独立行政法人産業技術総合研究所
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別表1 鉱工業の科学技術 [PDF全文:985KB] Get Acrobat Reader

III.産業競争力向上と環境負荷低減を実現するための材料・部材・製造プロセス技術の研究開発

 環境との調和を取りながら国際競争力を持つ先端ものづくり産業の創出のためには、製造に必要な資源とエネルギーを最小に抑えながら最高の機能を持つ製品を生産する製造技術を実現するとともに、低環境負荷製品の製造に必要な機能性材料技術及び部材化技術の実現が不可欠である。そのため、製造の低環境負荷と製造コストの削減及び製品の高機能化について統合的に開発する技術が期待されている。また、環境負荷を低減する機能性部材の開発により、製造業だけでなく輸送機器及び住居から排出されるCO2の低減に大きく貢献していかなければならない。さらに、先端微細加工設備の共同利用等を進めて先端技術を産業にすみやかに移転し活用を図ることによりものづくり産業を支援するとともに、ナノテクノロジーを情報通信、環境及び医療等の研究開発に横断的に適用することにより産業技術に革新的な進歩をもたらす。

1.低環境負荷型の革新的ものづくり技術の実現

 我が国のものづくり技術の国際競争力を強化するために、製造プロセスの省資源化や省エネルギー化と合わせて製品の高機能化・高付加価値化を実現できる革新的な技術の開発が求められている。このため、機能のカスタマイズに即応できる省資源型革新的製造技術の開発を行い、材料資源の無駄を生じさせることなく高機能・高付加価値を持つ製品の多品種少量生産を実現する。また、省エネルギー型製造プロセス技術の開発を行い、従来の製造手法よりも低温のプロセスを利用する技術等により製造に要するエネルギーを削減し、有機材料との複合化等による製品の高機能化を実現する。

1-(1) 省資源と高機能化を実現する製造プロセス技術の開発

 素材を成形して加工するモデルプラントを構築して製品製造に適用し、資源消費量や排出物量等の総合的な評価を行って、製造プロセスを最適化する手法を開発する。また、機能のカスタム化が必要とされる集積化学センサ等の製造への適用を目指し、スーパーインクジェット技術をコアとして、必要な微細構造を必要な位置に最小の資源材料で形成するオンデマンドナノマニュファクチャリング技術及びナノ構造とマクロ構造とを媒介するメゾスケール技術の開発を行う。さらに、材料の無害化や微細構造の内在化等の高付加価値製品を省資源で製造するためのテーラードリキッド法をコアとしたプロセス技術を開発する。

1-(1)-<1> 製造プロセスの最適化手法の開発

【中期計画(参考)】

  • 射出成形や放電加工を備えたモデルプラント等を用いて、加工条件や設計等を最適化することにより、環境性と経済性に優れたローエミッション型製造プロセスを実現する。

《平成17年度計画》

  • トータルプロセスの統一的評価手法の提案を行うと共に、高効率金属射出成型装置、低環境負荷の小型放電加工機、高精度小型切削加工機からなるローエミッション製造モデルを提案し、個別プロセスにおける実加工データを収集する。

【中期計画(参考)】

  • ミクロな構造を内包する材料を使用してその構造をマクロな製品の機能に生かした製品を実現するために、ミクロな構造とマクロな機能との相関に関する大規模計算を小規模のコンピュータシステムを用いて効率よく実現できるマルチスケール数値解析技術を確立する。

《平成17年度計画》

  • マルチスケール数値解析技術の基本である線形弾性解析について1×107自由度の大規模並列解析技術を確立する。

1-(1)-<2>オンデマンドナノマニュファクチャリング技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 超微細インクジェット技術によるナノデバイスの高密度実装を実現する配線等の実用的なオンデマンドナノマニュファクチャリング技術に関する開発を行う。

《平成17年度計画》

  • 省資源・低環境負荷生産技術を特長とするオンデマンド型のナノマニュファクチャリング技術開発を目的として、スーパーインクジェット技術と、それを応用した微細加工プロセスの開発、さらには、そうした新規プロセスを生かせるような材料開拓と周辺プロセスの検討を行う。また、微小流体シミュレーション技術の開発を行う。これらを通じ、スーパーインクジェットにより立体構造を形成する技術を確立し、他の方法では実現不可能な、応用用途を検討する。また、実用レベルの装置を開発し、ベンチャー化による実用化を目指す。

1-(1)-<3> 製品の高付加価値化を実現するフレキシブル製造技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 表面積の飛躍的増大等の高機能化を目指して、空孔と微細構造とが入れ子に構成されている新セラミックス材料を無害元素から作製するテーラードリキッドソース法のプロセス技術の開発と、上記の新セラミックス材料を3次元的に集積することにより、1kW/L級の高出力セラミックスリアクタ等の開発を行う。

《平成17年度計画》

  • 2次元構造体中でのナノからミクロ更にマクロに至る構造の精密制御と3次元集積化のために、任意領域での微小構造形成、微小空間内の構造形成、ナノサイズ周期構造の配列化を誘導するための原料溶液の最適化検討を行い、異種材料・材質の2次元構造体を一体化するプロセス技術を開発して高効率反応場を実現する。

【中期計画(参考)】

  • セラミックスの大型部材化やミクロンレベルの微細3次元構造の成形及び両者を併せもつ構造を特性劣化を起こさずに実現する成形技術を開発する。また、自己潤滑層等を有するヘテロ構造部材化技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 部材の形状、寸法、精度、機械的特性の自由度に優れ、原料から設計、成形、焼成、加工、信頼性保証までの効率的、かつ費用対効果の大きい製造プロセス技術を開発するために、大型・複雑形状部材化技術、ヘテロ構造部材化技術等についてモデル部材の基本設計を行うと共に、それらに必要なプロセス要素技術の高度化を行う。

