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産業技術総合研究所 第1期 中期計画

【別表1】 鉱工業の科学技術

 鉱工業の科学技術の研究開発については、研究課題を科学技術基本計画、国家産業技術戦略、産業技術戦略等に基づき重点化することとし、学界活動を先導して科学技術水準の向上に寄与するか、経済産業省の政策立案・実施に貢献するか、産業界の発展に貢献するか、国民生活の向上に寄与するか等の観点から決定するものとし、また、科学技術の進歩、社会・経済情勢の変化は絶え間ないことから、これら外部要因に基づいて研究課題を柔軟に見直すよう努めるものとする。併せて、新たな産業技術の開拓に資する研究開発課題・研究分野の開拓を目指し、経済産業省、総合科学技術会議等における産業技術に関する戦略等の検討に反映させるものとする。

(1)社会ニーズへの対応

1.高齢化社会における安心・安全で質の高い生活の実現

1−1.バイオテクノロジー分野

 高齢化社会における安心・安全で質の高い生活の実現及びバイオテクノロジー分野における産業創成への貢献を目的として、ポストゲノム時代におけるゲノム情報の本格的産業応用に対応するためのゲノム科学、生命機能を理解しそれを人間生活向上に役立てるとともに、高度な情報処理機構を利用した脳型コンピュータ等の開発に資するための脳科学を含む細胞生物学、環境計測・浄化・保全や廃棄物処理といった社会的要請に対応するための環境バイオを中心にバイオテクノロジー技術の発信基地となることを目指し、以下の研究開発を行う。

<1>ゲノム情報利活用技術及び有用蛋白質機能解析
・ 遺伝子の発現頻度情報の取得・解析を目的として、ヒトcDNA1.5万個以上の多目的発現解析の基盤構築、蛋白質遺伝子の4割以上に相当する2万個以上の発現頻度情報の取得とデータベースの作成及び多重遺伝子の自動注入システム及び細胞変化の自動解析技術を開発する。
・ 膜蛋白質等に関して、分解能2.5Å程度の電子顕微鏡による構造解析システムを開発する。溶媒分子等の存在下での1Å以内の高精度で解析できる高速モデリング技術を開発する。また、蛋白質の構造形成機構を解明し、有用な機能を有する人工蛋白質等を設計・創製する技術を開発する。
・ 国内外の有用なバイオインフォマテクスデータベースの統合化、データベースの検索・解析技術の開発・高度化を行い、独自のアノテーション等の付加により、生物情報を広く実利用できる環境を整備する。
・ 網羅的クローニングにより分離したヒト由来糖鎖合成関連遺伝子等の機能解析を行い、それらを利用して、新規な糖鎖合成法を開発する。
・ 蛋白質等の整列化技術の開発により、プローブ顕微鏡を用いて整列蛋白質等の配向・機能を評価する技術を開発する。また、細胞の特性の解析に必要なバイオイメージング技術、細胞の操作技術の高度化を行う。

<2>有用遺伝子探索と機能性生体分子創製
・ 高機能・高活性なハイブリッド・リボザイム等を作製し、それによる革新的な機能遺伝子探索技術を開発する。また、膜融合、核移行シグナル等を介した細胞内、核内への特定遺伝子の導入技術を開発する。
・ 加齢、増殖分化、生体リズム等に関与する遺伝子及びその産物を同定し、これを用いて増殖・分化・脳神経機能等の評価・調節技術を開発する。
・ 未利用生物遺伝子資源の探索を行い、新規微生物を500株以上分離解析する。複合生物系・生態系の解析を行い生物遺伝子資源の賦存状況を明らかにし、得られた生物遺伝子資源の保存とデータベース化を行う。
・ 有用酵素、高機能糖質材料、各種生理活性物質の探索と利用技術の開発を行う。また、それら有用分子の高効率生産技術の開発を行う。
・ 細胞の環境認識応答機構を遺伝子レベル、蛋白質レベルで解明し、優れた環境適応能をもつ細胞の創出及び機能制御技術を開発する。
・ 未利用バイオマス等から生分解型環境低負荷バイオ材料等の開発及び、環境影響評価技術の開発を行う。また、各種難分解性化学物質、有機スズなどの有害物質の生物的モニタリング技術及び分解技術を開発する。
・ 遺伝子操作生物の環境安全性評価に資するため、環境中における特定微生物及び微生物相の定量解析技術、特定微生物の環境影響評価試験手法の開発を行う。

