産総研:ニュース

お知らせ記事2010/04/01

産業技術総合研究所が第3期をスタート

概要

独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)は、2月26日(金)、平成22年度から26年度の5年間で達成すべき業務運営に関する中期目標について、独立行政法人通則法に基づき経済産業大臣から指示を受けた。大臣の指示を踏まえ、産総研において中期目標を達成するための中期計画を作成し、3月29日(月)に経済産業大臣の認可を受けた。

産総研は平成13年の発足以来、基礎的研究の成果を民間企業が行う製品化につなぐため、出口を見据えた基礎から製品化に至る連続的な研究(「本格研究」)を一貫して推進し、我が国のイノベーション創出に大きく貢献してきた。第3期はこれまでの実績を更に発展させ、新成長戦略(基本方針)を踏まえた中期目標及び中期計画に従い、政府として実現を目指している「課題解決型国家」への貢献に向け、以下に示すような「21世紀型課題の解決」「オープンイノベーションハブ機能の強化」を大きな柱に位置づけ、重点的に研究開発等に取り組む。

あわせて、独立行政法人を巡る昨今の情勢を踏まえ、業務運営の効率化にも取り組む。

【第3期の柱】
①21世紀型課題の解決

○経済と環境の両立、国民生活向上等への研究開発による貢献
経済と環境を両立する「グリーン・イノベーション」、国民生活向上のための「ライフ・イノベーション」を推進する。また、産総研の優位性を活かし情報通信技術、材料、部材技術等の革新的な技術開発を推進する。地域においても、地域ニーズを踏まえた国内最高水準の研究開発を行う。
○新時代の産業基盤の整備
計量標準の充実及び高度化、地質情報の整備等とともに、新規技術の性能及び安全性評価、国際標準化等により、産業や社会の「安全・安心」を支える基盤整備を行う。


②オープンイノベーションハブ機能の強化

○新たなイノベーションシステムの構築
産学官が一体となって研究開発や実用化、標準化等を推進するための「場」を産総研が提供する。産総研施設の外部利用、地域の中小企業等やアジア等との連携を含め、オープンイノベーションのハブとなるための取組を推進する。
○イノベーティブな人材養成の推進
我が国の産業技術の向上に資することができる人材を社会に輩出するため、ポスドク等の若手研究者の育成や中小企業等の企業研究者の受入れ等を行う。
 

中期計画の概要

Ⅰ.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
 1.「課題解決型国家」の実現に向けた研究開発の重点分野

世界をリードする「グリーン・イノベーション」、「ライフ・イノベーション」を推進する。また、他国の追従を許さない先端的技術開発を推進する。

 (具体的な数値目標の例)
・太陽光発電の効率を相対比で10%向上
・カーボンナノチューブ生産効率を600倍向上
 

 2.地域活性化の中核としての機能強化

地域センターでは、蓄電池等の地域の産業集積等を踏まえ、研究分野を重点化し、地域経済の競争力を支える最高水準の研究開発を推進する。また、中小企業が行う研究開発から生まれた製品の実証試験・性能評価等を支援する。共同研究や技術研修等の活動を通じて、地域の研究人材を積極的に受け入れ、産業化への橋渡し研究に活躍できる人材育成を行う。

(具体的な数値目標の例)
・第3期中に、共同研究を3,000件以上実施
・第3期中に、技術相談を10,000件以上実施
 

 3.産業や社会の「安全・安心」を支える基盤の整備

国家計量標準の高度化及び地質情報の戦略的整備に取り組む。また、新規技術の性能及び安全性の評価機能を充実させる。さらに、研究開発成果の戦略的な国際標準化、アジアへの展開に取り組む。

(具体的な数値目標の例)
・国際標準化を検討する国際会議にエキスパートを年間100名以上登録
・標準化の素案を、第3期中に100件以上作成。うちアジア諸国との連携により共同で15件以上作成。
 

 4.「知恵」と「人材」を結集した研究開発体制の構築

ナノテクノロジー、太陽光発電、蓄電池、ロボット等の分野において、つくばセンターや地域センターの研究環境を整備すること等を通じて産業界や大学等の多様な人材を結集し、世界をリードする研究開発を推進する。また、クリーンエネルギー技術分野などにおける国際協力を推進する。さらに、ポスドク等の若手研究人材の能力向上や就職の機会を拡大する。

(具体的な数値目標の例)
・産総研の「人」又は産総研という「場」を活用する形で実施される外部資金による研究規模が、第3期終了時までに、運営費交付金の50%以上とする。
・第3期中に、包括研究協力覚書機関との研究ワークショップ等を計50回以上開催
 

 5.研究開発成果の社会への普及

知的財産の重点的な取得と企業への移転、研究開発成果を活用したベンチャー創出支援、企業や一般国民との直接対話を通じた広報の強化に取り組む。

(具体的な数値目標の例)
・第3期終了時までに、特許の実施契約件数800件以上
・一般公開やオープンラボ等を第3期中に200回以上開催
 

Ⅱ.業務運営の効率化に関する事項

 1.業務運営の抜本的効率化

管理費、総人件費等の削減・見直し及び契約状況の点検・見直しを行う。

(具体的な数値目標の例)
・運営費交付金の一般管理費は、毎年度3%以上削減。業務費は、毎年度1%以上の効率化。
・総人件費は、平成22年度までに平成17年度比5%以上削減。平成23年度においても削減等に取り組む。
 

 2.研究活動の高度化のための取組

研究組織及び事業を機動的に見直すとともに、外部からの研究評価を充実させる。また、研究機器や設備の効率的な整備及び活用に取り組む。
 

 3.職員が能力を最大限発揮するための取組

女性や外国人を含む優秀かつ多様な人材の確保・育成を行う。また、職員の能力、職責及び実績の適切な評価に取り組む。

(具体的な数値目標の例)
・研究系の全採用者に占める女性の比率について、15%以上を確保
・専門性向上のため、毎年度300名以上の職員に研修を受講