統の再生可能エネルギー発電受入れ可能量を大幅に拡大するための負荷制御技術等を、試作器の開発等により実証する。
 電力計に内蔵される電力線通信機器(PLC)を開発し、家電や太陽光発電装置等との通信、制御を実現することにより、PLC によるエネルギーマネジメントの有効性を実証する。また、発電システム効率の5%向上を図るため、太陽光発電パネルのメンテナンス時期と故障を検知し、パネル単位での制御を可能にする直流用PLC を開発する。

1-(3)-A 電力変換エレクトロニクス技術の開発

 電力エネルギーの高効率利用を可能とするSiC やGaN 等の新規半導体材料を用いた高性能パワー素子モジュール及びそれらを用いた電力変換エレクトロニクス技術を開発する。具体的には、SiC、GaN 素子の普及に必要となる低コスト大口径高品質ウェハ製造技術、高信頼でより低損失高耐圧なパワー素子技術とその量産化技術(50A級素子歩留まり70%)、高機能を実現する10素子規模の集積化技術、200〜250℃の高温実装技術や、25〜30W/cm3の高出力パワー密度化技術を統合した回路設計、製作技術を開発する。
 省エネルギーに効果的な次世代ダイヤモンドパワーデバイスの実用化を目指して、結晶欠陥評価技術の高度化により低欠陥高品質エピタキシャル膜の製造技術を開発する。また、実用的な縦型構造を有し、低損失かつ冷却フリ−で250℃において動作するパワーダイオードを開発する。

2.省エネルギーによる低炭素化技術の開発

 省エネルギーによる温室効果ガス削減は、再生可能エネルギー導入に比べて、直接的かつ早期の効果が期待されている。運輸部門での省エネルギーのため、自動車等輸送機器の効率向上のための技術及び中心市街地での搭乗移動や物流搬送等を動的に行うための技術の開発を行う。また、民生部門での省エネルギーのため、戸建て住宅等のエネルギーを効率的に運用するマネジメントシステムの開発とともに、高性能蓄電デバイス、燃料電池、省エネルギー部材の開発を行う。さらに、将来のエネルギー消費増加の要因になることが懸念される情報通信にかかわる省エネルギーのため、電子デバイス、集積回路、ディスプレイ、入出力機器、光ネットワークの高機能化と省エネルギー技術の開発を行う。

2-(1) 運輸システムの省エネルギー技術

 運輸部門での省エネルギーによる温室効果ガス削減に貢献するため、次世代自動車等輸送機器のエネルギー貯蔵、高効率化技術や新たな運輸システム技術の開発を行う。具体的には、次世代自動車用蓄電デバイスの高性能化、低コスト化につながる材料の開発を行う。燃料電池自動車用に、燃料電池の低コスト化、耐久性の向上に必要な先端的部材の開発と反応解析、信頼性試験等の技術開発を行うとともに、安全な高圧水素貯蔵システムの開発を行う。輸送機器の軽量化のための軽量合金の高性能部材化に向けた総合的な技術開発、低燃費と同時に排気ガス規制を満たす自動車のエンジンシステム高度化技術の開発を行う。上記の輸送機器の効率向上に加えて、運輸システム全体の省エネルギー化のため、情報通信機器を用いた市街地移動システムに関する技術の開発を行う。

2-(1)-@ 次世代自動車用高エネルギー密度蓄電デバイスの開発 (W-1-(1)-Cへ一部再掲)

 電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等の次世代自動車普及の鍵となる蓄電池について、安全と低コストを兼ね備えた高エネルギー密度電池(単電池で250Wh/kg 以上)の設計可能な電池機能材料(正極材料、負極材料等)を開発する。また、革新型蓄電池系(空気電池等)の実用可能性を見極めるための性能評価を行う。さらに、未確立である蓄電池の寿命検知と診断解析技術の確立を目指し、電池の寿命に最も影響を及ぼす電池材料の劣化因子を確定する。
 新規の蓄電池構成材料の開発を加速するため、材料を共通的に評価、解析する技術を開発する。
 エネルギー密度500Wh/kg 以上の革新型蓄電池の開発を目指し、ハイブリット電解質を利用した二次電池の固体電解質の耐久性を向上させる。さらに、安全性に優れた準固体型及び全固体型のリチウム-空気電池を開発し、単セルでの動作を実証する。

2-(1)-A 燃料電池自動車用水素貯蔵技術の開発

 水素貯蔵材料の開発を目的として、構造解析技術、特に水素吸蔵状態を「その場観察」できる手法(「その場」X線・中性子回折、陽電子消滅、核磁気共鳴等)を開発する。この技術を用いて、材料の水素貯蔵特性と反応機構を解明し、得られた知見から、高い貯蔵密度(重量比5%、50g/リットル)と優れた繰り返し特性を有する材料の設計技術を開発する。
 安全な高圧水素利用システムを開発するため、水素材料強度データベース及び水素破面と組織データベースを構築する。また、燃料電池車や水素ステーションの高圧水素容器開発指針、水素輸送技術開発指針を関連業界に提案し、評価設計手法、及び実証実験手法を開発する。さらに、水素関連機器の開発促進と安全性向上に寄与するために、水素と高分子材料の関係や水素とトライボロジーの関係を解明するとともに、その利用普及を進めるため、水素基礎物性データベースを構築する。

2-(1)-B 軽量合金による輸送機器の軽量化技術の開発

 省エネルギーに有効な輸送機器の軽量化を可能にするため、マグネシウム等の軽量合金の特性向上を図るとともに、金属材料の耐食性試験(JISZ2371)を基に規定される塩水噴霧/高温乾燥/高温湿潤の複合サイクル試験において300時間以上耐久可能な低コスト表面処理技術を開発する。また、強度と剛性を低下させずに常温プレス加工性を改善し、高い比強度(引っ張り強さ/比重:160MPa 以上)とアルミニウム合金並みの成形性を示すマグネシウム合金圧延材を開発する。

2-(1)-C 自動車エンジンシステムの高度化技術

 新たな排出ガス規制値を満たしつつ、燃費の向上を目指し、新燃料と駆動システムの最適化、燃焼制御技術の向上、排出ガス浄化技術の高度化により、超低環境負荷ディーゼルエンジンシステム、及びこれらを評価する計測技術を開発する。また、低品質燃料から低硫黄・低芳香族燃料(硫黄分1〜2ppm 未満)や高H/C(水素/炭素原子比)の高品質燃料を製造する技術等を開発し、市場導入に必要な燃料品質等の評価を行う。

2-(1)-D 市街地移動システム技術の開発

 低炭素社会実現に貢献する都市計画の1つであるコンパクトシティ構想に貢献するための技術として、中心市街地での搭乗移動や物流搬送等を自律的に行うための研究開発を行う。具体的には、パーソナルモビリティによる市街地における長距離自律走行(3km以上)と協調に基づく高効率化、施設等で試験運用可能なレベルの自律・協調搬送システム、高効率な搬送経路計画のための市街地等広範囲環境情報取得技術を開発する。

2-(2) 住宅、ビル、工場の省エネルギー技術

 民生部門での温室効果ガス削減に貢献するため、住宅、ビル、工場等での省エネルギー技術の開発を行う。具体的には、戸建て住宅等におけるエネルギーの負荷平準化に不可欠なエネルギーマネジメントシステム、蓄電デバイスである二次電池及びキャパシタの高エネルギー密度化技術の開発を行う。また、定置用燃料電池の耐久性と信頼性の向上に資する基盤技術と、燃料多様化、高効率・低コスト化のための新規材料、評価技術の開発を行う。未利用熱エネルギーの有効利用のため、熱電発電システムの発電効率、信頼性の向上や長寿命化のための材料技術の開発を行うとともに、材料及び発電モジュールの評価方法や寿命予測手法の開発を行う。加えて、省エネルギーと快適性の両立を目的とした調光窓材、外壁材等の建築部材及び家電部材の開発を行う。

2-(2)-@ エネルギーマネジメントシステムのための技術開発 (T-1-(3)-@を一部再掲)

 戸建て住宅に関して二酸化炭素削減率20%の達成を目標として、戸別・集合住宅又はビル・地域単位でのエネルギーを効率的に運用するためのエネルギーマネジメント技術を開発する。重要な要素技術として、負荷平準化に不可欠な高エネルギー密度化を可能とする蓄電デバイス(二次電池で250Wh/kg、キャパシタで18Wh/kg)を開発する。また、電力マネジメントに必須の電力変換器について、高密度化、耐高温化のためのダイヤモンド半導体等新材料を含む電力変換デバイスを開発する。
 電力計に内蔵される電力線通信機器(PLC)を開発し、家電や太陽光発電装置等との通信、制御を実現することにより、PLC によるエネルギーマネジメントの有効性を実証する。また、発電システム効率の5%向上を図るため、太陽光発電パネルのメンテナンス時期と故障を検知し、パネル単位での制御を可能にする直流用PLC を開発する。

2-(2)-A 燃料電池による高効率エネルギー利用技術の開発

 固体酸化物形燃料電池(SOFC)の高耐久性、高信頼性(電圧劣化率10%/40,000h、250回のサイクル)に資するため、ppm レベルの不純物による劣化現象及び機構を解明し、その対策技術を開発する。また、燃料多様化、高効率・低コスト化のための新規材料、評価技術を開発する。
 50%を超える発電効率を目指し、90%以上まで燃料利用率を向上させる技術、排熱有効利用技術等の要素技術を開発する。また、SOFC システムからの二酸化炭素回収システムとSOFC を組み合わせたゼロエミッションシステムの性能を評価する。
 家庭用燃料電池コージェネレーションの普及のために固体高分子形燃料電池の大幅な低コスト化と高耐久化の両立を目指し、白金使用量を1/10に低減できる電極材料技術を開発する。さらに、アルコールを燃料とするダイレクト燃料電池へ展開できる材料系を開発する。
 大きな熱需要が見込まれる建物を対象として、高効率な水素製造技術、貯蔵技術、供給技術、燃料電池等からなるシステムを開発する。

2-(2)-B 未利用熱エネルギーの高度利用技術の開発

 熱電発電システムの経済性の改善に資する発電効率向上や高耐久、長寿命化のための材料技術を開発する。例えば、発電効率13%以上の実現に必要な要素技術を開発するとともに、材料及び発電モジュールの評価方法や寿命予測手法を開発する。
 未利用熱から80〜200℃の高温水や蒸気を成績係数(COP)3以上の効率で生成し、需要に適応した供給を可能とするシステムを目指し、作動媒体の圧縮作用と吸収作用を併用するヒートポンプ技術やカプセル型の潜熱蓄熱及び熱輸送技術を開発する。また、常温近傍でCOP5以上の冷暖房及び給湯を可能とする直膨式の地中熱交換の基盤技術を開発する。

2-(2)-C 省エネルギー型建築部材及び家電部材の開発

 省エネルギーと快適性の両立を目的とした建築部材を開発する。具体的には、調光窓材、木質材料、調湿材料、外壁材等の機能向上を図るとともに、実使用環境での省エネルギー性能評価デ−タを蓄積する。調湿材料については、相対湿度60%前後での吸放湿挙動に優れた材料を内装建材に応用する技術、調光窓材については、透明/鏡状態のスイッチングに対する耐久性を10,000回以上(1日当たりの透明/鏡状態のスイッチングを1回とした場合、20年以上に相当)にする技術を開発する。
 照明の省エネルギー化による希土類蛍光ランプの需要増に対応し、Tb(テルビウム)、Eu(ユウロピウム)の使用量を40%低減するため、ランプの光利用効率を30%向上させるガラス部材や蛍光体の使用量を10%低減できる3波長蛍光体の分離、再利用技術を開発する。

2-(3) 情報通信の省エネルギー技術

 エネルギー消費の増加要因となることが懸念される情報通信の省エネルギー技術の開発を行う。具体的には、電子デバイス及び集積回路の省エネルギー技術、ディスプレイ及び入出力機器の高機能化と省エネルギーのための複合構造光学素子等の技術開発を行う。また、大容量情報伝送の省エネルギー化のための光ネットワーク技術の開発や、情報処理システムの省エネルギー化に資するソフトウェア制御技術の開発を行う。特に、コンピュータの待機電力を1/5に削減可能な不揮発性メモリ技術や既存のネットワークルータと比べてスループットあたり3桁消費電力の低い光パスネットワークによる伝送技術の開発を行う。