<3>脳科学技術(脳機能解析・脳型コンピュータ)
・ 脳機能を理解し、これを安心・安全で質の高い生活の実現に利用することを目的に、脳の柔軟な情報処理及び神経細胞の発生・再生機構を分子生物学的、細胞生化学的及び生理学的アプローチで解析し、それを利用した非同期型コンピュータの設計原理を開発する。また、脳活動のリアルタイム計測のための機器の高度化を行う。

<4>分野融合的課題
・ 神経突起伸長因子等を用いて神経回路を再接続する技術を開発する。また、神経電極、人工筋肉等に必須なモノリシックデバイスの実現に資することを目的として情報認識変換分子システムを開発する。

1−2.医工学・福祉分野

 高齢社会における安心・安全で質の高い生活の実現のために、医工学・福祉分野では、臓器移植に代わる新たな治療技術としての生体機能代替技術、診断・治療に伴う患者の身体的負担の軽減をめざした医療診断・治療支援機器開発技術、高齢者・障害者の活発な社会参加と自立を実現する福祉機器開発技術、多様な生活者ニーズに対応したユニバーサルな製品・環境を創出するための生体ストレス・人間特性計測応用技術、及びこれらに共通的な技術課題の研究開発を推進する。

<1>生体機能代替技術
・ 細胞の三次元培養技術を用いて、軟骨・靱帯、骨、血管等の組織を再構築する再生技術を開発し、これらデバイスを用いた臨床治験を行う。また、動物実験代替用等の検査用組織デバイスを開発する。
・ 品質管理に優れた人工物を用いた体内埋込み型の生体機能代替システムとして、動物実験において3ヶ月以上連続使用可能な遠心型人工心臓、埋込型インスリン注入システム等を実現するための要素技術を開発する。また、共通基盤的技術として、生体適合材料に関する適合性評価試験法に資する標準情報を提供する。

<2>医療診断・治療支援機器開発技術
・ 画像誘導型の低侵襲手術支援システムの要素技術を確立し、医学系機関との連携して画像誘導型の低侵襲医療システムを開発し、臨床試験に供する。
・ 分子レベルの機能を画像化及びスペクトル分析するための次世代型高次生体機能計測装置の要素技術、及び生体組織の構造と機能を評価するための解析手法を開発する。

<3>福祉機器開発技術
・ 情報技術及びメカトロニクス技術を用いて在宅用多自由度下肢リハビリ訓練機器を開発し、生活場面における妥当性を検証する。また、高度難聴者を対象とした超音波補聴器等の開発を進める。
・ 福祉用具使用時の動作負担について計測技術を確立し、動作負担データベースを構築する。さらに、運動機能回復訓練機器等の福祉用具の人体適合性評価手法を提案する。

<4>生体ストレス・人間特性計測応用技術
・ 環境ストレスに対する生体防御メカニズムを分子・細胞レベルから個体レベルで解明するとともに、ストレス物質をオンチップで検出する技術及び生体ストレス傷害の計測技術を開発する。
・ 日常生活行動を計測するためのウェアラブル・センシング技術を開発する。高齢者等の動作特性及び感覚特性に関する計測法を開発し、外部関連機関と連携して人間特性データベースの構築を行うとともに、情報環境における人間の注意・認知機構の解明を通じて人間の認知行動モデルを構築する。さらに、人間特性に基づく製品適合性評価方法を開発し、環境設計等に資する標準情報を提案する。