1-(2) 省エネルギー型製造プロセス技術の開発

 製造プロセスにおける飛躍的な省エネルギーを実現することを目的にして、従来高温でしかできなかった薄膜製造を低温で実現する技術及び機械加工機のコンパクト化を実現する技術を開発する。具体的には、微粒子の噴射コーティング技術をコアとして、低温で高性能セラミックス材料を積層する省エネルギー薄膜製造プロセスを開発する。また、機械加工及び微細加工の製造効率を高め省エネルギー化を実現する小型製造装置を開発する。

1-(2)-<1> 省エネルギー・高効率製造技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 微粒子の基板表面での衝突による非熱平衡過程に基づいた噴射コーティング法を用いて、低温で高性能セラミックス材料等を積層する省エネルギー薄膜製造プロセスを開発し、単位時間当たりの成膜速度を第1期で達成した性能の5倍以上に高速化する。

《平成17年度計画》

  • 融合化のための要素技術の確立として塗布熱分解(MOD)法やエアロゾルデポジション(AD)法の製膜機構の解析、エネルギー援用手法の検討を行うと共に、液相法で低温合成した粉末や超音波で表面修飾した微粒子によるフレキシブル基板上へのAD法製膜を行うなど低温コーティングに適した原料を開発する。

【中期計画(参考)】

  • セラミックスや特殊合金部材等の製造プロセスの効率を飛躍的に向上させるため、湿式ジェットミル等によるスラリー調整から成形に至る工程の最適化技術と統合化技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 粉砕・分散・混合時間の短縮化を図るために、スラリーの調整時間を短縮する製造プロセスを開発する。そのため、湿式ジェットミルによる短時間スラリー調整技術の開発を試みる。また、高速精密形状付与を実現するための遠心成形装置の設計並びに試作を行う。

【中期計画(参考)】

  • 微細加工の省エネルギー化を実現するため、デスクトップサイズの微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System, MEMS)の製造装置を試作する。そのため、マスクレスのパターンニング技術やマイクロチャンバー間の試料移動時の位置決め技術等を開発する。

《平成17年度計画》

  • 10mm角以下の被加工物を対象としたMEMS専用の小型(デスクトップサイズ)MEMS製造装置のプロトタイプを試作・開発することを目的に、基板加工用の小型MEMS製造装置のプロトタイプ1号機を試作・開発し、試作した装置を展示会等により広く一般に公開する。

【中期計画(参考)】

  • 高剛性・高減衰能部材や高機能摺動面の開発により、切削や研削等の加工効率を高める高度機械加工システムの実現に資する。

《平成17年度計画》

  • 高剛性と高減衰能を同時に実現させる構造材の組成制御を可能とする添加元素種を探索する。また定摩擦摺動面の実現のための、溶射、表面テクスチャリングなどの手法の適用可能性及びインタラクティブな工作機械設計支援ツールの基礎的検討を行う。

2.ナノ現象に基づく高機能発現を利用したデバイス技術の創出

 国際競争力を強化するためには、製造コストの低減はもとより、ナノ現象に基づいた革新的な機能を有するデバイス技術の創出が求められている。このため、分子及び超微粒子等の相互作用による自己組織化プロセスに基づく製造技術の開発及び化学合成された機能性有機分子等をナノ部品とするデバイス技術等の開発を行う。また、デバイスの新機能を実現するために、新材料技術及び量子効果等に起因する現象に基づくデバイス技術の開発、さらにはナノスケールで発現する多様な現象の理論的解明とそのシミュレーション技術等の開発を行う。

2-(1) ナノ構造を作り出す自己組織化制御技術の開発

 生体内の有機分子に見られるような高度な自己組織化に倣って、材料固有の物性を利用して自己組織化的にナノ構造を作り出す技術が求められている。そのために、人工的に設計・合成した有機分子による熱平衡下での自己集合化を利用してチューブ構造等を作り出し、超高感度分析手法等への応用を図る。また、基礎的な視点から非平衡下の自己組織化のメカニズムを解明し、構造生成の新たな制御を可能にする。

2-(1)-<1> ボトムアップ法の高度制御技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 生体分子やガス状分子等の極微量の分子を分析するために、第1期で開発したナノチューブ制御技術やナノ粒子調製法を利用して、バイオチップやガラスキャピラリー等からなる超高感度分析技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 分離・分析手法に関して、まず、脂質ナノチューブ類の分子篩としての性能評価を行うために、タンパク質やDNAなどの各種試料分子の包接化を試み、ナノチューブ構造と試料分子との相互作用を検討する。さらに、マイクロ空間構造に束縛されたナノ構造として、各種のナノ構造を分子篩として実装したキャピラリー電気泳動システムを稼働させ、DNAなど生体高分子の分離挙動を既存の分子篩と比較する。
  • 分離・分析手法に関して、従来法では得られない、分析システムに応用できる多機能複合ナノ粒子を調製する。このため、マイクロプラズマ法ではプラズマサイズの微小化と低投入電力化、液相レーザーアブレーション法ではナノ粒子生成効率の最適化と回収機構の実現を図る。
  • 検出手法に関して、単一分子感度ラマン用金属ナノ構造体として、2次元配列した金属ナノ三角柱構造の表面形状をナノスケールで最適化させる。さらに、刺激応答性分子を配置させたナノギャップ電極上でのターゲット分子検出の動作確認と動作機構を解明する。

2-(1)-<2>自己組織化メカニズムの解明とその応用技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 非平衡下での自己組織化メカニズムの解明とシミュレーション技術の構築及びそれらを利用した自己組織化モデリングツールを開発する。

《平成17年度計画》

  • 非平衡条件下で生ずる秩序形成の原理解明のステップとして、カーボンナノチューブの選択成長を対象に新たな反応力学モデルを提示し、予測される非平衡相図とCNTスーパーグロース等の実験との比較を行う。