2-(3)-@ 電子デバイス及び集積回路の省エネルギー化

 情報通信機器を構成する集積回路デバイスの低消費電力化技術を開発する。具体的には、処理待ち時間に情報を保持するために必要な電力が1/10以下となるSRAM、1V 以下で動作可能なアナログ回路、データセンタのストレージ用強誘電体フラッシュメモリ、無線ネットワーク用途のモノリシック集積デバイス等を開発するとともに、3次元LSI 積層実装技術を活用した超並列バス・マルチコアアーキテクチャーと高熱伝導構造の採用による低消費電力LSI 実装システムを開発する。
 コンピュータの待機電力を1/5に削減可能にするために、スピントロニクスとナノテクノロジーを融合したナノスピントロニクス技術を用い、DRAM やSRAM の置き換えを可能とする不揮発性メモリ技術を開発する。
 コンピュータの消費電力を削減するために、半導体ロジックの動作電圧を0.5V 以下に、不揮発性メモリの書き込みエネルギーをビット当たり0.5nJ 以下に低減させることを目指して、ナノレベルの新デバイス技術及び計測技術を開発する。

2-(3)-A ディスプレイ及び入出力機器の省エネルギー化

 ディスプレイ及び入出力素子作製技術の高度化のための省資源、低消費電力製造プロセスとして、ナノプリント、ナノモールド法等のデバイスの低温形成、印刷形成技術を開発する。これを用いて、10cm2/Vs 以上の電荷移動度を有する塗布形成半導体、150℃以下での低温焼結で7MV/cm以上の絶縁耐圧を示す塗布形成絶縁層及び10−6Ωp台の抵抗率を示す塗布形成導電材料の開発や、大面積パターニング技術の開発により、超低消費電力(1インチあたり1W 以下)薄型軽量ディスプレイの実現を可能にする技術や印刷光エレクトロニクス素子を開発するとともに、情報家電の小型、省エネルギー化に向けた複合構造光学素子を開発する。

2-(3)-B 光ネットワークによる情報通信の省エネルギー化 (V-1-(1)-Bへ再掲)

 高精細映像等の巨大コンテンツを伝送させる光ネットワークを実現するために、既存のネットワークルータに比べてスループットあたり3桁低い消費電力でルーティングを行う光パスネットワーク技術を開発する。具体的には、ルートを切り替えるシリコンフォトニクス、ガラス導波路技術を用いた大規模光スイッチ、伝送路を最適化する技術、及び光パスシステム化技術を開発する。また、1Tb/s 以上の大伝送容量化を目指して、多値位相変調や偏波多重を含む超高速光多重化のためのデバイス及び光信号処理技術を開発する。

2-(3)-C ソフトウェア制御による情報処理システムの省エネルギー化

 情報処理システムで用いられる計算機、ストレージ、ネットワーク等の資源について、ミドルウェア技術によりエネルギー指標に基づく資源の選択を実現し、物理資源の利用効率を向上させ、30%の消費電力削減を目指す。利用者の利便性を損なうことなく省エネルギーを実現するため、その時々の需要や環境に応じてエネルギー消費の小さな資源を使う等、資源の選択や利用法の最適化を行うミドルウェア技術を開発する。

3.資源の確保と高度利用技術の開発

 物質循環型社会の実現のためには、炭素資源、鉱物資源等、多様な資源の確保とその有効利用が不可欠である。そのため、バイオマス資源等、再生可能資源を原料とする化学品及び燃料製造プロセスの構築に向けて、バイオ変換、化学変換、分離精製等の技術の高度化を図る。また、化石資源(石炭、メタンハイドレート等)や鉱物資源(レアメタル、貴金属等)等、枯渇性資源を高度に利用する技術や省使用化技術、リサイクル技術、代替技術等の開発を行う。

3-(1) バイオマスの利用拡大

 化学品製造等において、石油に代表される枯渇性資源ではなく再生可能資源を効果的に活用するための技術の開発を行う。具体的には、バイオマスを原料とする機能性化学品及び燃料製造プロセスの拡大に必要な酵素や微生物等によるバイオ変換、触媒による化学変換、分離精製、熱化学変換(ガス化、触媒合成)等の基盤技術と高度化技術の開発を行う。また、全体プロセスの設計と燃料品質等の標準化の提案を行う。

3-(1)-@ バイオマスを利用する材料及びプロセス技術

 バイオマスから、酵素や微生物等によるバイオ変換や触媒による化学変換と分離、精製、濃縮技術等を用い、基幹化学物質やグリセリン誘導体等の機能性化学品を効率よく生産するプロセス技術を開発する。特に、グリセリン利用においては、変換効率70%以上の技術を開発する。また、製品中のバイオマス由来の炭素が含まれている割合を認証するための評価方法を開発し、国際標準規格策定に向けた提案を行う。さらに、バイオエタノール等の再生可能資源由来物質を原料として低級炭化水素や芳香族等を生産するバイオリファイナリーについて、要素技術及びプロセス技術を開発する。

3-(1)-A 微生物資源や有用遺伝子の探索と機能解明 (T-5-(3)-@を再掲)

 未知微生物等の遺伝資源や環境ゲノム情報、機能の高度な解析により、バイオ変換において従来にない特徴を有する有用な酵素遺伝子を10種以上取得する等、酵素、微生物を用いた実用的な高効率変換基盤技術を開発する。

3-(1)-B 生体高分子や生体システムの高機能化によるバイオプロセスの高度化(T-5-(3)-Aを再掲)

 バイオプロセスに有用な生体高分子の高機能化を行うとともに、生物情報解析技術や培養、代謝工学を利用して、機能性タンパク質、化学原料物質としての低分子化合物等を、従来よりも高品質で効率よく生産するプロセス技術を開発する。

3-(1)-C バイオマスからの液体燃料製造及び利用技術の開発 (T-1-(2)-@を再掲)

 バイオ燃料製造技術の早期実用化を目指して、高効率バイオ変換(酵素糖化、発酵)技術、熱化学変換(ガス化、触媒合成)技術、及びトータルバイオマス利用評価技術を開発する。特に、エネルギー収支2.0(産出エネルギー/投入エネルギー)以上の高効率バイオ燃料製造プロセスの基盤技術を開発する。
 油脂系バイオマスの化学変換(触媒存在下の熱分解や水素化処理、及びそれらの組み合わせ処理)により、低酸素の自動車用炭化水素系燃料(重量比酸素分0.1%未満)を製造する第2世代バイオ燃料製造技術を開発する。また、東アジアサミット推奨及び世界燃料憲章提案の脂肪酸メチルエステル型バイオディーゼル燃料(BDF)品質を満たすために、第1世代BDF の高品質化技術(酸化安定性10h 以上)等を開発する。同時に、市場導入に必要な燃料品質等の国内外の標準化を行う。

3-(2) 化石資源の開発技術と高度利用技術

 天然ガスや石炭等の化石資源の確保と高度な転換、利用に資する技術の開発を行う。具体的には、将来の天然ガス資源として期待されているメタンハイドレートから天然ガスを効率的に生産するため、分解採収手法の高度化等の技術開発を行う。また、引き続き世界の主力エネルギー源の一つである石炭の有効利用のため、次世代石炭ガス化プロセス等にかかわる基盤技術の開発を行う。

3-(2)-@ メタンハイドレートからの天然ガス生産技術の開発

 我が国周辺海域等に賦存し、将来の天然ガス資源として期待されているメタンハイドレートから安定かつ大量に天然ガスを生産する分解採収手法を開発する。このため、分解採収手法の高度化、想定される生産障害の評価、メタンハイドレート貯留層モデルの構築、生産時の地層挙動の評価及び生産挙動を予測するシミュレータ等を開発する。メタンハイドレート貯留層特性に応じた天然ガス生産手法を最適化するため、室内産出試験設備等によりフィールドへの適用性を評価する。

3-(2)-A 次世代ガス化プロセスの基盤技術の開発

 高効率な石炭低温水蒸気ガス化方式により、ガス化温度900℃以下でも、冷ガス効率80%以上を可能とする低温ガス化装置を開発する。さらに、低温ガス化プロセスを利用し、無灰炭や低灰分炭の特性を生かし、H2/CO 比を1〜3の範囲で任意に調整し化学原料等にする技術を開発する。また、石炭利用プロセスにおける石炭中の有害微量元素類の挙動を調べるための分析手法を開発し、標準化手法を提案する。

3-(3) 資源の有効利用技術及び代替技術

 偏在性による供給不安定性が懸念されているレアメタル等を有効利用するための技術及び資源の省使用、代替材料技術の開発を行う。具体的には、レアメタル等の資源確保と同時に有害金属類のリスク管理に資するため、ライフサイクルを考慮した物質循環フローモデルを構築する。また、廃棄物及び未利用資源からレアメタル等を効率的に分別、回収する技術の開発を行う。省使用化、代替材料技術として、タングステン使用量を30%低減する硬質材料製造技術の開発を行う。また、レアメタル等の鉱床探査とリモートセンシング技術を用いた資源ポテンシャル評価を行う。

3-(3)-@ マテリアルフロー解析

 有害金属類のリスク管理やレアメタル等の資源確保に係る政策に資するため、国内外での生産や廃棄、リサイクルを含む、ライフサイクルを考慮した物質循環フローモデルを開発する。具体的には、有害性と資源性を持つ代表的な物質である鉛を対象に、アジア地域を対象としてフローモデルを開発する。次に、鉛において開発した手法やモデルを基礎として、他のレアメタル等へ展開する。

3-(3)-A レアメタル等金属や化成品の有効利用、リサイクル、代替技術の開発

 レアメタル等の有用な材料の安定供給に資するため、使用済み電気・電子製品等の未利用資源を活用する技術を開発する。具体的には、金属や化成品の回収及びリサイクル時における抽出率、残渣率、所要段数、利用率等の効率を50%以上向上させる粒子選別技術、元素レベルでの分離精製技術及び精密反応技術を開発する。
 先端産業に不可欠なレアメタル等の省使用化、代替技術を開発する。具体的には、界面制御や相制御により、レアメタル国家備蓄9鉱種の1つであるタングステン使用量を30%低減する硬質材料の製造技術、ディーゼル自動車排ガス浄化用触媒の白金使用量削減技術や重希土類を含まない磁性材料の製造技術等を開発する。

3-(3)-B レアメタル等の鉱床探査と資源ポテンシャル評価 (別表2-2-(2)-@を一部再掲)

 微小領域分析や同位体分析等の手法を用いた鉱物資源の成因や探査法に関する研究、リモートセンシング技術等を用いて、レアメタル等の鉱床の資源ポテンシャル評価を南アフリカ、アジア等で実施し、具体的開発に連結しうる鉱床を各地域から抽出する。
 海洋底資源の調査研究については、海洋基本計画に則り、探査法開発、海底鉱物資源の分布や成因に関する調査研究を実施するほか、海洋域における我が国の権益を確保するため、大陸棚画定に係る国連審査を科学的データの補充等によりフォローアップする。

4.グリーン・イノベーションの核となる材料、デバイスの開発

 部材、部品の軽量化や低消費電力化等による着実な省エネルギー化とともに次世代のグリーン・イノベーションを目的として、従来にない機能や特徴を持つ革新的材料及びデバイスの開発を行う。具体的には、ナノレベルで機能発現する新規材料や多機能部材の開発を行う。また、部品、部材の軽量化や新機能の創出が期待される炭素系新材料の産業化を目指した量産化技術の開発と応用を行う。さらに、ナノテクノロジーを駆使して、電子デバイスの高機能化・高付加価値化技術の開発を行う。ナノエレクトロニクス等の材料及びデバイス研究開発に必要な最先端機器共有施設を整備し、効率的、効果的なオープンイノベーションプラットフォームとして活用する。

4-(1) ナノレベルで機能発現する材料、多機能部材 (V-2-(1)へ再掲)

 省エネルギーやグリーン・イノベーションに貢献する材料開発を通じてナノテクノロジー産業を強化するために、ナノレベルで機能発現する新規材料及び多機能部材の開発、ソフトマテリアルのナノ空間と表面の機能合成技術や自己組織化技術を基にした省エネルギー型機能性部材の開発を行う。また、新規無機材料や、有機・無機材料のハイブリッド化等によってもたらされるナノ材料の開発を行う。さらに、革新的な光、電子デバイスを実現するナノ構造を開発するとともにこれらの開発を支援する高予測性シミュレーション技術の開発を行う。

4-(1)-@ ソフトマテリアルを基にした省エネルギー型機能性部材の開発

 調光部材、情報機能部材、エネルギー変換部材等の省エネルギー型機能性部材への応用を目指して、光応答性分子、超分子、液晶、高分子、ゲル、コロイド等のソフトマテリアルのナノ空間と表面の機能合成技術、及びナノメートルからミリメートルに至る階層を越えた自己組織化技術を統合的に開発する。

4-(1)-A 高付加価値ナノ粒子製造とその応用技術の開発

 ナノ粒子の製造技術や機能及び構造計測技術の高度化を図ることにより、省エネルギー電気化学応答性部材、高性能プリンタブルデバイスインク、低環境負荷表面コ−ティング部材、高性能ナノコンポジット部材等の高付加価値ナノ粒子応用部材を開発する。