2.経済社会の新生の基礎となる高度情報化社会の実現

 高性能化する情報通信環境を活用して、時間や場所の制約を受けずに、必要とする情報・知識を誰もが自由自在に創造、流通、共有できる高度な情報通信社会の実現を目指しヒューマンインターフェース技術、どこでも安全に繋がる情報ネットワーク技術を追求するネットワーク関連技術、膨大な情報の処理を容易に行う高度コンピューティング技術、またそれらの元となる情報化基盤技術を中心に、さらに人間にとってそれらが使い易いものになるように、以下の重点研究項目について研究開発を推進する。

<1>ヒューマンインターフェース技術
 高度情報化社会の恩恵を誰もが受けられるように、情報システムが人間の表現を読みとり人間に合わせる技術、知能情報技術と実世界に働きかけるシステムとの融合技術、位置と状況に基づく次世代個人通信システム技術を開発する。
・ 人が生活する空間で人と安全に共存し、人に物理的サービスおよび心理的サービスを提供する知能システムの実現を目的として、人間共存ロボット技術と自律化技術の開発を行う。また、ウエアラブルコンピュータ等、最新のIT技術を駆使した情報システムにアクセスする方法を、視覚、音声等を用いて容易にする次世代のヒューマンインタフェース技術を開発する。
・ 人間型ロボットの性能向上と新応用分野発掘に関わる研究を行い、ヒューマノイドロボット技術を開発するとともに、人の作業知能を情報システムにインプリメントし、プラント点検、保守等をはじめ、より知的な作業システムを構築するためのタスクインテリジェンス技術を確立する。さらに、3次元視覚システムの高度化の研究を行い、各種産業における実用化技術を確立する。
・ 誰でもどこでも高度な情報支援が受けられるという社会において、情報弱者のサポート、プライバシーの保護、情報洪水の解消を実現する知的情報サービスシステムの実現を目的として、状況依存通信ソフトウェア技術と位置による通信を用いた携帯端末・インフラ技術と、電子データを構造化し有用な情報をユーザの状況に応じて提供する技術を用いた、次世代個人通信システムを開発する。

<2>ネットワーク関連技術
 情報通信ネットワークを用いた多様な活動が、安全かつ自在に行える社会の実現を目的として、プログラムコードの安全性を検証し、ハードウェアの違いを吸収して異なる計算機の上で実行でき、ネットワーク上の計算機資源に効率的にアクセス可能とする技術を開発する。
・ 情報システムを活用した行政情報へのアクセスが安全かつ容易に行えるよう電子政府の実現に必要とされる情報セキュリティ技術を研究する。そのために組織運営とソフトウェア技術のバランスの取れた方法を開発する。また、セキュリティホール(脆弱性)の主要原因となりつつある、httpを用いた不正アクセスを防止する方法を研究し、モバイルコードに対するセキュリティ技術を開発する。

<3>高度コンピューティング技術
 膨大な情報を高速に分析、処理して、それを蓄積し、さらに検索する技術の実現を目的として、高度コンピューティング技術を開発する。
・ 統計情報と物理計算の融合により、100残基級のタンパク質立体構造について、サブマイクロ秒の挙動を分子動力学法計算で、またサブミリ秒の挙動を知識情報処理との融合による推定で、解析可能なシステムを開発する。大規模ゲノム配列からの遺伝子領域と機能の予測を目的として、100Mb級の配列の高精度な注釈付けが行える高速な配列情報解析システムを開発する。タンパク質構造予測、ゲノム配列解析については現状の100倍以上高速化する。細胞内での遺伝子制御ネットワークや代謝ネットワークなどの高速なモデリングを可能とするため、1000要素級の細胞シミュレータ・システムを開発する。
・ 科学・工学・社会において飛躍的に増大した情報量を処理できる情報インフラの実現と、実際の産業活動における大規模科学技術計算として生産・加工・設計・製造等の産業基盤での利用に向けて、並列・分散環境での高性能計算機システム利用技術の普及、新たなビジネスモデルの創成、世界的な中核研究拠点となることを目的として、コンピューティング技術と通信ネットワーク技術との融合を図るための技術を開発し、世界的な標準化構築のための技術を開発する。