【中期計画(参考)】

  • 自己組織化現象の解明に基づいて、光、電磁場、化学物質及び機械応力等の外部刺激に対する応答をプログラムされたスマート分子システムや記憶機能を持つナノ構造液晶デバイス等を開発する。

《平成17年度計画》

  • 液晶の自己組織化をベースにしたボトムアップ/トップダウン融合によるメモリ性、外場制御チューニングなどの新機能を発現するナノ構造液晶材料・デバイスを開発する。
  • 光や化学ポテンシャルに応答する新規な分子機械を合成し、光記録等に利用できる分子制御材料を開発する。集合状態や分散状態で、ナノメートルスケールで有効な仕事を行う分子モータを開発する。

2-(2) ナノスケールデバイスを構成する微小部品の作製及び操作技術の開発

 均一なナノカーボン構造体を作製する技術を開発し、カーボンナノチューブ等を部品として利用したナノデバイスの実現を目指す。また、有機分子や磁性半導体等の新材料を開発し、それらをトップダウン手法によって作られたナノ構造に組み込んで機能を発現させ、分子エレクトロニクス等へ展開するための技術を開発する。

2-(2)-<1> ナノカーボン構造体の構造制御技術と機能制御技術の開発

【中期計画(参考)】

  • カーボンナノチューブの実用を目指して、用途に応じて直径、長さ及び成長面積等の制御が可能な単層ナノチューブ合成技術を確立し、それを用いたナノチューブデバイスの基礎技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • スーパーグロース単層ナノチューブのスタンダード化を目指し、サンプル提供を開始する。量産に向けての企業とのタイアップ先を選定する。スーパーグロースの基礎特許の強化と周辺特許の充実に力を注ぎつつ、スーパーグロース単層ナノチューブの物性評価を行い、その優れた物性を活用した応用商品創製を目指した開発を行う。
  • カーボンナノチューブを人工筋肉に応用する際に必要な、体積抵抗の低減、分散性制御及び配向制御等の基礎技術を開発すると共に、カーボンナノチューブを介したバイオミメティックな長距離電子伝達系の構築に着手する。

【中期計画(参考)】

  • ナノカーボン構造体及びそれに含有される金属元素等を単原子レベルで高精度に分析できる高性能透過型電子顕微鏡及びナノカーボン構造体等の高精度な分光学的評価法を開発する。また、ナノカーボン技術の応用として、基板に依存しない大面積低温ナノ結晶ダイヤの成膜技術を開発するとともに、機械的、電気化学的及び光学的機能等を発現させる技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • オングストロ−ムレベルの超高分解能をもつ高感度元素分析装置及び高精度電子顕微鏡を開発する。
  • ナノスケール空間を利用して新物質を創製する技術を開発すると共に、創製した物質が従来にない新規な電気的、光学的特性を有するか調べる。また、共鳴ラマンマッピング法を用い、ナノカーボンの構造や電子状態等を評価する新規な手法を開発する。
  • ナノ結晶ダイヤの低温成長機構の解明とホウ素を添加した電気化学的水処理用電極を開発すると共に、自動車用エンジン部品への高潤滑性コーティング技術などを開発する。

2-(2)-<2>ナノ現象を活用した革新的エレクトロニクス技術の開発

【中期計画(参考)】

  • カーボンナノチューブの主要パラメータを厳密に制御するための精密合成技術をさらに発展させることにより、カーボンナノチューブの真正物性を明らかにするとともに、種々の元素や化合物を内包したカーボンナノチューブの持つ特異物性を見出して、分子デバイスを中心とした新たな応用を展開する。

《平成17年度計画》

  • カーボンナノチューブ(CNT)について、直径分布の極めて狭い合成手法、特定構造の選択的抽出方法、化学修飾による半導体・金属分離精製手法を実現する。CNT内部の1次元分子列による新たな物性発現の探査を行う。非カーボン系ナノチューブ等の合成技術を確立し、CNTとの複合素材のナノデバイスへの応用を試みる。これらを通じ、限定された数種の構造を持つナノチューブ集合体の作製とナノチューブの基礎物性解明、制限された空間内に閉じこめられた分子の新たな自己組織化解明、新規ナノ構造体及びCNTとの複合体の合成と物性解明を行う。

【中期計画(参考)】

  • 単一分子デバイスや分子エレクトロニクスに応用するため、電子・スピン物性に優れた半導体や金属的物性を示す合成有機分子等の新物質探索と物性解明及びナノ配線を実現するための分子と電極との新たな結合手法の探索を行う。

《平成17年度計画》

  • 分子センサの構築を目標にしてSPMやナノ電極技術を基盤とした分子膜トランジスタ、分子センサ、光応答素子の試作を行う。基盤技術として表面電位測定や単一分子の電気伝導性測定の精度を高めることによりナノスケール分子センサのプロトタイプ完成を目指す。これらを通じ、低コストでリサイクル可能な表面電位型分子センサの試作、ターゲット分子捕獲前後のon/off比が3倍の感度をもつ単一分子電気伝導測定技術の開発、センシング分子による光応光電流比が10倍の感度を持つ光センシング素子技術の開発を行う。

【中期計画(参考)】

  • 化合物半導体、金属、酸化物等のヘテロナノ構造で発現する電荷とスピンが関わる量子現象を解明し、その現象を利用した超高効率ナノデバイスを開発する。また、そのためのナノスケール微細加工・形成技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 磁気記録デバイスを構成する材料の表面における化学反応プロセスを第一原理計算により設計し、その実験的検証を行う。これを通じて、表面における反応性イオンエッチングの成功事例を少なくとも1件示す。