4-(1)-B 無機・有機ナノ材料の適材配置による多機能部材の開発

 セラミックス、金属、ポリマー、シリコン等の異種材料の接合及び融合化と適材配置により、従来比で無機粉末量1/2、熱伝導率同等以上、耐劣化性付与の無機複合プラスチック部材、ハイブリッドセンサ部材、数ppm の検知下限で水素、メタン、一酸化炭素等をガスクロマトグラフなしで一度に計測可能なマルチセンサ部材等の多機能部材を開発する。このために必要な製造基盤技術として、ナノ構造を変えることなくナノからマクロにつなぐ異種材料のマルチスケール接合及び融合化技術を開発する。

4-(1)-C ナノ構造を利用した革新的デバイス材料の開発

 ナノギャップ電極間で生じる不揮発性メモリ動作を基に、ナノギャップ構造の最適化と高密度化により、既存の不揮発性メモリを凌駕する性能(速度、集積度)を実証する。また、ナノ構造に起因するエバネッセント光-伝搬光変換技術を基に、ナノ構造の最適化により、超高効率な赤色及び黄色発光ダイオード(光取出し効率80%以上)を開発する。

4-(1)-D 材料、デバイス設計のための高予測性シミュレーション技術の開発

 ナノスケールの現象を解明、利用することにより、新材料及び新デバイスの創製、新プロセス探索等に貢献するシミュレーション技術を開発する。このために、大規模化、高速化のみならず、電子状態、非平衡過程、自由エネルギー計算等における高精度化を達成して、シミュレーションによる予測性を高める。

4-(2) ナノチューブ、炭素系材料の量産化技術と応用 (V-2-(2)へ再掲)

 部材、部品の軽量化や低消費電力デバイス等への応用が可能なナノチューブや炭素系材料の開発を行うとともに、これらの材料を産業に結びつけるために必要な技術の開発を行う。具体的には、カーボンナノチューブ(CNT)の用途開発と大量合成及び精製技術の開発を行う。また、グラフェンを用いたデバイスの実現を目指して、高品質グラフェンの大量合成法の開発を行う。有機ナノチュ−ブの合成法高度化と用途開発を行う。パワーデバイスへの応用を目指して大型かつ単結晶のダイヤモンドウェハ合成技術の開発を行う。

4-(2)-@ ナノチューブ系材料の創製とその実用化及び産業化技術の開発

 カーボンナノチューブ(CNT)の特性を活かした用途開発を行うとともに産業応用を実現する上で重要な低コスト大量生産技術(600g/日)や分離精製技術(金属型、半導体型ともに、分離純度:95%以上;収率:80%以上)等を開発し、キャパシタ、炭素繊維、透明導電膜、太陽電池、薄膜トランジスタ等へ応用する。また、ポストシリコンとして有望なグラフェンを用いたデバイスを目指して、高品質グラフェンの大量合成技術を開発する。さらに、有機ナノチューブ等の合成法の高度化と用途開発を行う。

4-(2)-A 単結晶ダイヤモンドの合成及び応用技術の開発

 次世代パワーデバイス用ウェハ等への応用を目指して、単結晶ダイヤモンドの成長技術及び結晶欠陥評価等の技術を利用した低欠陥2インチ接合ウェハ製造技術を開発する。

4-(3) ナノエレクトロニクスのオープンイノベーションの推進 (V-1-(3)へ再掲)

 次世代産業の源泉であるナノエレクトロニクス技術による高付加価値デバイスの効率的、効果的な技術開発のために、つくばナノエレクトロニクス拠点を利用したオープンイノベーションを推進する。つくばナノエレクトロニクス拠点において、高性能、高機能なナノスケールの電子、光デバイスの開発を行うとともに、最先端機器共用施設として外部からの利用制度を整備することにより、産学官連携の共通プラットフォームとしての活用を行う。

4-(3)-@ ナノスケールロジック・メモリデバイスの研究開発

 極微細CMOS の電流駆動力向上やメモリの高速低電圧化、集積可能性検証を対象に、構造、材料、プロセス技術及び関連計測技術を体系的に開発する。これによって、産業界との連携を促進し、既存技術の様々な基本的限界を打破できる新技術を5つ以上、創出する。

4-(3)-A ナノフォトニクスデバイスの研究開発

 LSIチップ間光インターコネクションにおいて10Tbps/cm2 以上の情報伝送密度を実現するために、半導体ナノ構造作成技術を用いて、微小光デバイス、光集積回路及び光、電子集積技術を開発する。また、3次元光回路を実現するために、多層光配線、電子回路との集積が可能なパッシブ及びアクティブ光デバイス、それらの実装技術を開発する。

4-(3)-B オープンイノベーションプラットフォームの構築

 産業競争力強化と新産業技術創出に貢献するため、ナノエレクトロニクス等の研究開発に必要な最先端機器共用施設を整備し、産総研外部から利用可能な仕組みを整えるとともに、コンサルティングや人材育成等も含めた横断的かつ総合的支援制度を推進する。当該施設の運転経費に対して10%以上の民間資金等外部資金の導入を達成する。

5.産業の環境負荷低減技術の開発

 産業分野での省エネルギー、低環境負荷を実現するためには各産業の製造プロセス革新が必要である。そのため、最小の資源かつ最小のエネルギー投入で高機能材料、部材、モジュール等を製造する革新的製造技術(ミニマルマニュファクチャリング)、化学品等の製造プロセスにおける製造効率の向上、環境負荷物質排出の極小化、分離プロセスの省エネルギー化を目指すグリーンサステナブルケミストリー技術の開発を行う。また従来の化学プロセスに比べ、高付加価値化合物の効率的な生産が可能なバイオプロセス活用技術、小型、高精度で省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)の開発を行う。さらに、様々な産業活動に伴い発生した環境負荷物質の低減及び修復に関する技術の開発を行う。

5-(1) 製造技術の低コスト化、高効率化、低環境負荷の推進

 製造プロセスの省エネルギー、低環境負荷に貢献する革新的製造技術であるミニマルマニュファクチャリングの開発を行う。具体的には、多品種変量生産に対応できる低環境負荷型製造技術、セラミック部材と表面加工技術を用いた省エネルギー製造技術及び希少資源の使用量を少なくしたエネルギー部材とモジュールの製造技術の開発を行う。また、高効率オンデマンド技術の一つとして、炭素繊維等の難加工材料の加工が可能となるレーザー加工技術の開発を行う。さらに、機械やシステムの製品設計及び概念設計支援技術の開発を行うとともに、ものづくり現場の技能の可視化等による付加価値の高い製造技術の開発を行う。

5-(1)-@ 多品種変量生産に対応できる低環境負荷型製造技術の開発

 デバイス製造に要する資源及びエネルギー消費量を30%削減するために、必要な時に必要な量だけの生産が可能で、かつ多品種変量生産に対応できる製造基盤技術を開発する。また、ナノ材料を超微粒子化、溶液化し、それらを迅速に直接パターニングするオンデマンド製造技術を開発する。

5-(1)-A 高性能セラミック部材と表面加工技術を用いた省エネルギー製造技術の開発

 製造産業における生産からリサイクルに至るプロセス全体の省エネルギー化を図るために、断熱性等の機能を2倍以上とした革新的セラミック部材等の製造技術、及び機器及びシステムの摩擦損失を20%以上低減させる表面加工技術を開発する。

5-(1)-B 資源生産性を考慮したエネルギー部材とモジュールの製造技術の開発

 固体酸化物形燃料電池や蓄電池用の高性能材料、部材及びモジュールを創製するため、希少資源の使用量を少なくし、従来に比べて1/2以下の体積や重量で同等以上の性能を実現する高度集積化製造技術や高スループット製造技術を開発する。

5-(1)-C レーザー加工による製造の高効率化

 自動車製造工程等に適用できるタクトタイム1分以内を実現する炭素繊維強化複合材料等のレーザー加工技術の開発、及び従来のフォトリソグラフフィー法等の微細加工技術に比較して30%以上の省工程・省部品化処理が可能なオンデマンド加工技術を開発する。

5-(1)-D 製造分野における製品設計・概念設計支援技術の開発

 機械やシステムの基本設計に必要とされる候補材料の加工に対する信頼性、機械寿命、リサイクル性を予測するために、実際の運用を想定した評価試験と計算工学手法を融合したトータルデザイン支援技術を開発する。企業における有効事例を3業種以上構築する。

5-(1)-E 現場の可視化による付加価値の高い製造技術の開発

 製造プロセスの高度化及びそれを支える技能を継承するために、ものづくり現場の技能を可視化する技術、利便性の高い製造情報の共有技術、高効率かつ低環境負荷な加工技術を開発する。成果を企業に導入し、顕著な効果がある事例を50件構築する。

5-(2) グリーンサステナブルケミストリーの推進

 各種産業の基幹となる高付加価値化学品等の持続的な生産、供給を実現するため、製造効率の向上、環境負荷物質排出の極小化、分離プロセスの省エネルギー化等を実現するプロセス技術の開発を行う。具体的には、精密合成技術、膜分離技術、ナノ空孔技術、マイクロリアクター技術、特異的反応場利用技術等の開発を行う。

5-(2)-@ 環境負荷物質の排出を極小化する反応、プロセス技術

 酸化技術、触媒技術、錯体・ヘテロ原子技術、ナノ空孔技術、電磁波技術等を用いることにより環境負荷物質排出を極小化し、機能性高分子材料、電子材料、医農薬中間体、フッ素材料等を合成するプロセス技術を開発する。特に、反応率80%以上、選択率90%以上で目的製品を得ることができる過酸化水素酸化プロセス技術を開発する。また、触媒開発においては、触媒の使用原単位を現行製造法の20%以下にする技術を開発する。

5-(2)-A 化学プロセスの省エネルギー化を可能とする分離技術

 化学プロセスの省エネルギー化の実現に資する膜分離、吸着分離等の技術を開発する。具体的には、膜性能の向上、膜モジュール技術の開発、膜分離プロセスの設計を進めることにより、蒸留等を用いた現行プロセスの消費エネルギーを50%削減できる膜分離技術を開発する。また、ナノ多孔質材料の細孔表面の修飾や有機材料等との複合化、細孔の配向性制御、吸着特性評価等の技術を開発し、従来比25%以上の省エネルギー化が可能な産業分野用吸着分離プロセスを開発する。

5-(2)-B コンパクトな化学プロセスを実現する技術

 高温高圧エンジニアリング技術、マイクロリアクター技術、膜技術、特異的反応場利用技術等を用い、有機溶媒の使用を抑制したプロセスや、適量分散型で短時間に物質を製造できるプロセス技術を開発する。特に、機能性化学品を合成する水素化反応において、有機溶媒を用いず、従来法に比べ150%以上の反応効率を達成する。

5-(3) バイオプロセス活用による高効率な高品質物質の生産技術

 微生物や酵素を利用したバイオプロセスは、化学プロセスに比べて反応の選択性が極めて高く、高付加価値化合物の効率的な生産が可能である。バイオプロセスの広範な活用とバイオものづくり研究の展開のため、微生物資源や有用遺伝子の探索と機能解明、生体高分子の高機能化とバイオプロセスの高度化技術、設計技術及び遺伝子組換え植物の作出技術の開発と密閉式遺伝子組み換え植物生産システムの実用化を行う。

5-(3)-@ 微生物資源や有用遺伝子の探索と機能解明 (T-3-(1)-Aへ再掲)

 未知微生物等の遺伝資源や環境ゲノム情報、機能の高度な解析により、バイオ変換において従来にない特徴を有する有用な酵素遺伝子を10種以上取得する等、酵素、微生物を用いた実用的な高効率変換基盤技術を開発する。

5-(3)-A 生体高分子や生体システムの高機能化によるバイオプロセスの高度化(T-3-(1)-Bへ再掲)

 バイオプロセスに有用な生体高分子の高機能化を行うとともに、生物情報解析技術や培養、代謝工学を利用して、機能性タンパク質、化学原料物質としての低分子化合物等を、従来よりも高品質で効率よく生産するプロセス技術を開発する。

5-(3)-B 遺伝子組換え植物作出技術と生産システムの開発

 植物生産システム等のグリーンバイオ産業基盤を構築し、実用化に目処をつける。そのために、遺伝子組換え技術により植物の持つ物質生産機能を高めるとともに、転写制御因子の改変体モデル植物を全因子の90%程度(従来は25%程度)について作成して解析すること等により、新たな機能を付与する技術を開発する。

5-(4) 省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システム製造技術 (V-2-(3)へ再掲)

 産業分野の省エネルギー化や環境負荷低減に貢献するマイクロ電子機械システム(MEMS)製造技術の開発を行う。具体的には、高機能なMEMS を安価に生産するための大面積製造技術の開発を行う。また、バイオ、化学、エネルギーといった異分野のMEMS デバイスを融合及び集積化する製造技術の開発を行う。さらに、安全・安心や省エネルギー社会実現に貢献するMEMS デバイスを利用したユビキタスシステムの開発を行う。