<4>情報化基盤技術
 今後ますます増大する情報通信技術の高度化のニーズに対応し、技術の発展を維持していくため、次世代半導体技術、デバイス技術、ソフトウェア技術等の共通基盤技術を開発するのと同時に、萌芽的な研究課題の発掘、発信を行う。
・ 強相関電子の概念を中核とした、革新的な電子技術を創成し、新科学技術分野創成をするような独創的成果を挙げることを目的に、強相関電子系相制御技術、超格子物質・接合作製技術、極限スピン計測技術、強相関デバイスプロセス要素技術、強相関フォトニクス物質、量子位相制御理論、などの強相関電子技術の基礎を解明する。これによって、世界の学界・産業界に向けて強相関電子技術の学理的成果の発信を行うとともに、強相関電子技術開発における現実的課題を解明する。
・ 特性寸法70 nm以下の極微細トランジスタおよびその集積化に必要な新材料(高、低誘電率絶縁膜、電極)・プロセス技術、それらの計測解析技術、要素デバイス構造ならびに回路構成技術等について、関連する基礎現象の解明も含めて開発する。
・ 画像表示デバイス(自発光型、画素数16x16以上)と制御回路をシリコン基板上に一体集積化する技術、ならびにチップレベルの高密度実装に関する要素技術を開発する。
・ 従来、光学で不可能であった10nmオーダに至る高解像度の実現とその工学的な応用、新規産業の創出を目的として、近接場光を用いて情報記録を微細領域で可能とする技術を確立する。
・ 人類社会が地球規模で情報技術を活用し、その恩恵に浴するために必要不可欠な情報技術の実現のためには、情報技術が人類社会の持つ多様性に対応できなければならない。そのために、公共性と中立性の高いソフトウェアを開発し、多言語情報処理技術では、言語文化の多様性に対応する技術、グローバルソフトウェア技術では、ソフトウェアの利用形態や開発体制の多様性に対応する技術を確立する。

3.環境と調和した経済社会システムの構築

 環境の保全と経済社会活動とが調和した持続的な循環型経済社会システムの構築に向けて、化学物質のリスクを極小化・管理するための科学物質安全管理技術、資源の有効利用と廃棄物の減量化・資源循環を目指した資源循環・廃棄物対策技術(低環境負荷型材料開発を含む)、オゾン層破壊・地球温暖化対策技術、製品のライフサイクル全体を考えた環境負荷評価技術、持続可能な経済社会を実現するための低環境負荷型化学プロセス技術の研究開発を推進するものとする。

<1>化学物質安全管理技術
 化学物質のリスクを極小化・管理する経済社会を実現するため、以下の研究開発を行う。
・ ヒト有害性の定量的評価と生態系有害性の定量的評価手法に関して、既存の毒性試験および疫学的調査の結果を元に、PRTR対象物質のリスク評価に資する用量−作用関係式を導出する。また、水系排出の大きい農薬について、既存の毒性試験および疫学調査の結果を元に、リスク評価に資する用量−作用関係式を導出する。
・ 火薬類の新しい規制技術基準に対応するため、爆発影響評価システムと、化学産業における爆発被害影響の総合リスクマネジメント体系を構築するための基盤を確立する。
・ 省資源・ダウンサイズ環境分析システムのための新規な分子認識能を有する機能性材料及びマルチセンサチップを開発し、分析前処理に要する時間と経費を低減するとともに分析感度を5倍以上向上させる。また、実用的なpptレベルの有害イオンの予備分離・濃縮材料を開発する。

<2>資源循環・廃棄物対策技術(低環境負荷型材料開発を含む)
 資源の有効利用と廃棄物の減量化をしつつ資源循環を図る経済社会を実現するため、以下の研究開発を行う。
・ 製品から各種構成素材を固体のままの状態で分離・濃縮できる省エネルギー分離技術に関して、固体粒子の風力選別及び湿式比重選別について限界粒径を下げる技術を開発する。具体的には、風力選別については現状の限粒径2〜1mmを0.3mmに、湿式比重選別については、50µmを10µmに下げる。
・ フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から液体生成物を80%以上かつモノマ−を40%以上回収できる液相分解法を開発し、既存のプロセスに対して40%以上の省エネルギ−を達成する。