2-(3) 飛躍的性能向上をもたらす新機能材料及びそのデバイス化技術の開発

 スイッチング速度、発光及び耐電圧等でシリコンの性能を凌駕し得る優れた特性を有しながら、材料化やプロセス技術が十分に確立されていない新材料をデバイス化するためには、材料特性の評価、材料の高度化及びプロセス技術の開発が必要である。さまざまな高機能材料のうち、革新的な電子技術を創成する独創的成果が期待される強相関電子材料及び加工の難しさから要素技術の開発が不十分なダイヤモンド材料に関する技術を開発する。

2-(3)-<1> 強相関電子技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 強相関電子が引き起こす相転移の制御技術、強相関デバイスプロセス技術及び量子位相制御理論等の基礎を確立するとともに、プロトタイプを作製して超巨大磁気抵抗センサ、テラヘルツ全光型スイッチング素子等の強相関デバイスの機能を実証する。

《平成17年度計画》

  • ペロブスカイト型マンガン酸化物の良質試料を作製し、電子の運動エネルギー、系の乱れなどを制御パラメータとする電子相図のデータベースを充実し、巨大応答の定量的設計を可能にする。スピン・電荷・軌道秩序状態を、高圧下・磁場下での交流磁化測定、X線散乱、ラマン散乱測定などによって明らかにし、CMR状態の電子論的特徴を明らかにする。
  • 電子相制御と機能/物性探索を行うために、新規相競合系物質の開発を行う。
  • mmサイズの空間に、15GPaの圧力を極低温で安定して発生させる技術を開発する。同時に、圧力技術を駆使して量子臨界相を創成し、新規な超伝導、磁性、誘電性などの機能と物性を有する材料を探索する。
  • ペロブスカイト酸化物単結晶上に電界効果トランジスタ構造を構築する技術を発展させ、電界によるキャリア注入でエキゾチックな相転移を実現させる。
  • 水素結合相互作用を利用した有機低分子材料について、強誘電体の開発を行うと共に、化学修飾によりそれらの誘電性や分極値など材料特性を向上させる手法を開発し、これら有機低分子材料の設計指針の確立を目指す。薄膜化など形状制御についての手法も探索する。
  • 分子性モット絶縁体などの強相関パイ電子材料の結晶界面に電界効果型トランジスタ構造を構築し、電界効果ドーピングによる新規電子現象を探索する。巨大電界抵抗メモリ効果などの界面現象と組み合わせることにより、新機能発現を図る。
  • 分子材料の界面や分子間で生じる分子間電荷移動を積極的に利用した高性能の有機トランジスタを開発する。高移動度分子材料の開発並びに異種分子材料界面の電荷移動状態制御を利用した、界面キャリヤ注入の高効率化技術の開発に取り組む。
  • 有機薄膜を用いた電界効果トランジスタ素子において、高い移動度を有する有機薄膜トランジスタの空気中での動作特性を解明する。
  • 低温(30K以下)、高圧(1.5GPa以下)の環境下における単結晶X線フル構造解析システムを確立して、有機単結晶の超伝導、価数転移、水素移動等の電子相転移物性の解明に資する。
  • 軌道放射光を用いて様々な温度範囲(10K から 400K)における有機単結晶の精密構造解析を行い、結晶内の電子密度分布を求め、水素結合系誘電体などの電子物性発現メカニズムを構造的に解明する。
  • フェリ磁性体において、副格子磁化のスピンダイナミクスの違いを利用したスピン制御技術を確立する。
  • 強磁性体に超短パルス光を照射することによって生じる磁化の空間的な運動について、それを光学的に観測する手法の探索及び設計を行う。
  • マンガン酸化物において、光照射により絶縁体・強磁性金属スイッチングを起こす材料を探索し、同スイッチング現象の発現手法を確立する。物質組成の精密な制御により、強磁性金属状態の寿命の制御を試みる。
  • 遷移金属酸化物薄膜において、超短パルスレーザによる光キャリアドーピングによって誘起される超高速スイッチング現象の探索を進める。
  • 強相関電子の界面現象について総合的な研究を展開し、界面デバイスの性能向上や新規機能の開拓に資する基礎学理を構築する。具体的には、スピントンネル接合の界面エンジニアリングによる磁気抵抗効果の巨大化を行うと共に、界面電荷移動を積極的に活用して空間反転対称性を人為的に破った磁性体超構造を構築しその電気的・磁気的機能を調べる。
  • スピントンネル接合やスピン注入接合の特性を決定している強磁性薄膜層の表面・界面磁性を評価する新たな手法として、スピンSEMによる酸化物強磁性薄膜のその場観察に着手する。具体的には、パルスレーザ製膜装置を新たに立ち上げ、スピンSEMに接続し、作製した酸化物強磁性薄膜の清浄薄膜表面の磁区構造を観察する。
  • 様々な金属電極と強相関半導体(絶縁体)の接合界面特性を系統的に調べ、電界誘起抵抗変化(CER)メモリ効果の動作メカニズムを解明すると共に、CERメモリに好適な材料や界面構造の探索を行う。さらに、強相関半導体と組み合わせる材料を拡張し、半導体のpn接合に相当する機能を有する新しい強相関界面デバイスを開発する。
  • 先進デバイスプロセス技術として、電子ビームリソグラフィ技術及び微細加工技術の最適化により100nm素子寸法の強相関酸化物メサ構造作製技術を開発する。また、傾斜エッチング技術の最適化及びバリア層の高品質化によりランプエッジ型素子作製技術の高度化を行う。
  • 強相関スピントンネルデバイスでは、界面エンジニアリング手法により特性の高機能化(TMR比1,000%以上)の実現を目指すと共に、電流駆動磁化反転動作の検証を行う。また、サブミクロン接合素子を作製し、その基本特性(トンネル磁気抵抗特性)の評価を行う。
  • スピン注入デバイスでは、強相関酸化物チャンネル素子において、トンネル接合によるスピン注入・検出の最適設計指針を明らかにすると共に、スピン伝導チャネル材料の探索を行う。また、有機物チャンネル素子において、薄膜作製条件の最適化を行うことにより界面制御技術の高度化を進め、スピン注入特性の向上を図る。
  • 異常ホール効果における不純物散乱の効果を理論的に調べ、バンド構造に起因するホール効果との関連を明らかにする。スピンホール効果に関して、不純物散乱、非弾性散乱などの現実的な効果を取り込んで電場の下でのスピン流、磁化の分布を計算し、試料の表面、界面等に起因する端状態の役割、ジュール発熱量などを調べる。
  • 電気磁気効果の第一原理バンド計算による研究を進め、典型物質につき、スピン・軌道相互作用、磁歪などのうち何が主要なメカニズムかを決定する。これにより巨大電気磁気効果発現のための指針を与える。
  • 金属/強相関電子系、もしくはバンド絶縁体/強相関電子系の界面電子状態の第一原理バンド計算を行い、電荷分布、ポテンシャル分布を明らかにする。これを用いて、電界誘起抵抗効果の現象論を構築する。