5-(4)-@ 高集積、大面積製造技術の開発

 高機能で安価かつ大面積でのMEMS 製造技術を開発する。具体的には、100nmより微細な3次元構造体をメートル級の大きさにわたり、低コストかつ低環境負荷でレジストや金属メッキ構造体、多結晶シリコン材料等を用いてMEMS を量産するための基盤技術を開発する。

5-(4)-A ユビキタス電子機械システム技術の開発

 安全・安心や省エネルギー社会に資するユビキタスマイクロシステムの実現のために、バイオ、化学、エネルギー等異分野のデバイスを融合、集積化したMEMS デバイスを製造するための技術及び低消費電力かつ低コストなMEMS コンポ−ネント製造技術を開発する。具体的には、数ミリメートル角以内の通信機能付きセンサチップを試作し、オフィス、クリーンルーム等の製造現場の消費エネルギーを10%削減するためのシステム技術を開発する。

5-(5) 環境負荷低減技術、修復技術

 各種産業プロセスから発生した環境負荷物質の高効率処理及び浄化と環境修復に貢献する技術の開発を行う。具体的には、水や大気等に含まれる微量重金属や残留性有機汚染物質(POPs)等、低濃度の環境負荷物質を高効率に処理可能な選択的吸着技術、触媒技術の開発を行う。また、太陽光、植物や微生物等の自然界の能力を利用、強化し、低濃度広域汚染サイトや複合汚染サイトにも適用できる高効率、低コストな浄化、修復技術の開発を行う。

5-(5)-@ 環境負荷低減を目指した浄化技術の開発

 水や大気に含まれる低濃度の環境負荷物質を、従来比で最大4倍の総合処理効率(処理能力/エネルギー消費)で処理可能な浄化技術を開発する。具体的には、ナノ空間材料や特殊反応場を利用した選択的吸着技術、触媒技術等を活用して、反応選択性や効率の向上を図る。また、残留性有機汚染物質(POPs)等難分解性物質を焼却によらずに完全に無機化できる反応技術、さらには有価物への変換技術を開発する。

5-(5)-A 自然浄化能の強化による環境修復技術の開発

 太陽光や植物、微生物等の自然界が有する環境浄化能力を促進、拡大強化することにより、環境負荷が少なく、オンサイトでも利用可能な土壌、水、空気の環境修復技術を開発する。例えば、これまで困難であった低濃度広域汚染サイトや複合汚染サイトの低環境負荷型浄化、修復を可能とするために、既存法に比べて除去コストを1/4に縮減する浄化技術を開発する。

6.持続発展可能な社会に向けたエネルギー評価技術、安全性評価及び管理技術並びに環境計測及び評価技術の開発

 グリーン・イノベーションにより持続可能社会を構築するためには、エネルギー技術をはじめ、科学と産業にかかわる安全性、環境影響等を正しく評価することが必要である。そのため、エネルギー関連技術にかかわるシナリオ等の評価を行うとともに、二酸化炭素削減のための技術及び取組の評価手法の開発を行い、二酸化炭素削減ポテンシャルを定量化する。また、産業活動における安全性を向上させるために、ナノ材料に代表される新材料のリスク評価及び管理技術の開発、産業事故防止のための安全性評価及び管理技術、化学物質の最適管理手法の開発を行う。さらに、環境負荷物質のスクリーニング、計測技術の開発と物質循環過程解明を通じた総合的な環境影響評価技術の開発を行う。

6-(1) 革新的なエネルギーシステムの分析、評価

 持続可能な社会の構築に必要な革新的エネルギー関連技術にかかわるシナリオの分析、評価を行う。具体的には、環境と資源の制約を考慮し、二酸化炭素の回収貯留や水素を媒体としたエネルギーシステム等の開発及び導入に関するシナリオの分析、評価を行う。さらに、国際的な連携を念頭においた国内外技術開発ロードマップや新規技術の適用性評価及び技術導入シナリオの策定を行う。

6-(2) 持続発展可能な社会と産業システムの分析

 二酸化炭素の削減や環境負荷低減のための様々な方策を評価する手法の開発を行う。具体的には、実態調査等に基づく、温室効果ガス排出原単位のデータ作成や消費者の行動等を解析し、削減率の定量化を行う。また、最適な社会と産業システムの設計を目指して、これら方策の削減ポテンシャルを明らかにし、持続可能な社会の構築に資する技術開発、技術のシステム化、市場システムの分析と評価を行う。

6-(2)-@ サステナブルシステム及び技術評価

 最適な社会と産業システムの設計を目指し、持続可能な社会に向けた各種の取組に対し、資源性、経済性、社会受容性等の観点から技術評価を行い、これらの環境負荷削減量を定量化する。

6-(2)-A 持続性指標の活用による低炭素社会システムの評価

 CO2 見える化等の指標を、消費者や企業の低炭素行動に結びつけるための手法を開発する。具体的には、カーボンフットプリント等の施策に関して、原単位データを作成するとともに、消費者の受容性や低炭素行動等を解析し、その二酸化炭素削減ポテンシャルを定量化する。

6-(3) 先端科学技術のイノベーションを支える安全性評価手法

 今後新規に開発される先端科学技術に応用可能な安全管理体系の構築を目指して、ナノ材料のリスク評価及び管理手法の開発を行う。具体的には、新規技術の研究開発から製品化に至るプロセスに安全性評価を統合するための方策の開発を行う。適用事例として、カーボンナノチューブ等の工業ナノ材料について、有害性評価手法やばく露の計測及び予測評価手法の開発を行う。また、物理化学的特性やリスク評価結果を総合し、研究段階に応じたリスク管理指針を確立する。

6-(4) 産業保安のための安全性評価技術、安全管理技術

 産業活動における安全性を向上させるために、産業事故の原因究明に関する研究を行う。さらに、過去に起きた事故の情報収集とデータベース化を行うとともに、事故を未然に防ぐための安全文化(ヒューマンファクターや組織要因等)を醸成するための手法の開発を行う。具体的には、火薬類のフィジカルリスク低減や新型火薬庫に関する安全性評価の研究を行うとともに、爆発反応や衝撃波を衝撃圧縮に応用する研究を行う。また、実際の化学プラント等の事業所への適用を目指して、化学プラント等の産業事故データベースの作成と事故の分析を通して、事業所の持つ保安基盤技術とそれを支える安全文化からなる保安力の評価手法の開発を行う。

6-(5) 化学物質の最適管理手法の確立

 ある化学物質によるリスクを下げることにより、別の化学物質によるリスクが増加する(リスクトレードオフ)事例に対応するため、化学物質の有害性、ばく露、対策の効果等を事前に予測するための技術の開発を行う。具体的には、化学物質の最適管理のための意思決定に資するため、多数のリスク因子を同時に考慮することを可能とするリスクトレードオフ評価手法を確立する。また、化学物質の発火及び爆発危険性評価技術の開発を行い、基準の作成等を行う。

6-(5)-@ リスクトレードオフを考慮した評価及び管理手法の開発

 社会全体のリスクを適切に管理することを目的として、排出量推計、環境動態及びばく露モデリング、有害性推論、リスク比較等の要素技術を開発し、リスクトレードオフ評価及び管理手法を開発する。また、具体的な用途群へ適用する。

6-(5)-A 爆発性化学物質の安全管理技術の開発

 化学物質の発火及び爆発危険性の現象解明、危険性評価技術の開発、安全な取り扱い技術の基準作成等を行う。

6-(6) 環境の計測技術、生体及び環境の評価技術

 産業活動に伴って発生する環境負荷物質のスクリーニング技術及び計測技術の開発を行う。また、環境修復技術に必要な物質循環過程を解明し、総合的な環境影響評価技術の開発を行う。具体的には、製品及び産業プロセスにおける有害物質の計測手法や環境修復技術に必要な環境微生物の迅速検出法等の開発を行う。産業活動によって直接又は間接的に発生する温室効果ガス等が、生物多様性や生態系内貯留等の環境へ与える影響を評価する技術の開発を行う。

6-(6)-@ 環境負荷物質及び環境浄化能の計測手法の開発

 化学物質や重金属の国際規制に対応するため、製品及び産業プロセスにおける有害物質の迅速検出法を開発し、標準化を行う。また、生物応答に基づく有害性のスクリーニング技術を開発する。さらに、環境修復技術に必要な、分析効率(スピード、コスト、労力)を現状比5倍以上に向上させた環境微生物の迅速検出法を開発する。

6-(6)-A 産業活動の環境影響評価

 地域、地球環境に対する産業活動の影響を適確に評価するため、温室効果ガス、エアロゾル、有害化学物質、生物多様性及び微生物活動の測定並びに吸収及び発生源推定の誤差を現状の50%以下とする技術を開発する。

6-(6)-B 二酸化炭素貯留技術の環境影響評価 (一部、別表2-2-(1)-Aを再掲)

 二酸化炭素の海底下地層貯留技術や海洋中深層隔離に必要な環境影響評価のため、二酸化炭素の漏洩や注入を想定した室内実験等により、微生物活性や炭素等の親生物元素の挙動等、物質循環の駆動にかかわる過程へ与える影響について評価手法を開発する。
 早期実用化を目指して、二酸化炭素地中貯留において、二酸化炭素の安全かつ長期間にわたる貯留を保証するための技術を開発する。大規模二酸化炭素地中貯留については、複数の物理探査手法を組み合わせた効率的なモニタリング技術の開発、二酸化炭素の長期挙動予測に不可欠である地下モデルの作成や精緻化を支援する技術及び長期間にわたる地層内での二酸化炭素の安定性を評価する技術を開発する。
 圧入終了後における長期間監視のための費用対効果の高いモニタリング技術や、我が国での実用化に当たって考慮すべき断層等の地質構造に対応した地下モデリング技術を開発するとともに、二酸化炭素が地中に貯留されるメカニズムの定量的解析や、各地における貯留ポテンシャル評価等の基盤技術を開発する。また、安全性評価技術の開発と中小規模排出源からの排出に対応した地中貯留の基礎研究を実施する。

6-(6)-C 生態系による二酸化炭素固定能評価

 環境影響を最小限に抑えた、生態系内炭素貯留を可能とする、森林や海域内生態系の炭素固定メカニズムの解明とその強化方法、モニタリング及び環境影響評価技術を開発する。

II.ライフ・イノベ−ションを実現するための研究開発の推進

 ライフ・イノベーションを実現するためには、疾病や事故の予防、治療や介護支援の充実に加えて、健康で安全な生活を送りやすくすることが必要である。疾病を予防し、早期診断を可能とするため、生体分子の機能分析、解析技術等の開発を行う。疾病の革新的治療技術を実現するため、効率的な創薬技術の開発、先進的な医療支援技術の開発を行う。健康を維持増進し、心身ともに健康な生き方を実現するために必要な計測、評価技術等の開発を行う。また、社会生活の安全を確保するための情報通信技術(IT、センサ)や生活支援ロボットの安全を確立するための技術開発を行う。

1.先進的、総合的な創薬技術、医療技術の開発

 国民の健康のために、疾病の予防や早期診断、早期治療、個の医療の充実が求められている。これらの課題を解決するため、細胞操作及び生体材料技術を応用した再生医療技術や先端医療支援技術、医療機器技術等の開発を行う。また、有用な新規バイオマーカーを利用して疾病の予防や早期診断を行うため生体分子の機能分析及び解析技術等の開発を行う。さらに、情報処理と生物解析の連携、融合により、安全性を保ちつつ開発コスト低減に資する高効率創薬技術の開発を行う。

1-(1) 細胞操作及び生体材料に関する技術の応用による医療支援技術

 組織や臓器等の機能を根本的に回復する医療技術である再生医療に資する細胞操作技術、人工臓器等に用いる材料技術や、治療の安全や効果の向上に資する医療機器にかかわる技術の開発を行う。また、これらの先端医療支援技術等の実用化に向けた基盤整備を行う。特に、安定かつ性質が揃った細胞の供給に資するiPS 細胞の作製効率を従来の約10倍(現状1%以下を10%程度)に向上させる技術の開発を行う。

1-(1)-@ 幹細胞等を利用した再生医療等に資する基盤技術及び標準化技術の開発

 骨、軟骨、心血管、膵臓等を生体組織レベルで再生する技術や神経ネットワークの再構成を促進する技術等を開発する。iPS 細胞の作製効率の10倍程度の向上や新規な因子の探索、作製した細胞の評価技術の開発等により、創薬における医薬品の毒性評価や再生医療に必要な分化細胞や組織等を供給するための基盤技術や標準化技術を開発する。

1-(1)-A 組織再生技術や生体材料技術を利用した喪失機能の代替デバイス技術の開発

 人工心臓の補助循環ポンプにおいて現状の3倍である90日の無血栓を達成する等、長期生体適合性を有する人工臓器等による身体機能の代替技術及び材料技術を開発する。

1-(1)-B 医療機器開発に資する先端技術の開発と実用化に向けた基盤整備

 短時間で計測可能な高速診断法、細胞や組織における分子の機能を解析可能な画像診断法等、治療の安全と効果の向上を目指した技術を開発するとともに、医療機器の迅速な製品化に資する開発基盤を整備する。