<3>オゾン層破壊・地球温暖化対策技術
 オゾン層の破壊と地球温暖化を抑制する経済社会を実現するため、以下の研究開発を行う。
・ 代替化合物の分子設計とその合成に必要な計算化学的な解析手法ならびにフッ素化手法を開発する。また、代替化合物の大気寿命予測に基づく長期的環境影響評価法を開発する。
・ 海洋/大気間の二酸化炭素交換量の観測結果の解析をもとに、太平洋における交換量を評価するとともに、森林吸収量の観測と評価手法の開発に関して、アジアの二酸化炭素吸収量を評価する。また、海洋中に注入された二酸化炭素と海水との相互作用を明らかにするとともに、発生源での二酸化炭素の回収から海洋隔離に至るシステムの評価を行う。
・ 二酸化炭素の固定化を目的として、可視光応答性光触媒、2段法光触媒水分解プロセス、及び新規の可視光応答性酸化物半導体光触媒を開発する。また、二酸化炭素共存下でのエチルベンゼンの脱水素によるスチレンの製造技術を開発する。

<4>環境負荷評価技術
 製品のライフサイクル全体での環境負荷の低減を図る経済社会を実現するためのツールを開発する。
・ 国際標準規格準拠型(ISO)-LCAの実施可能な手法としてLCAソフトウエアを開発する。また、日本での実効的環境影響評価手法を開発するとともに、LCAソフトウエアに組み込み、普及を図る。さらに、LCA手法を活用した製品設計のための標準型LCAの開発に関して、環境調和型製品開発(DfE)マニュアルを作成する。

<5>低環境負荷型化学プロセス技術
 環境と調和した化学技術による持続可能な経済社会を実現するため、以下の研究開発を行う。
・ 化成品や高分子合成のハロゲンフリー化を目的として、製造過程で塩素、酸塩化物、ホスゲン等のハロゲン化合物を用いない複素環化合物、ポリカーボネート等の合成および固相重合の反応機構を解明する。
・ 二元機能触媒材料としてのメンブレンリアクターの開発を目的として、脱平衡反応を利用する水素製造プロセス、特異場反応を利用する含酸素化合物合成、形状選択反応・分離膜を利用する合成ガス等の製造プロセスを開発する。

4.エネルギー・資源の安定供給確保

 経済性と供給安定性を考慮した環境調和型エネルギー・資源供給構造の構築という社会的要請に対応するため、低廉かつエネルギーセキュリティー、環境に配慮した電力技術、CO2排出削減と省エネルギー型社会の実現に貢献するための省エネルギー技術、エネルギー安定供給と環境負荷の低減を目指す新エネルギー技術、地下資源の確保等のための資源技術等の研究開発を推進する。

<1>電力技術
 国際的に遜色のない低廉な電力供給の実現を図りつつ、エネルギーセキュリティ確保及び地球環境問題への対応という社会的要請に応えるため、その一翼を担うべく、革新的電力デバイス、電力ネットワーク、超電導技術による高効率電力輸送技術の基盤技術を開発する。
・ 炭化珪素等を使用した革新的電力デバイスによる超低損失電力素子の基盤技術を、素子構造、パッケージデザインの検討を通じて開発する。
・ スーパーノードネットワークの概念設計について、社会インパクトを明らかにし、設計指針を明確化する。
・ 超電導ケーブル長尺冷却技術の研究を行い、比例縮小冷却モデル試験による長尺冷却技術を確立する。また、限流器用大面積超電導薄膜作製技術の高度化を行う。