2-(3)-<2>新機能ダイヤモンドデバイスの開発

【中期計画(参考)】

  • 各種の応用を目指したダイヤモンドデバイスを実現するために、材料加工技術、表面修飾技術及び界面準位の面密度を1012cm-2以下に抑制する界面制御技術の開発を行う。

《平成17年度計画》

  • 半導体応用に不可欠なドーピング技術、接合技術、表面制御技術を中心とした伝導制御技術の開発を行い、p形においては抵抗率 0.6Ωcmを、n形においては104Ωcm を目指す。また負の電子親和力の検証を行う。また良好なp/n接合特性を実現し、深紫外光の発光の確認と発光領域の計測を行う。

【中期計画(参考)】

  • ダイヤモンドの持つ優位性を生かした10kV耐圧デバイス、ナノモルレベルの感度を持ち100回繰り返し検知可能なバイオセンサ及び紫外線発光デバイス等のダイヤモンドデバイスを開発する。

《平成17年度計画》

  • ショットキーダイオードを試作し、ダイヤモンドの絶縁破壊電圧や高温動作など優位な特性を活用したデバイス作製に必要なファクタを抽出する。また、生体親和性、化学的耐性に優れたダイヤモンド表面を用いたバイオデバイスを作製するために、ダイヤモンド表面へ生体分子を接合させバイオ機能を賦与する手法を開発する。

【中期計画(参考)】

  • ダイヤモンドのデバイス化に不可欠な大型基板作製のための基盤技術を開発し、1インチ以上の種結晶を合成する。

《平成17年度計画》

  • 大型基板作製へ向けた結晶成長条件を最適化させる基盤技術を開発し、ハーフインチ結晶を合成する。

2-(4) ナノ現象解明のためのシミュレーション技術の開発

 ナノスケールデバイスの動作原理の解明とその設計・製作には、数nmから数100nmのスケールをカバーする高精度かつ高速なナノシミュレーション技術が不可欠である。そのため、ナノシミュレーション技術の開発を行い、分子デバイスや有機デバイス等の作製を支援する。また、より広範なナノ物質の構造、物性、反応やナノ現象等について広範な理論研究を行う。

2-(4)-<1> ナノ物質の構造と機能に関する理論とシミュレーション技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 量子力学及び統計力学に基づくシミュレーション技術を高機能化及び統合化して、ナノデバイス設計のための統合シミュレーションシステムを開発する。

《平成17年度計画》

  • シミュレーション技術の高機能化及びその適用として、
    1)オーダ(N)DFT、有限要素基底DFT、高精度分子動力学法、高精度分子軌道法などの機能を拡大し、ナノ構造体、自己集合化膜、分子磁性体、液体などの大規模系に適用する。
    2)新規電子材料探索のための第一原理電子状態計算コードの開発を継続し、ダイヤモンド中の複合欠陥、半導体-金属界面、a-SiO2などの解析に適用する。
    3)大気中ラジカルの反応、電極及びそのメゾスケール領域での電気化学反応などの解析にとりかかる。
    4)従来の計算手法が不得手としてきた磁性、強相関電子、光応答等の物質系の電子構造を、物性理論と第一原理計算を融合する事により研究する。
    以上のようなシミュレーション技術を統合化する手法の開発に着手する。

【中期計画(参考)】

  • 単一分子を介した電子輸送や単一分子に起因する化学等の問題に適用できる新しいシミュレーション理論を構築する。

《平成17年度計画》

  • ナノ構造電子系における量子伝導を用いたナノデバイスにおいて、その電圧印加時の安定性に重要な役割を果たすと考えられるdephasing効果を解明する。

【中期計画(参考)】

  • ナノ材料やナノ流体等の構造及び機能に関する理論を発展させ、実用的なナノ材料設計及びナノデバイス・プロセスモデリングを行うソフトウェアプラットフォームを構築する。

《平成17年度計画》

  • 分子ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、分子集合系の光電子移動、磁性半導体材料・デバイス、ソフトマター等のナノ材料やナノ流体に対して、第一原理から連続体モデルまで含む構造機能理論を発展させ、実用的な課題について予測力を持たせることを目指す。実験グループとの連携の強化、理論と実験の緊密な比較検討により理論的手法の信頼性向上を図る。分子ナノワイヤを用いた化学センサの分子デザインを行い、実験的実証に貢献する。これらを通じ、上記の分野の少なくとも一つ以上で新しいナノ構造機能の理論予測を提案する。

【中期計画(参考)】

  • ナノスケールの理論研究により、量子コンピューティングを実現する新たな構造及び相転移を高速化する光誘起相転移材料の最適組み合せ構造等の提案を行い、最先端デバイスの開発を先導する。