1-(2) 生体分子の機能分析及び解析に関する技術

 疾病の予防や早期診断、早期治療の指標の確立等を目的として、有用な新規バイオマーカーを同定し、それを評価利用する技術の開発を行う。また、新薬開発コスト低減に資する創薬プロセス高効率化のための基盤技術の開発を行う。さらに、これらの技術に資する生体分子の高感度検出技術、計測及び解析技術の開発と標準化を行う。特に、感染症の拡大の防止等、医療に役立つ新規抗体の生産に必要な期間を従来の1/3程度に短縮する技術の開発を行う。

1-(2)-@ ナノテクノロジーと融合した生体分子の計測、解析技術の開発と標準化

 生体分子の計測、解析機器の高度化と標準化を目的として、バイオテクノロジーと情報技術及びナノテクノロジーを融合し、バイオマーカー検出限界を従来技術の10倍以上向上させる等、生体分子、細胞等を短時間で簡便に分離解析できる手法や素子を開発する。

1-(2)-A 身体状態の正確な把握に資する糖鎖やタンパク質等のバイオマーカーの探索、検知法開発とその実用化

 がん及びその他の疾病の予防や診断及び治療に利用するため、動脈硬化を伴う脳や心血管障害の直接評価やがんの識別を可能にする血清バイオマーカー等、有用な新規バイオマーカーを同定し、それを評価、利用する技術を開発する。

1-(2)-B 有用生体分子の構造、機能解析に基づく創薬基盤技術の構築、改良とその分子の高度生産技術の開発

 生体分子の構造、機能及び作用機構を医薬品等の創成や診断手法に結びつけるための基盤技術を開発する。また、医療に役立つ新規抗体の生産に必要な期間を従来の1/3程度以下に短縮する技術等、バイオプロセスを活用した高品質、高効率な生産関連技術を開発する。

1-(3) 情報処理と生物解析の連携による創薬支援技術や診断技術

 効率的な創薬や、個の医療の実現に向けて、ヒトの遺伝子、RNA、タンパク質、糖鎖情報等のバイオデータベースを整備し、それらの配列情報と分子構造情報を用いた創薬支援技術及び細胞内のネットワーク、パスウェイの推定やシミュレーション等のシステム生物学的解析を用いた創薬基盤技術の開発を行う。特に、医薬品候補化合物について従来の5倍程度の効率で選択することを可能とするために、遺伝子やタンパク質の機能予測技術の開発を行う。

1-(3)-@ 配列情報と分子構造情報を用いた創薬支援技術開発

 遺伝子やタンパク質の機能予測及び特定のタンパク質や糖鎖と相互作用する化合物の探索等、膨大な化合物の中から従来の5倍程度の効率で医薬品候補を選び出すことのできる技術を開発する。

1-(3)-A システム生物学的解析を用いた創薬基盤技術の開発

 転写制御、シグナル伝達、代謝に代表される、細胞内のネットワーク、パスウェイ等の推定やシミュレーションにより、創薬に必要な化合物の設計と合成、標的分子を推定する技術を開発する。

1-(3)-B バイオデータベース整備と利用技術の開発

 遺伝子や生体分子に関する情報の高度な利用を促進する情報データベースやポータルサイト等を構築する。また、ヒトの遺伝子、RNA、タンパク質、糖鎖情報等の整備及び統合を行うとともに、診断技術等の利用技術を開発する。

2.健康な生き方を実現する技術の開発

 心身ともに健康な社会生活を実現するために、高齢者のケア、健康の維持増進、社会不安による心の問題の解決等の観点から健康な生き方に必要な開発課題に取り組む。具体的には、ストレス等を含む心身の健康状態を定量的に計測する技術の開発を行う。また、その計測結果に基づいて、個人に適した治療やリハビリテーションによる健康の回復、維持増進を支援する技術の開発を行う。

2-(1) 人の機能と活動の高度計測技術

 個人の状況に応じて心身共に健康な生活を実現するために、人の心と行動を理解し、健康生活へと応用することが必要である。そのために脳神経機能及び認知行動の計測技術、人の生理、心理及び行動の予測に資する技術の開発を行う。また、高齢者や障害者の生理、心理及び行動データを基にした、安全性や快適性の確立に資する標準化活動を行う。特に、空間分解能を維持しつつ、ミリ秒オーダーの時間分解能で脳神経活動を計測する技術の開発を行う。

2-(1)-@ 脳神経機能及び認知行動の計測技術の開発と人間の心と行動の理解、モデル化、予測技術の開発

 脳神経機能と認知活動に関して、空間分解能を維持した状態でミリ秒オーダーの時間分解能の実現による脳の領域間の相互作用の評価等を非(低)侵襲、高解像度で計測する技術を開発する。また、得られたデータから人の認知処理容量の定量化や機器操作への適応等心理状態、認知行動を評価及び予測するモデルを開発する。

2-(1)-A 日常生活における人間の生理、心理及び行動の統合的計測と健康生活への応用技術開発とその国際標準化 (W-3-(1)-Bへ再掲)

 日常生活における高齢者、障害者、健常者等の人間の生理、心理及び行動情報を計測し、健康及び安全状態を時系列で定量的に評価する技術を開発する。低視力者、聴覚障害者や高齢者を対象にデータの蓄積を行い、新たに5件程度のISO 提案を目指した標準化活動を行う。

2-(2) 生体情報に基づく健康状態の評価技術

 個人の健康状態を評価するために、環境要因、ストレス等を含む心身の健康状態の定量的な計測が必要である。そのため、生体及び心の健康状態に関する分子レベルの指標の開発、標準化に向けたデータベース構築のための健康情報の収集、周辺環境モニタリングも含めた健康情報を管理及び評価するためのシステムの開発を行う。

2-(2)-@ 分子計測による心身の健康状態のモニタリング、管理技術の開発

 身体的健康状態又は鬱、ストレス、睡眠障害等の精神的健康状態を尿、血液、唾液等の生体試料を用いて簡便かつ迅速に検知し、時系列情報として管理できるデバイスや5個程度のバイオマーカー候補を開発する。

2-(2)-A 健康リスクのモニタリング及び低減技術、健康維持技術と健康情報の管理及び活用技術の開発

 環境に存在する50種類以上の工業用ナノ粒子、微粒子等の健康阻害因子を高精度に計測及び評価し、因子の除去、又は健康への影響を効果的に低減するための技術を開発する。また、健康管理システムを構築するために、心と体の健康情報を長期的に収集及び評価する技術並びに健康逸脱状態を検出する技術を開発する。

2-(3) 健康の回復と健康生活を実現する技術

 健康な社会生活を実現するために、人の生理、心理及び行動や生体及び心の健康状態に関する指標に基づいて、失われた運動能力や認知能力を補い、個人の健康状態に適した暮らし方を支援する技術や、リハビリテーション等の健康回復、維持増進を支援するための技術の開発を行う。また、患者と医療従事者の負担を軽減するための技術開発を行う。

2-(3)-@ 生体情報計測に基づく軽負荷医療及び遠隔医療支援技術の開発

 患者と医療従事者の負担軽減を目的として、生体組織の物理的、生理的計測情報を高度に組み合わせ、計測時間の短縮や試料採取量を減らすことにより、低侵襲治療を支援する技術を開発する。また、先端的材料技術や電子機械技術を融合し、手術手技研修システム技術を開発する。

2-(3)-A 身体生理機能や認知機能の理解に基づき心身機能を維持増進する技術や回復(リハビリテーション)する技術の開発

 加齢に伴う知覚能力減退に起因する歩行困難等を緩和し、安心して生活できる社会を実現するために、認知及び運動の相互作用特性の計測、評価及びデータベースに基づいた視覚障害者に対する聴覚空間認知訓練システムを開発する。また、心身活動の維持に適合した製品や環境設計技術、心身活動の回復(リハビリテーション)や増進を支援する技術を開発する。

2-(3)-B 人間の心身活動能力を補い社会参画を支援するためのインターフェース等の技術開発

 現状の運動能力や認知能力を補い高齢者、障害者、健常者等のより高度な社会参画を可能にする技術(従来の2倍以上の意思伝達効率のブレインマシンインターフェースや、柔軟で1V 程度の低電圧駆動が可能な運動アシスト機器等)を開発する。

3.生活安全のための技術開発

 疾患の予防や社会生活における事故防止、高齢化社会の到来による介護負荷の軽減、ネットワーク社会における消費者の保護等、日常生活にかかわる生活安全のための情報通信技術(IT)にかかわる開発を行う。具体的には、ストレスセンシングなど生活安全にかかわるセンサ技術、高齢者や被介護者等の日常生活を支援するセンサ技術等の開発を行う。また、日常生活における人とのインタラクションが必要となる生活支援ロボットの実環境での安全性を確立するための基盤技術の開発を行い、安全規格を定める。

3-(1) IT による生活安全技術

 安全・安心な社会生活を実現するため、情報通信技術(IT)にかかわる研究開発を行う。具体的には、バイオケミカルセンサ等センサシステム自体の開発と併せて、センサを用いた人や生活環境のセンシング技術、センシングデータの解析やモデル化技術に基づいた異常検出やリスク分析及びリスク回避の技術開発を行う。さらに、消費者の情報や権利を保護するための情報セキュリティ対策技術の開発を行う。

3-(1)-@ 生活安全のためのセンサシステムの開発

 生活習慣病の迅速診断、感染症対策のためのウイルスの検出、ストレスセンシングを目的として、導波モードや新蛍光材料を用いたバイオ・ケミカルセンシングシステムを開発する。また、予防医療につながる眼底の高精度診断のために、画像分光や能動的光波制御を用いた眼底イメージング装置を開発し、5μm 以上の分解能を実現する計測技術を開発する。
 生活環境下における有毒ガス等の分光検知を目指して、複数ガスの遠隔分光に適した200〜500GHz 帯において、従来検出器の1/5以下の最小検出電力を持つ高感度超伝導受信器を開発する。

3-(1)-A 生活安全のためのセンサを用いた見守り及び異常検出技術

 高齢者及び被介護者の健康及び身体状態の把握や、介護者の支援を目的とし、生活の安全性の検証とリスク分析の手法を開発する。具体的には、生活における危険状態の自動検出を実現するために、人の10以上の姿勢や運動状態の識別及び運動量を推定できる技術を開発する。異常状態の自動検出率95%を目指して、生活動画、日常音環境等を分析する技術を開発する。また、医療における早期診断支援を目的とし、がん細胞の自動検出率95%を実現するために、胃生検画像を自動的に診断する技術を開発する。

3-(1)-B 人間機能モデルによる生活安全評価技術

 乳幼児と高齢者の傷害予防を目的に、傷害情報サーベイランス技術と実時間見守りセンシング技術を開発し、12,000件以上からなる傷害データベースとWHO 国際生活機能分類に準拠した生活機能構造を作成する。データベースから生体モデルと生活機能モデルを構築する技術を開発するとともに、10件以上の製品の設計、評価及びリスクアセスメントに適用し、生活支援ロボットの設計と評価に応用する。開発技術を5か所以上の外部機関や企業が利用可能な形で提供し、運用検証する。

3-(1)-C 消費者の情報や権利を保護するための情報セキュリティ対策技術

 ネットワーク社会において消費者の情報や権利を保護するため、バイオメトリクスやパスワード等の認証用情報が漏えいした際にも、認証情報更新を容易にすることにより、被害を最小限に抑えることができる個人認証技術や、ユーザがサーバと相互に認証することで、ユーザがフィッシング詐欺を認知可能とする技術等のプライバシ情報保護及びユーザ権限管理技術を開発する。さらに、開発した技術を、ウェブブラウザのプラグイン等の形で5つ以上実装、公開し、10以上のウェブサービス等での採用を目指す。

3-(2) 生活支援ロボットの安全の確立

 介護及び福祉に応用する生活支援ロボットの製品化に不可欠な実環境下での安全の確立を目指して、ロボットの新しい安全基準を構築し、ロボットを安全に動作させる際に必要な基盤技術の開発を行う。また、ロボットの制御ソフトウェアの信頼性を高め、実装するための基盤技術の開発を行う。特に、ロボットのリスクマネジメント技術の開発においては、機能安全の国際規格に適合可能な安全規格を定める。

3-(2)-@ ロボットの安全性評価のためのリスクマネジメント技術の開発 (W-3-(1)-Cへ再掲)

 機能安全の国際規格に適合可能なロボットの安全規格を定めるため、ロボットの安全性を試験、評価するための技術を開発する。ロボットの安全技術としてのセンサ技術、制御技術、インターフェース技術、ロボットの安全性を検証するためのリスクアセスメント技術を開発する。