<2>省エネルギー技術
 CO2排出削減と省エネルギー型社会の実現に貢献するために、エネルギー高効率利用技術、動力等への変換合理化利用技術、エネルギー回収・蓄エネルギー技術、省エネルギーネットワーク技術に関する研究開発を実施する。
・ ガスタービンに供給可能な灰分200ppm以下の無灰炭製造技術を開発する。
・ 作動ガス循環型動力システムにおける燃焼制御技術の開発によって、CO2回収対応型タービンの熱効率60%以上、水素燃焼ディーゼルエンジンの熱効率45%以上の達成に貢献する。
・ 高効率熱電材料を開発するための基盤技術としての量子効果材料やかご型構造材料について構造と物性の研究を行い、作動温度が広く高効率(6%以上)の素子の開発及び関連システムの研究を行う。
・ 民生部門の電力負荷平準化を目的として、キャパシタ容量10Wh/ L達成のための炭素電極材料を開発する。
・ 次世代高性能二次電池の開発に貢献するため、新規合成プロセスと構造解析に基づき電気化学特性に優れた新規電極材料及び新規電解質を開発する。
・ 自立分散ネットワーク技術の開発を行い、高速制御ソフトウェアと多数モジュール制御技術、分散エネルギーに関する広域情報を組み合わせ全体エネルギーシステムを運用する技術の基礎と評価手法を確立する。

<3>新エネルギー技術
 エネルギー安定供給と環境負荷の低減という社会的要請の同時解決を図るため、化石燃料の環境調和利用を図りつつ、環境負荷を小さくするクリーンエネルギーの基盤技術を開発する。
・ 低コスト高性能の太陽電池生産に向けて、高効率積層型薄膜シリコン系太陽電池の製造技術、光閉じ込め型極薄膜結晶シリコン太陽電池技術、CIS系太陽電池の高信頼プロセス技術、超高効率の化合物太陽電池の低コスト製造技術、安価で高性能な色素増感太陽電池技術などを開発する。
・ 太陽光発電システムの大量導入に向けて、多数の太陽電池パワーモジュールの高機能並列動作技術を開発すると共に、太陽電池モジュールの設計・監視・診断などの総合支援技術、性能・信頼性評価技術、リサイクル技術などを確立する。
・ 次世代型燃料電池の開発に貢献するため、燃料の多様化技術、起動停止特性の改善技術などを開発し適用用途の拡大を図るとともに、新規電解質及び新規電極触媒技術を開発する。
・ 変動風荷重に対して風力タービンの出力変動50%低減を実現する技術を開発する。
・ 化石資源・廃棄物等から水素濃度80%以上の高純度水素を二酸化炭素濃度1%以下で製造するための基盤技術を開発する。
・ 樹木系バイオマスをガス化率90%以上でガス化する技術を開発する。
・ 酸化物を中心とした微粉末半導体光触媒を用いた太陽光による効率的な水の直接分解プロセスを開発するための基盤技術を開発する。
・ 水と炭酸ガスと太陽光から高効率で高エネルギー化合物を製造する人工光合成プロセスの確立のための基盤技術を開発する。
・ 将来のエネルギー供給の基幹部分を担う原子力について、より安全で環境負荷の小さい核融合方式に関する基盤技術の研究開発を行う。

<4>資源技術
 地下資源の探査手法、資源量の評価手法、資源開発・利用に伴う安全技術、環境保全技術に関する研究開発を行うとともに、アジアを中心に資源開発研究協力を実施する。
・ ヒストリーマッチングに地球物理学的なモニタリング手法を適用した地熱貯留層評価管理技術の開発を行う。
・ 石炭起源天然ガス資源、ガスハイドレート、潜頭性大規模熱水性鉱床等に関して、鉱床の成因・形成機構を解明、資源ポテンシャルの評価技術の開発を行う。
・ 資源の開発・利用及び放射性廃棄物等の地層処分を安全かつ低環境負荷で実施するための地下計測・監視技術を確立するために、長期地下モニタリング技術の開発を行う。また、リスクアセスメントの高度化等による安全管理手法の開発、安全基準、検定、爆薬及び液化石油ガスの安全利用等に係る基準の策定に関する研究を実施する。
・ インドネシアでの地熱資源調査とベトナムでの鉱物資源探査・評価についての資源開発研究協力を行う。


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