《平成17年度計画》

  • 量子コンピューティングや光誘起相転移などのナノ構造系固有の機能性や制御性、デバイス応用の可能性を探索、解析する。

3.機能部材の開発による輸送機器及び住居から発生するCO2の削減

 製造業以外で大きな排出源である輸送機器と住居からのCO2排出の削減に材料技術から取り組むため、軽量合金部材の耐熱性向上と大型化する技術を開発し、エンジンと車体の軽量化を実現し、また、高断熱等の機能化建築部材に関する研究開発を行うことにより、建築物の居住性を損なわずにエネルギーの消費低減に貢献する。

3-(1) 耐熱特性を付与した軽量合金部材の開発

 輸送機器の重量を軽減することを目的として、実用的な耐久性を持つ鋳鍛造性と耐クリープ性に優れた耐熱軽量合金及びその加工技術の開発を行い、エンジン部材等への使用を可能にする。

3-(1)-<1> 耐熱性軽量合金の開発

【中期計画(参考)】

  • 軽量金属材料のエンジン部品を実現するため、鋳鍛造部材の製造技術に必要な耐熱合金設計、連続鋳造技術、セミソリッドプロセスによる高品質部材化技術、接合技術及び耐食性向上のためのコーティング技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 軽量金属材料鋳鍛造部材の製造技術を確立するために、マグネシウム合金を対象として、耐熱特性を付与する技術を開発すると共に、鋳鍛造部材の製造技術確立に必要となる鋳造用マグネシウム合金の連続鋳造技術、セミソリッド成形加工における流動性制御技術、大型部材化のための高信頼性接合技術、耐食性向上のためのDLCコーティング技術等の技術開発を行う。

3-(2) 軽量合金材料の大型化と冷間塑性加工を可能とする部材化技術の開発

 輸送機器の車体等を軽量化するため、冷間塑性加工が可能な軽量合金の薄板材とその加工技術を開発し、低コストの軽量合金素形材の生産技術を実現する。

3-(2)-<1> 高加工性軽量合金素形材の開発

【中期計画(参考)】

  • 車体用の軽量金属材料を用いた大型構造部材を製造するために必要な連続鋳造技術、冷間塑性加工プロセスによる部材化技術、集合組織制御による面内異方性を低減する圧延薄板製造技術、接合技術及び耐食性向上のためのコーティング技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 輸送機器の重量を軽減することを目的とした、軽量金属材料構造部材の製造技術を確立するために、高品質Mg合金インゴット作製のため鋳造用Mg合金の連続鋳造技術、Mg合金の成形性向上のための面内異方性低減圧延技術、Mg合金の大型部材化のための高信頼性接合技術、Mg合金の耐食性向上のためのDLCコーティング技術を開発する。

3-(3) 快適性及び省エネルギー性を両立させる高機能建築部材の開発

 住環境の冷暖房の効率を向上させる高断熱部材の開発、我が国の高温多湿な気候風土に適した「調湿材料」等の居住者の快適性を確保する知能化建築部材の開発及びそれらの低コスト化技術の開発を行う。

3-(3)-<1> 省エネルギー型建築部材の開発

【中期計画(参考)】

  • 建築物の空調エネルギーを10%削減するための調光ガラス、木質サッシ、調湿壁、透明断熱材、セラミックス壁及び照明材料等の各種部材の開発及び低コスト化を行う。また、熱収支シミュレーション等を駆使してその省エネルギー効果を検証する。

《平成17年度計画》

  • 空調に係るエネルギーを大幅に節減することのできる省エネルギー型建築部材の実用化を目指し、調光ガラスの耐久性の向上及び大型試料作製技術、木製サッシ普及のための圧密加工及び含浸加工技術の高度化、省エネ効果も評価できる調湿度材料の新規評価法及びイモゴライト等を用いた高性能調湿材開発、リサイクルセラミックス建材への透水性、保水性などの機能付与技術の開発を行う。
  • 照明材料として現行の粉末蛍光体並みの輝度をもつ蛍光ガラスの開発及び蛍光ガラス基材となる多孔質ガラスの量産技術の開発を行う。

4.ものづくりを支援するナノテク・材料共通基盤の整備

 我が国のものづくり産業の国際競争力強化を支援するためには、ものづくりの共通基盤ともいえる先端的な計測・加工技術を開発し、これを国内事業者に普及することが重要となる。そのため、ナノレベルでの精密な計測や加工を可能とする技術や設計した機能をそのまま実現する部材などの開発を行う。さらに、これらの技術を産業に移転するための先端微細加工用共用設備の整備と公開運用を行うほか、加工技術の継承と活用を図るためのデータベース等を作成して、公開する。

4-(1) 先端計測及びデータベース等の共通基盤技術の開発

 機能性材料及び先端計測・加工技術の社会への受容を促進するため、共通的また政策的な基盤の整備を行い、ものづくり産業を支援し、国際競争力の強化に資する。また、加工技術の継承と活用を推進することにより、少子高齢化による熟練技術者の不足問題への対策を行う。さらに、製造環境や作業者の状態等を総合的にモニタリングする技術等を開発し、製造産業の安全と製品の信頼性の向上に貢献する。

4-(1)-<1> 高度ナノ操作・計測技術とナノ構造マテリアルの創成技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 加工と計測との連携を強化するための、プローブ顕微鏡等を応用した複合的計測技術を開発する。また、計測データの解析を支援するナノ構造体のシミュレーション・モデリング法、高精度計測下での生体分子のその場観察と操作技術等の新手法を開発する。