3-(2)-A 高信頼ロボットソフトウェア開発技術 (W-3-(1)-Dへ再掲)

 機能安全の国際規格に適合可能な安全なロボットを実現するため、高信頼なロボットソフトウェアを設計、実装する技術を開発する。このため、ロボットソフトウェアのリスクアセスメント、システム設計、開発、評価を一貫して行うことのできる技術を開発する。

III.他国の追従を許さない先端的技術開発の推進

 様々な資源、環境制約問題を乗り越えて我が国の国際競争力を強化するためには、技術指向の産業変革により新産業を創出する必要がある。特に、情報通信産業の上流に位置づけられるデバイスの革新とともにデバイスを製品へと組み上げていくシステム化技術の革新が重要である。そのため、競争力強化の源泉となる先端的な材料、デバイス、システム技術の開発を行う。また、情報通信技術によって生産性の向上が期待できるサ−ビス業の発展に資するため、サ−ビス生産性の向上と新サ−ビスの創出に貢献する技術の開発を行う。さらに、協調や創造によるオープンイノベーションの仕組みを取り入れた研究開発を推進する。

1.高度な情報通信社会を支えるデバイス、システム技術の開発

 情報通信社会の継続的な発展には、低環境負荷と高性能の両立及び新機能の実現によるデバイスの革新が必要である。このため、光、電子デバイスの高機能化、高付加価値化技術の開発を行う。また、デバイスの設計を容易にするため、計算科学を用いた材料、デバイスの機能予測技術の開発を行う。さらに、IT活用による製造及びシステム技術の高効率化や高機能化に関する技術の開発を行う。

1-(1) デバイスの高機能化と高付加価値化技術

 情報通信社会の継続的な発展のために、微細化等によるデバイスの高機能追求やフレキシブル有機デバイスの開発、光通信の波長、空間の高密度化等、情報通信技術の革新に資する光、電子デバイス技術の開発を行う。また、シミュレーションにより特性を予測することで、デバイスの開発を容易にする技術の開発を行う。特に、極微細かつ低消費電力素子として期待されるスピントランジスタの実現を目指して、半導体中でのスピンの注入、制御及び検出技術の開発を行う。

1-(1)-@ 情報処理の高度化のための革新的電子デバイス機能の開発

 ポストCMOS 時代の極微細、低消費電力素子として期待されるスピントランジスタの実現を目指して、半導体中でのスピンの注入、制御及び検出技術を開発する。また、光ネットワーク高度化のためのスピン光機能デバイスを開発する。
 CMOS 素子とは異なる原理で動作する超低消費電力演算素子の実現を目指して、金属酸化物材料と高温超伝導材料の物性解明と物性制御技術の開発を行い、材料の磁気、電気、光学特性等を電子相状態により制御するプロトタイプ素子において低消費電力スイッチング機能等を実証する。

1-(1)-A 情報入出力機器のフレキシブル、小型化のためのデバイスの研究開発

 小型軽量の次世代情報家電に資する柔軟性、軽量性及び耐衝撃性に優れたフレキシブルなディスプレイを開発する。そのために受発光、導電、半導体、誘電体等の光電子機能を有する新規の有機材料や無機材料を開発する。これらの材料のナノ構造制御により、非晶質シリコンよりも優れた移動度(5cm2/Vs 以上)、on/off 比(5桁以上)、駆動電圧(5V 以下)で動作する有機薄膜トランジスタや受発光素子を開発する。さらに赤色領域での位相差0.25波長を有する偏光素子や回折、屈折素子等の高性能光入出力素子を開発する。

1-(1)-B 光通信の波長及び空間の高密度化 (T-2-(3)-Bを一部再掲)

 高精細映像等の巨大コンテンツを伝送させる光ネットワークを実現するために、既存のネットワークルータに比べてスループットあたり3桁低い消費電力でルーティングを行う光パスネットワークで伝送する技術を開発する。具体的には、ルートを切り替えるシリコンフォトニクス、ガラス導波路技術を用いた大規模光スイッチ、伝送路を最適化する技術及び光パスシステム化技術を開発する。また、1Tb/s 以上の大伝送容量化を目指して、多値位相変調や偏波多重を含む超高速光多重化のためのデバイス及び光信号処理技術を開発する。
 情報通信の安全性に向けて、量子中継等の技術を開発し、高密度波長多重量子暗号通信デバイス、システムを開発する。

1-(1)-C ナノ電子デバイスの特性予測と設計支援技術

 微細CMOS の性能向上に用いられている機械的ひずみに代表される新構造及び新材料デバイスの構造や特性を実際の試作に先立って予測するために、計測技術を一体化させた設計ツールとするシミュレーションシステムを開発する。

1-(1)-D 高効率な設計とシミュレーションのための高性能計算技術

 電子デバイスが発揮する新機能を高速なコンピュータシミュレーションにより予測することを目的として、数千万CPU コア時間程度の大規模計算におけるシミュレーションソフトウェア開発支援環境を開発する。この並列/分散計算環境において、アプリケーションの特性に応じて適切な資源を割当て、障害が発生しても実行を継続する、高信頼/高効率計算技術を開発する。

1-(2) IT 活用によるシステムの高効率化及び高機能化

 製品開発サイクルの短縮及び新たな付加価値製品の製造のため、組立作業や視覚認識における産業用ロボットの知能化を推進し、組込みシステムの高効率化と高機能化の両立を実現する。また、人の機能をシミュレーションし、その結果を製品開発にフィードバックすることで、人にとって使い易い製品設計を支援する技術を開発する。特に、セル生産のロボット化において、一部が変形する部品や配線材等の柔軟物を含む5種類以上のワークの組立作業を対象に開発した技術を実証する。

1-(2)-@ 製造の省力化、高効率化のための産業用ロボット知能化技術

 セル生産のロボット化を目指し、変形を含む物理シミュレーション技術、作業スキルの解析に基づく作業計画及び動作計画ソフトウェア、センサフィードバックに基づく組立動作制御ソフトウェアを開発する。代表とする組み立て工程の50%をカバーする、5種類以上のワークの組立作業を対象に開発した技術を実証する。また、工業部品の多くを占める黒色や光沢のあるワークに対しても位置姿勢検出精度が光沢のない中間色の場合と同程度の3次元視覚情報処理技術を実証する。

1-(2)-A 組み込みシステムの最適設計技術

 情報通信機器の省エネルギー化のために、再構成可能なデバイス(FPGA等)について、しきい値可変デバイスを用いて静的消費電力を1/10程度に削減する技術を開発する。また、シリコン貫通電極を用いた3次元積層構造のFPGA について、最適設計を行うアーキテクチャ技術と設計ツール技術を開発する。

1-(2)-B 製品デザインを支援する人間機能シミュレーション技術

 人間にとってより安全で使いやすい機器を設計することを目的に、筋骨格構造を含む人体形状、運動モデルを100例以上データベース化する。また、感覚が運動を引き起こすメカニズムの計算論的モデルを心理物理実験に基づいて構築する。これらを可視化するソフトウェアとして、数千自由度の簡易モデルについては5コマ/s 以上の処理速度を実現し、数万から数十万自由度の詳細モデルについては力再現誤差10%以下の精度の生成的感覚運動シミュレーションを実現する。これを5件以上の共同研究を通して製品設計時の操作性及び安全性評価に応用する。

1-(3) ナノエレクトロニクスのオープンイノベーションの推進 (T-4-(3)を再掲)

 次世代産業の源泉であるナノエレクトロニクス技術による高付加価値デバイスの効率的、効果的な技術開発のために、つくばナノエレクトロニクス拠点を利用したオープンイノベーションを推進する。つくばナノエレクトロニクス拠点において、高性能、高機能なナノスケールの電子、光デバイスの開発を行うとともに、最先端機器共用施設の外部からの利用制度を整備することにより、産学官連携の共通プラットフォームとしての活用を行う。

1-(3)-@ ナノスケールロジック、メモリデバイスの研究開発

 極微細CMOS の電流駆動力向上やメモリの高速低電圧化、集積可能性検証を対象に、構造、材料、プロセス技術及び関連計測技術を体系的に開発する。これによって、産業界との連携を促進し、既存技術の様々な基本的限界を打破できる新技術を5つ以上、創出する。

1-(3)-A ナノフォトニクスデバイスの研究開発

 LSI チップ間光インターコネクションにおいて10Tbps/cm2 以上の情報伝送密度を実現するために、半導体ナノ構造作成技術を用いて、微小光デバイス、光集積回路及び光、電子集積技術を開発する。また、3次元光回路を実現するために、多層光配線、電子回路との集積が可能なパッシブ及びアクティブ光デバイス、それらの実装技術を開発する。

1-(3)-B オープンイノベーションプラットフォームの構築

 産業競争力強化と新産業技術創出に貢献するため、ナノエレクトロニクス等の研究開発に必要な最先端機器共用施設を整備し、産総研外部から利用可能な仕組みを整えるとともに、コンサルティングや人材育成等も含めた横断的かつ総合的支援制度を推進する。当該施設の運転経費に対して10%以上の民間資金等外部資金の導入を達成する。

2.イノベーションの核となる材料とシステムの開発

 我が国のものづくり産業の中心である製造業の国際競争力を強化するためには、革新的な材料やシステムを創成する必要がある。そのため、材料を革新するためにナノレベルで機能発現する材料及び部材の開発と、我が国が強い競争力を有するナノカーボン材料の量産化と産業化の推進を行う。また、高付加価値化による高度部材産業の国際競争力強化にも必要なマイクロ電子機械システム(MEMS)の開発を行う。

2-(1) ナノレベルで機能発現する材料、多機能部材 (T-4-(1)を再掲)

 省エネルギーやグリーン・イノベーションに貢献する材料開発を通じてナノテクノロジー産業を強化するために、ナノレベルで機能発現する新規材料及び多機能部材の開発、ソフトマテリアルのナノ空間と表面の機能合成技術や自己組織化技術を基にした省エネルギー型機能性部材の開発を行う。また、新規無機材料や、有機・無機材料のハイブリッド化等によってもたらされるナノ材料の開発を行う。さらに、革新的な光、電子デバイスを実現するナノ構造を開発するとともにこれらの開発を支援する高予測性シミュレーション技術の開発を行う。

2-(1)-@ ソフトマテリアルを基にした省エネルギー型機能性部材の開発

 調光部材、情報機能部材、エネルギー変換部材等の省エネルギー型機能性部材への応用を目指して、光応答性分子、超分子、液晶、高分子、ゲル、コロイド等のソフトマテリアルのナノ空間と表面の機能合成技術、及びナノメートルからミリメートルに至る階層を越えた自己組織化技術を統合的に開発する。

2-(1)-A 高付加価値ナノ粒子製造とその応用技術の開発

 ナノ粒子の製造技術や機能及び構造計測技術の高度化を図ることにより、省エネルギー電気化学応答性部材、高性能プリンタブルデバイスインク、低環境負荷表面コ−ティング部材、高性能ナノコンポジット部材等の高付加価値ナノ粒子応用部材を開発する。

2-(1)-B 無機・有機ナノ材料の適材配置による多機能部材の開発

 セラミックス、金属、ポリマー、シリコン等の異種材料の接合及び融合化と適材配置により、従来比で無機粉末量1/2、熱伝導率同等以上、耐劣化性付与の無機複合プラスチック部材、ハイブリッドセンサ部材、数ppm の検知下限で水素、メタン、一酸化炭素等をガスクロマトグラフなしで一度に計測可能なマルチセンサ部材等の多機能部材を開発する。このために必要な製造基盤技術として、ナノ構造を変えることなくナノからマクロにつなぐ異種材料のマルチスケール接合及び融合化技術を開発する。

2-(1)-C ナノ構造を利用した革新的デバイス材料の開発

 ナノギャップ電極間で生じる不揮発性メモリ動作を基に、ナノギャップ構造の最適化と高密度化により、既存の不揮発性メモリを凌駕する性能(速度、集積度)を実証する。また、ナノ構造に起因するエバネッセント光-伝搬光変換技術を基に、ナノ構造の最適化により、超高効率な赤色及び黄色発光ダイオード(光取出し効率80%以上)を開発する。

2-(1)-D 材料、デバイス設計のための高予測性シミュレーション技術の開発

 ナノスケールの現象を解明、利用することにより、新材料及び新デバイスの創製、新プロセス探索等に貢献するシミュレーション技術を開発する。このために、大規模化、高速化のみならず、電子状態、非平衡過程、自由エネルギー計算等における高精度化を達成して、シミュレーションによる予測性を高める。

2-(2) ナノチューブ、炭素系材料の量産化技術と応用 (T-4-(2)を再掲)