《平成17年度計画》

  • 強磁場、極低温条件下で、空間分解能50nm以下の近接場光学顕微鏡を開発し、量子ビットの実現が期待される高品質半導体量子ナノ構造の光電子励起状態の観察に適用する。結晶表面構造の第一原理計算による電子状態の解明を進め、走査トンネル顕微鏡の原子分解能イメージの解釈学を確立する。
  • エネルギー分散電子顕微鏡を活用して、ナノコンポジット材料における偏析の解明とその材料特性への影響について更に具体例を積み重ね、同顕微鏡技術の有効性を確立すると共に、所定の特性を実現するための材料構造の最適化に貢献する。液中で安定に動作し、生体分子間力の計測を可能とする原子間力顕微鏡を開発する。

【中期計画(参考)】

  • 金属ナノ粒子、ナノコンポジット材料やコポリマー等のナノスケールの微細構造を持ち、特異な物性を発現する新規ナノ材料の開発及び探索を行う。また、ナノ構造材料の形成プロセスと機能的利用を進めるモデリング技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、ナノコンポジット材料、コポリマー等のナノメートルスケールの微細構造に由来する新たな物理的、機械的、化学的特性及び電子、スピン、分子、光物性現象を発現する新規ナノ材料を開発する。これら新規材料を用いた省資源・省エネルギー製造プロセス技術をモデリング技術も含めて開発すると共に、新規材料の利用用途を開拓する。これらを通じ、金属ナノ粒子の表面酸化のサイズ依存性を明確にし、インクジェット等の広範な応用が期待できる低コスト、高機能の金属系導電インクの開発に目処をつける。
  • ブロック共重合体のミクロ相分離を利用した高分子の自己組織ナノ構造の制御プロセス技術を開発し、ナノ構造テンプレート等への応用を図る。ナノメートルスケールの微細構造を持つナノコンポジット高分子の生成技術を更に高度化し、既に市販を進めている製造装置の用途拡大を図る。

4-(1)-<2>新機能部材開発のための基盤技術の開発

【中期計画(参考)】

  • ナノ結晶粒や準安定相の利用等による高性能なエネルギー変換型金属部材及び鉛を用いない新規圧電体等の低環境負荷型セラミックス系材料に関して、材料設計、作製プロセス及び特性評価方法等を開発する。

《平成17年度計画》

  • 金属系では、非平衡相からの微細結晶創製技術を使って、資源生産性や資源循環を重視した元素構成の合金における熱電変換機能あるいは形状記憶機能の発現を調べる。セラミックスを利用した省資源・省エネルギー・無害化技術として、光エネルギーを利用した酸化チタン系の環境浄化機能部材とその性能評価試験法の開発及び無鉛化圧電素子の材料探索と試作及びその性能評価を行う。

【中期計画(参考)】

  • 高次構造制御等により、優れた電磁気的、機械的、熱的及び化学的特性を示す有機部材及び有機無機ハイブリッド部材を開発する。

《平成17年度計画》

  • 機能性有機無機ハイブリッドの開発を目指し、光・電子機能などを有するポリシロキサンやシリカなどのケイ素系ハイブリッドや、ボラジンなどのホウ素系ハイブリッドを合成し、薄膜化や微粒子化を図る。
  • 水性塗料用機能性ポリオレフィンの開発を目指し、ポリオレフィンへの親水性基の導入によるポリマー構造と物性との関係を明らかにする。
  • 有機物質等の吸脱着特性を有する高機能・低環境負荷型ゲル材料の開発を目指し、ゲル素材の合成及びその機能・物性評価を行う。

4-(1)-<3> 加工技能の技術化と情報化支援技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 加工条件や異常診断等に係わる熟練技術者の技能をデジタル化する手法を開発し、その結果をもとに加工技術データベースを構築する。これらの成果を企業に公開することで、要素作業の習得に要する期間の半減等の企業における人材育成への貢献を実務例で実証する。

《平成17年度計画》

  • 企業における技能の継承を目的とする自社データベースを実現するために、技能をデジタル化する手法のプロトタイプを開発する。また、材料組織と加工メカニズムの関係についての解析等を行い、その成果により加工技術データベースの充実を図ると共に技能の技術化を促進する。

【中期計画(参考)】

  • 製造業が自社業務に合った設計・製造ソフトウェアを容易に作成することを可能とするプラットフォームを開発して、1000社以上への導入を目指す。さらに、企業の業務形態に合わせて設計・製造プロセスをシステム化・デジタル化する技術を開発して公開し、現場での運用により効果を確認する。また、設計・製造プロセスにおける性能・品質の多面的評価等を行う技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 設計・製造ソフトウェアのプラットフォームの開発のために、システムの構造や構成に関する規約の整備、ソフトウェア部品群の開発及び製品モデル情報の共有や有効活用を促進する機能の開発を順次行う。また、企業の技能者が実加工の手順を決定する元となる考え方を企業自らの手で抽出するための手法やツールを開発する。

4-(1)-<4> 安全・信頼性基盤技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 製造環境等のモニタリング用として、H2やVOC等の雰囲気ガスや温度を高感度かつ選択的に検出するセンサを開発する。また、作業者の状態を総合的にモニタリングし、作業の安全性と信頼性を保つための予測技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • ガスセンサ及び赤外線センサの高感度化のため、材料の最適化、薄膜プロセスの検討を行い、単素子センサを試作すると共に、ガス拡散シミュレーション、時系列データ不安定性指標の推定法の信頼性の向上を図る。作業者モニタリング用として、汗分析デバイスの試作と顔画像特徴抽出の手法の検討を行う。

【中期計画(参考)】

  • MEMS技術を利用して、通信機能を有する携帯型のセンシングデバイスを開発し、センサネットワークのプロトタイプとして実証する。

《平成17年度計画》

  • 携帯型のセンシング、分析等を実現する要素技術として、センシング部分は共振型カンチレバーのQ値の向上法について検討すると共に、検体ガスのサンプリング及び濃縮のための可動部品を有しないマイクロポンプ及びバルブの試作を行う。