 部材、部品の軽量化や低消費電力デバイス等への応用が可能なナノチューブや炭素系材料の開発を行うとともに、これらの材料を産業に結び付けるために必要な技術の開発を行う。具体的には、カーボンナノチューブ(CNT)の用途開発と大量合成及び精製技術の開発を行う。また、ポストシリコンの有望な新素材であるグラフェンを用いたデバイスを実現するため、高品質グラフェンの大量合成法の開発を行う。さらに、有機ナノチュ−ブについては、合成法の高度化と用途の開発を行う。ダイヤモンドについては、大型かつ単結晶のウェハ合成技術の開発を行う。

2-(2)-@ ナノチューブ系材料の創製とその実用化及び産業化技術の開発

 カーボンナノチューブ(CNT)の特性を活かした用途開発を行うとともに産業応用を実現する上で重要な低コスト大量生産技術(600g/日)や分離精製技術(金属型、半導体型ともに、分離純度:95%以上;収率:80%以上)等を開発し、キャパシタ、炭素繊維、透明導電膜、太陽電池、薄膜トランジスタ等へ応用する。また、ポストシリコンとして有望なグラフェンを用いたデバイスを目指して、高品質グラフェンの大量合成技術を開発する。さらに、有機ナノチューブ等の合成法の高度化と用途開発を行う。

2-(2)-A 単結晶ダイヤモンドの合成及び応用技術の開発

 次世代パワーデバイス用ウェハ等への応用を目指して、単結晶ダイヤモンドの成長技術及び結晶欠陥評価等の技術を利用した低欠陥2インチ接合ウェハ製造技術を開発する。

2-(3) 省エネルギー性に優れたマイクロ電子機械システム製造技術 (T-5-(4)を再掲)

 産業分野の省エネルギー化や環境負荷低減に貢献するマイクロ電子機械システム(MEMS)製造技術の開発を行う。具体的には、高機能なMEMS を安価に生産するための大面積製造技術の開発を行う。また、バイオ、化学、エネルギーといった異分野のMEMS デバイスを融合及び集積化する製造技術の開発を行う。さらに、安全・安心や省エネルギー社会実現に貢献するMEMS デバイスを利用したユビキタスシステムの開発を行う。

2-(3)-@ 高集積、大面積製造技術の開発

 高機能で安価かつ大面積でのMEMS 製造技術を開発する。具体的には、100nmより微細な3次元構造体をメートル級の大きさにわたり、低コストかつ低環境負荷でレジストや金属メッキ構造体、多結晶シリコン材料等を用いてMEMS を量産するための基盤技術を開発する。

2-(3)-A ユビキタス電子機械システム技術の開発

 安全・安心や省エネルギー社会に資するユビキタスマイクロシステムの実現のために、バイオ、化学、エネルギー等異分野のデバイスを融合、集積化したMEMS デバイスを製造するための技術及び低消費電力かつ低コストなMEMS コンポ−ネント製造技術を開発する。具体的には、数ミリメートル角以内の通信機能付きセンサチップを試作し、オフィス、クリーンルーム等の製造現場の消費エネルギーを10%削減するためのシステム技術を開発する。

3.情報通信基盤を利用したサービス生産性の向上と新サービスの創出への貢献

 我が国のサービス産業を活性化させるために、既存のサービスの生産性を向上させると同時に、新サービスの創出に貢献する技術の開発を行う。サービス生産性を向上させるために、サービスプラットフォームの整備、科学的手法の導入、ロボット化の推進を行う。また、複数の既存技術を融合させ、新サービス創出を目指す。

3-(1) 科学的手法に基づくサービス生産性の向上

 科学的手法によりサービス生産性を向上させるために、サービス利用者及び提供者の行動を理解した上で、必要な情報の現場におけるセンシングと、得られた大規模実データのモデリングによる利用者行動のシミュレーションを基に、サービス設計を支援する基盤技術と導入方法論の開発を行う。また、サービス工学基盤技術については、10以上の業種や業態において25件以上の組織へ導入することを目指し、サービスの幅広い選択を可能にする技術の開発を行う。

3-(1)-@ サービス最適設計ループ構築のためのサービス工学基盤技術

 サービス生産性向上を目的とし、サービス利用者及び提供者の行動を理解した上で、必要な情報を現場でセンシングし、得られた大規模実データをモデリングして利用者行動をシミュレーションすることで、サービス設計を支援するサービス工学基盤技術と導入方法論を開発する。再現性が検証された方法を確立し、共同研究等により、10種以上の業種や業態において25件以上の組織への開発技術の導入を図り、その一般化と普及を目指す。

3-(1)-A サービスの幅広い選択を可能にする技術

 公共性の高いサービス等が安全かつ標準的に利用できる環境の実現を目的として、利用者が自分自身で個人情報を管理でき、サービスの内容や価値に応じて複数のサービスが連携できるような標準的な技術を開発する。このサービスフレームワークの有効性を行政や医療や研究等の5種類のサービスにおいて実証する。

3-(2) 高度情報サービスプラットフォームの構築

 サービス生産性を向上させるために、利用者の利便性及び生産性とサービス提供者の資源利用効率を共に高めるクラウド型プラットフォームの開発を行う。また、スケーラブルな知識基盤を構築しうるミドルウェアの開発を行い、地球科学や生命情報科学等のE-Science 分野において10ペタバイト(10の16乗)程度のデータを対象とした実証実験を行う。

3-(2)-@ クラウドの適用範囲を広げるミドルウェア技術

 クラウド型情報インフラをより広い用途に適用可能にするために、個々の利用者に提供される仮想インフラに専有ハードウェアと同等の利便性を持たせ、さらに負荷に応じて再構成可能とする技術を開発する。具体的には、仮想インフラの性能保証方式、仮想インフラの資源利用状況モニタリング技術、管理組織にまたがる仮想インフラ動的再構成技術を開発する。開発された技術が10以上の複数管理組織から提供される10,000以上の資源にまで適用可能であることを示し、高精細映像配信等の応用で動作を確認する。

3-(2)-A スケーラブルな知識基盤を構築するサービス指向ミドルウェア

 サービスの高度化、大規模化を支えるスケーラブルな情報処理基盤の実現を目的として、データ所在の仮想化やメタデータの付与等により、分散したエクサバイト(10の18乗)級のデータを構造化できるデータ統合ミドルウェアを開発する。地球科学や生命情報科学等のE-Science 分野において10ペタバイト(10の16乗)程度のデータを対象とした実証を行う。成果普及のための国際標準を提案する。

3-(3) サービスの省力化のためのロボット化(機械化)技術

 ロボットの導入により、サービス産業の生産性と品質向上を目指す。また、人のQOL を向上させるために、人の生活行動や操作対象のモデル化技術、ロボットの自律移動技術やロボットによる物体の把持技術、ロボットと人とのインタラクション技術の開発を行う。特に、生活支援ロボット基盤技術として1日の人の行動様式の50%以上、数十平方メートルの生活環境の80%以上、操作対象を30個以上記述可能な人間観察モデル化技術の開発を行う。

3-(3)-@ QOL 向上のための生活支援ロボット基盤技術

 自律性の高い生活支援システムの社会導入に向けて、1日の人間の生活行動の50%以上、数十平方メートルの生活環境の80%以上、操作対象を30個以上記述可能な人間観察モデル化技術を開発する。
 高齢化社会におけるQOL 向上を目指し、家庭や施設等における実用レベルの生活支援ロボットを開発する。具体的には、家庭や施設等での行動解析に基づき必要となる支援サービスを定義し、屋内のあらゆる地点で精度5cm以内の精度を有する屋内移動技術、15種類以上の日常生活用品を対象とした物体把持技術、予備知識を必要としない高齢者とのインタラクション技術等を開発する。

3-(3)-A サービス産業のためのロボット自律移動技術

 サービス産業を省力化するためのロボット基盤技術を開発する。具体的には、人間と協働する搬送や清掃等のサービスロボットを安全に運用するための機能安全国際規格SIL に適合可能なビジョンセンサ技術、土木や農業等の屋外移動作業システムを精度20cm以内で高精度移動制御する技術等を開発する。

3-(4) 技術融合による新サービスの創出

 既存の技術を融合させることで新サービスの創出を目指す。具体的には、メディア処理とウェブでのインタラクションの融合によるコンテンツサービス、情報技術と災害軽減、危機管理、環境保全、資源探査等の技術を融合した地理空間情報サービス、メディア技術とロボット技術の融合による新たなサービスの創出を目指す。特に新サービス創出のためのヒューマノイド技術として、ヒューマノイドロボットによる段差1cm、傾斜2度以上の凹凸のある床面の平均時速3km以上の歩行を実現する。

3-(4)-@ メディア処理技術とインタラクション技術を融合したコンテンツサービス創出、利活用技術

 コンテンツを一層身近で手軽に活用、創造できる新サービスを創出するために、ユーザによるコンテンツ利活用を促すインタラクション技術と、コンテンツの生成、加工、認識、理解等を可能にするメディア処理技術を高度化し、融合する。具体的には、ユーザを対象とした実証実験等を通じて、コンテンツの検索、推薦、鑑賞及び制作、エンタテインメント、ユーザインターフェース等に関する融合技術を開発し、新サービスを3種以上創出する。

3-(4)-A 地理空間情報の高度利用技術と新サービス創出

 地理空間情報の新サービスを創出するため、多種多様な地理空間データへの統一的アクセスサービス等の基本サービス群を開発し、整備する。さらに応用システムの構築を容易にするための再利用可能なミドルウェアを開発し、提供する。これらにより、災害軽減、危機管理、環境保全、資源探査等に関する応用システムを4件以上構築し、実証実験を実施する。

3-(4)-B 新サービスの創出のためのヒューマノイド基盤技術

 ヒューマノイド技術を活用した新サービスの創出を目的として、メディア技術との融合によりコンテンツ産業を支援するロボットサービス、人動作解析技術等との融合による人動作模擬サービス等を創出するヒューマノイド基盤技術を開発する。具体的には、全身動作、表情及び音声を統合した振舞の生成、段差1cm、傾斜2度以上の凹凸のある床面の平均時速3km以上の歩行、簡易な指示による未知環境の移動や簡易作業、高齢者等の人動作の模擬等を実現する技術を開発する。

3-(5) 情報基盤における安全性や信頼性の確立

 情報システム製品のセキュリティ評価技術を確立するために、情報システムにおける事故を未然に防ぐとともに事故が起きても被害の拡大を防ぐセキュリティ対策技術、情報基盤自体を高信頼なものにするための検証法や開発支援ツール及び情報基盤の安全性評価に関する技術の開発を行う。特に、情報システムの高信頼、高安全及び高可用化技術において、基盤情報システムの大半を占める1兆状態以上のシステムに対するテストケース自動生成技術の開発を行う。

3-(5)-@ 情報システム製品のセキュリティ評価技術 (W-3-(1)-Eへ再掲)

 IC カードに代表されるハードウェアや基幹ソフトウェア等、情報システムの中核をなす製品の脆弱性分析や安全性評価に関して、現行の制度、標準や新たな評価制度を見据えた技術を開発する。また、当該技術等について、我が国の電子政府推奨暗号評価等での活用を実現する。さらに、それらの技術等を実システムに組み込み可能な暗号ライブラリに適用し、安全性検証済みライブラリとして公開する。

3-(5)-A 情報システムの高信頼、高安全、高可用化技術 (W-3-(1)-Fへ再掲)

 情報システムの形式モデルベーステストによるケース自動生成技術を開発してシミュレーション技術への統合を図り、実社会の基盤情報システムの大半を占める1兆状態以上のシステムに対して、技術の有効性を検証する。さらにシステムの設計、開発、試用、改変、譲渡、廃棄までのライフサイクルの各場面で適用すべきテストや検証法のガイドラインを策定し、評価技術を開発する。また、設計と開発を中心にシステムのライフサイクルを支援するツールチェーンを開発する。

IV.イノベーションの実現を支える計測技術の開発、評価基盤の整備

 イノベーションの実現と社会の安全・安心を支えるために必要な、基盤的、先端的な計測及び分析技術並びに生産現場に適用可能な生産計測技術の開発を行う。また、信頼性ある計測評価結果をデータベース化し、産業活動や社会の安全・安心を支える知的基盤として提供する。さらに、製品の安全性や適正な商取引、普及促進に必要となる製品やサービスの認証を支える評価技術の開発を行い、試験評価方法の形で提供するとともにその標準化を行う。

1.技術革新、生産性向上及び産業の安全基盤の確立のための計測基盤技術

 先端的な技術開発を支援するために必要となる分解能、応答性に優れた材料計測、解析、評価技術及び安全の基盤として必要な構造物診断技術等の計測、解析、評価技術の開発を行う。また、それらの産業界への普及と標準化を行う。さらに、製品の品質と生産性を高めるうえで重要な、生産現場で発生する計測にかかわる技術の開発を行うとともに、開発した計測、解析、評価技術を統合し、現場に直接適用可能な計測ソリューションの提供を行う。