【中期計画(参考)】

  • プローブ特性やデータ処理方法を改良した計測システムの構築により、大面積部材の非破壊検査が現状の10%以内の時間で可能となる技術を開発する。

《平成17年度計画》

  • 時間と分解能のトレードオフのため全数検査や全体検査の行えなかった大物部材や高分解能検査を必要とする製品の信頼性を高めるため、並列計算機を用いた多次元高速フーリエ変換支援の間接計測システムを実現する。実施例として渦電流探傷法及び磁気力顕微鏡のための基盤技術開発を行う。

4-(1)-<5> ナノテクノロジーの社会影響の評価

【中期計画(参考)】

  • ナノテクノロジーの社会影響について、意識調査も含めた総合的な調査を実施して、その結果を広く公表して施策の提言等に資する。ナノテクノロジーの技術的側面と社会的意義及び潜在リスクをバランス良く整理したナノテクについての教材を開発して普及を図る。

《平成17年度計画》

  • 平成16年度に実施した一般人を対象としたナノテクノロジーに関する意識調査の結果を統計的手法によって分析し、わが国におけるナノテクノロジーの社会的認知に関する意識調査の報告書を国際的に発表し、欧米やアジア諸国におけるナノテクノロジーリテラシー向上の議論に貢献する。また、ナノテクノロジーの社会面に焦点をあてた国際ワークショップを開催し、一般の関心の高揚に資する。

4-(2) 先端微細加工用共用設備の整備と公開運用

 ナノテクノロジーやMEMS作製に必要な最先端の微細加工施設を整備し、産業界及び大学の研究者と技術者が利用可能な仕組みを整え、微細加工のファウンドリ・サービス等を実施して、横断的かつ総合的支援制度を推進し、産業界の競争力強化と新産業創出に貢献する。

4-(2)-<1> ナノプロセッシングファウンドリ・サービスの実施

【中期計画(参考)】

  • 共用ナノプロセシング施設をさらに拡充・整備し、支援プログラムを通じて産総研内外に公開することで、ナノテクノロジー研究者・技術者の研究開発支援を充実させる。

《平成17年度計画》

  • ナノテクノロジー総合支援プロジェクト、産総研ナノプロセス支援プロジェクトを継続・発展させて、より密度の高い微細加工・計測支援を実現し、産総研内外に対して、100件以上の技術支援を実現させる。また、中核的産業人材育成プロジェクトを開始し、中小企業の技術者100名に対して、ナノテクノロジーの基礎とその実用展開のトレーニングを実施する。

4-(2)-<2>MEMSファウンドリ・サービスの実施

【中期計画(参考)】

  • 共用MEMSプロセッシング施設をさらに拡充・整備し、産総研内外に公開することで、プロトタイピングを迅速に行うなどにより、研究者・技術者への研究開発支援を行う。

《平成17年度計画》

  • MEMSにおけるシミュレーション、プロセス環境の一層の整備を行い、産業界の広い分野の人材へのMEMS設計・プロセス・評価実習を年4回以上行う。

5.ナノテクノロジーの応用範囲の拡大のための横断的研究の推進

 ナノテクノロジーの基盤技術をバイオテクノロジーへ応用展開し、医療技術等に革新的な進歩をもたらすための融合的な研究開発を行う。そのため、ナノスケールの計測・分析技術等を駆使して、生体分子間の相互作用等の解析を行い、その人工的な制御を可能とする。また、計算機の利用技術の開発によってナノスケールの生体分子のシミュレーションを実用化し、創薬等に寄与する。

5-(1) バイオテクノロジーとの融合による新たな技術分野の開拓

 生体と材料表面とのナノスケールの相互作用を利用したバイオインターフェース技術の開発を行い、創薬、診断及び治療に関わる技術の高度化に貢献する。また、創薬における探索的研究プロセスを大幅に短縮するタンパク質等の複雑な生体分子のシミュレーション技術を開発する。

5-(1)-<1> バイオインターフェース技術の開発

【中期計画(参考)】

  • 標的指向ドラッグデリバリシステムの効果を前臨床段階で確認し、製薬企業への技術移転を図る。

《平成17年度計画》

  • アクティブターゲティングDDSで世界トップレベルの性能を実現。さらに実用レベルの技術を完成し、企業への技術供与契約も行う。試料提供、情報開示料、オプション料などで純粋外部資金1億円以上の獲得を目指す。

【中期計画(参考)】

  • 生体適合セラミックスのナノ構造を制御する新規形成プロセスの開発を行い、人工骨や経皮デバイス等へ応用する。

《平成17年度計画》

  • 従来より簡便な方法でアパタイト-高分子複合体を作製し、アパタイトに生理活性物質を担持する技術を開発する。複合化メカニズムを解明し、得られた材料の有用性を評価する。

【中期計画(参考)】

  • 微小流路における流体現象を活用した診断用チップの実用化を図る。また、超臨界流体の特異性を利用した局所的化学プロセスを開発し、高効率流体化学チップを実現する。

《平成17年度計画》

  • マイクロ流路を利用した高効率・高速な抗原抗体反応の検出チップを開発する。

5-(1)-<2>原子・分子レベルのバイオシミュレーション・モデリング技術の開発

【中期計画(参考)】

  • これまで開発してきたフラグメント分子軌道法等のシミュレーション手法を発展させ、2万個程度の原子からなるタンパク質のような巨大分子の電子状態計算を可能にする。さらに、他のシミュレーション手法と組み合わせて、タンパク質工学や創薬における分子設計への適用を実現する。

《平成17年度計画》

  • FMO法と溶媒モデルを融合して、水溶液中のタンパク質とリガンドの相互作用エネルギーを計算できる方法を開発する。
  • FMO法により、いくつかの1,000原子程度のタンパク質の構造最適化計算を行い、構造精密化に使えることを実証する。
  • FMO法をベースにした精密電子相関理論を開発し、分子間相互作用の高精度計算を可能にする。

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