1-(1) 産業や社会に発展をもたらす先端計測技術、解析技術及び評価基盤技術

 産業や社会に発展をもたらす先端的な技術開発を支援する計測、解析、評価技術の開発を行う。具体的には、有機材料、生体関連物質における分子レベルの評価に必要な計測技術の開発を行う。また、ナノレベルからマクロレベルにわたり俯瞰的に材料の構造と機能を評価できるナノ材料プロセス計測及び解析技術の開発を行う。さらに、安全性及び信頼性評価における基盤技術として必要な、構造物診断を可能にする計測、解析及び評価基盤技術の開発を行う。これらの成果を、技術移転等を通じて産業界に普及させる。

1-(1)-@ 有機・生体関連ナノ物質の状態計測技術の開発

 社会的に関心の高い有機又は生体関連物質等ナノ物質を評価するために、飛行時間型質量分析法による分子量測定、円二色性不斉分子の分析等による分子構造解析、分子イメ−ジング等の計測技術を開発し、8件以上の技術移転を実施する。

1-(1)-A ナノ材料プロセスにおける構造及び機能計測並びにその統合的な解析技術の開発

 ナノ材料・デバイスの広範なスケ−ルにおける構造及び機能に関する計測技術の開発及び多変量解析等の情報の統合的な解析技術を開発する。サブナノメートルからミリメートルオーダーの機器分析情報の中から、二つ以上のスケールの情報を統合し構造と機能の関係の定量化技術を開発する。

1-(1)-B インフラ診断技術の開発

 構造物安全性確保に資する迅速かつ高精度、可搬性に優れた健全性評価システムを開発する。超音波探傷装置や可搬型X 線検査装置を活用して構造物中におけるサブミリメートルサイズの欠陥情報のその場可視化技術を開発する。

1-(1)-C 蓄電池構成材料の評価及び解析技術の開発 (T-2-(1)-@を一部再掲)

 新規の蓄電池構成材料の開発を加速するため、材料を共通的に評価、解析する技術を開発する。

1-(2) 先端計測技術及び分析機器の開発

 新産業創出を先導するために必要な、先端計測及び分析機器に関する技術開発を行う。具体的には量子ビーム、イオンビームの分析、診断への応用技術、電子顕微鏡の高分解能化と多機能化技術、デバイス、システム評価を可能にする複合計測技術等の開発を行う。また、開発した装置の産業界への普及を促進するとともに、標準化を行う。

1-(2)-@ 材料評価のための先端計測及び分析機器開発

 ポジトロンや超伝導検出器等の量子ビーム、イオンビーム等の材料及び生体の検出、分析及び診断機器への応用を実証するとともに標準化を行う。6件以上の装置公開利用、8件以上の技術移転を実施する。

1-(2)-A 超高感度、高分解能透過電子顕微鏡の研究開発

 単分子・単原子レベルでの計測及び分析技術を確立するために電子顕微鏡のさらなる高分解能化及び高感度化技術を開発する。このために、電子光学系の高度化、検出器の高効率化、装置環境の高安定化等の要素技術開発に加え、用途に応じた電子顕微鏡の多機能化を行う。これにより、現在、電子線波長の25倍程度でしかない空間分解能を、世界最高となる電子線波長の17倍程度にまで向上することを目指す。

1-(2)-B デバイス、システム評価のための先端計測機器の開発

 スピントロニクスデバイスにおけるナノ領域のスピン方向を3次元解析できるナノスピン計測技術を開発する。
 高速トランジスタとして期待されるナノカーボンの電気的特性のナノサイズ領域の電荷分布測定を行なえるプローブ顕微鏡技術を開発する。
 電圧及び抵抗標準を生産現場に導入でき、校正コストの削減を可能とする小型、低コスト、低消費電力の直流電圧標準システムと集積回路チップ化された電流比較器を開発する。
 スーパーハイビジョン時代の大容量位相多値光通信や材料の加工、改質の実現のために、サブフェムト秒の時間分解能を有する光測定技術を開発する。そのためにタイミングと絶対位相が100アト(10の−16乗)秒以下に同期された多波長極短パルスレーザーを開発する。

1-(3) 生産性向上をもたらす計測ソリューションの開発と提供

 製品の品質と生産性を高める上で必要となる欠陥や異常検出技術、高圧下等の測定が困難な条件下における計測技術、微量試料での精密化学分析技術等の生産計測技術の開発を行う。開発した計測、解析及び評価技術を統合し、新たな検査方法の確立等、生産現場へ直接適用可能な計測ソリューションとして提供する。様々な生産現場の課題解決に取り組み、8件以上のソリューションを提供する。

1-(3)-@ 生産現場計測技術の開発

 エレクトロニクス産業等の生産現場で求められている製品の各種欠陥や異常等の検出、発生防止、及び生産の高効率化を目指した、実用的なソリュ−ションを開発し提供する。10件以上の生産現場の課題解決に取り組み、3件以上のソリューションを提供する。

1-(3)-A 測定が困難な条件に適用可能な力学計測技術の開発

 測定が困難な条件下における広帯域圧力振動計測技術、応力可視化技術を開発し、産業や社会の現場に適用可能なソリュ−ションとして提供する。5件以上の産業や社会の課題解決に取り組み、3件以上のソリューションを提供する。

1-(3)-B 微量、迅速、精密化学計測技術の開発

 マイクロ空間化学技術等を用いた分析、計測及び解析技術を開発し、バイオ、化学、素材関連産業分野におけるソリューションを提供する。5件以上の産業や社会の課題解決に取り組み、2件以上のソリューションを提供する。

2.知的基盤としてのデータベースの構築と活用

 標準化の推進、地質情報等の有効利用、災害事例の共有、ものづくり支援等のために、信頼性(評価方法、不確かさ、出典等)を明示した各種データベースを構築、整備する。構築したデータベースは、上記に関わる知的基盤として、更新を保証しつつ継続的に社会に提供する。

2-(1) 標準化を支援するデータベース

 基準認証活動を進めるにあたり、関係者が共有すべき定量的情報をデータベースとして整備し提供する。具体的には国家計量標準にトレーサブルで、不確かさが評価されている等、信頼性が明示された物質のスペクトル、熱物性等のデータを拡充し継続的に提供する。

2-(1)-@ スペクトルデータベースの整備

 有機化合物等のスペクトルデータを測定するとともに解析及び評価を行い、検証されたデータ5,000件を新たに収録し公開する。

2-(1)-A 熱物性を中心とした材料計量データベースの整備

 材料の熱物性及び関連物性について、不確かさ評価等により信頼性の保証されたデ−タセット100組以上を新たに収録し継続的かつ安定的に提供する。

2-(2)資源等の有効利用を支援するデータベース

 地質情報等と衛星画像情報等を統合化したデータベースを整備し、資源等の有効利用を支援するために利用しやすい形で社会に提供する。また、情報通信速度の向上や画像処理技術の進展に応じて、新たなデータを統合してデータベースとして提供する等の高度化対応を行う。

2-(2)-@ 衛星画像情報及び地質情報の統合化データベースの整備 (別表2-1-(3)-@を再掲)

 衛星データ利用システム構築に資する衛星画像情報を整備し、地質情報との統合利用により、鉱物資源のポテンシャル評価や火山、地震、津波等の災害情報等に利活用する。また、情報通信技術との融合により、シームレス化、データベース化された地質情報と衛星画像情報の統合化データベースを整備し、新たな視点の地質情報を抽出するための利活用方法の研究を実施する。

2-(3) 社会の持続的な発展を支援するデータベース

 持続可能で安全・安心な社会の構築に必要な、環境・エネルギー、災害事例、ものづくり支援等に関するデータを集積し、技術基盤情報としてそれらを出典やデータ選択及び評価の基準とともに公開し、社会に継続的に提供する。

2-(3)-@ 環境・エネルギー技術を支えるデータベースの整備

 環境負荷低減、低炭素社会に資する超臨界流体等の環境・エネルギー技術の基盤となる情報を整備し、社会に提供する。超臨界流体データベースには3,500件(特許2,000件、文献1,500件)のデータを提供する。

2-(3)-A 社会の安全・安心を支えるデータベースの整備

 災害事例、医療応用技術等、国民の安全・安心に係る技術上の情報を整備し、社会に提供する。災害事例データベースには約1,250件の新規事故事例、約25件の新規事故詳細分析事例、約100件の過去の重大事故詳細分析事例を登録する。

2-(3)-B ものづくりを支えるデータベースの整備

 材料特性、人体特性等、産業技術開発力を支える基盤的な情報を整備し、社会に提供する。
 人体寸法、形状データベースには独自データを500以上拡充するとともに海外の企業、研究機関等からもデータを求め(欧米3ヶ国以上、新興産業国3ヶ国以上)、広範な地域の人体寸法にアクセスできる情報ハブを構築する。
 セラミックカラーデータベースには2,500件のデータを登録する。
 固体NMR データベースには450件(スペクトルデータ300件、パラメータデータ150件)のデータを登録する。

3.基準認証技術の開発と標準化

 新たに生み出された素材、製品、サービス等の認証に必要な技術の開発を行い、普及させる。具体的には、性能、安全性を客観的に評価し、新市場の開拓や適正な商取引に必要となる試験技術の開発、実証及び標準化と、それに伴う認定技術の民間移転を、産業界、認証機関等との密接な協力のもとに実施する。

3-(1) 適合性評価技術

 試験技術の開発、実証、標準化において、特に安全性や性能にかかわる評価技術、及び製品規格への適合性を判定するための評価技術は、中立性及び公平性の面から民間のみで開発することが困難であることを考慮し、認証において必要となる適合性評価技術の開発を行う。同時に民間移転を推進する。

3-(1)-@ 物質の分析・評価技術の開発と標準化

 物質の分析及び特性評価を超高温環境下等、実際の測定環境に適用するため、必要となる光温度計による計測技術等を開発し、その標準化を行う。得られた技術の普及を図るために4件のJIS 化を目指す。

3-(1)-A 太陽光発電の共通基盤技術の開発及び標準化 (T-1-(1)-@を再掲)

 太陽光発電システム普及のための基盤となる基準セル校正技術、高精度性能評価技術、屋外性能評価技術、信頼性評価技術、システム評価技術、システム故障診断技術等を開発し、それらを産業界に供給する。性能評価の繰り返し精度を1%以下に向上させる。
 国内企業の国際競争力の向上に資するため、国際的な研究機関や企業と協調、連携し、IEC 等の国際規格やJIS 等の国内規格、工業標準の提案、策定、審議に参画する。

3-(1)-B 日常生活における人間の生理、心理及び行動の統合的計測と健康生活への応用技術開発とその国際標準化 (U-2-(1)-Aを再掲)

 日常生活における高齢者、障害者、健常者等の人間の生理、心理及び行動情報を計測し、健康及び安全状態を時系列で定量的に評価する技術を開発する。低視力者、聴覚障害者や高齢者を対象にデータの蓄積を行い、新たに5件程度のISO 提案を目指した標準化活動を行う。

3-(1)-C ロボットの安全性評価のためのリスクマネジメント技術の開発 (U-3-(2)-@を再掲)

 機能安全の国際規格に適合可能なロボットの安全規格を定めるため、ロボットの安全性を試験、評価するための技術を開発する。ロボットの安全技術としてのセンサ技術、制御技術、インターフェース技術、ロボットの安全性を検証するためのリスクアセスメント技術を開発する。

3-(1)-D 高信頼ロボットソフトウェア開発技術 (U-3-(2)-Aを再掲)

 機能安全の国際規格に適合可能な安全なロボットを実現するため、高信頼なロボットソフトウェアを設計、実装する技術を開発する。このため、ロボットソフトウェアのリスクアセスメント、システム設計、開発、評価を一貫して行うことのできる技術を開発する。

3-(1)-E 情報システム製品のセキュリティ評価技術 (V-3-(5)-@を再掲)

 IC カードに代表されるハードウェアや基幹ソフトウェア等、情報システムの中核をなす製品の脆弱性分析や安全性評価に関して、現行の制度、標準や新たな評価制度を見据えた技術を開発する。また、当該技術等について、我が国の電子政府推奨暗号評価等での活用を実現する。さらに、それらの技術等を実システムに組み込み可能な暗号ライブラリに適用し、安全性検証済みライブラリとして公開する。

3-(1)-F 情報システムの高信頼、高安全、高可用化技術 (V-3-(5)-Aを再掲)

 情報システムの形式モデルベーステストによるケース自動生成技術を開発してシミュレーション技術への統合を図り、実社会の基盤情報システムの大半を占める1兆状態以上のシステムに対して、技術の有効性を検証する。さらにシステムの設計、開発、試用、改変、譲渡、廃棄までのライフサイクルの各場面で適用すべきテストや検証法のガイドラインを策定し、評価技術を開発する。また、設計と開発を中心にシステムのライフサイクルを支援するツールチェーンを開発する。