産総研:ニュース

お知らせ記事2010/01/19

京都大学と産業技術総合研究所との連携協力の推進に係る協定の締結について

調印式の写真
協定締結式
前列  野間口 産総研理事長(左)  松本 京都大学総長(右)

国立大学法人京都大学【総長 松本 紘】(以下、「京都大学」という)と独立行政法人産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下、「産総研」という)は、2010年1月19日、連携協力の推進に係る協定を締結しました。

京都大学は創立(1897年)以来、自由の学風を継承・発展させつつ多元的な課題に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献することを理念とし、高度な教育(知の伝承)、先端的な研究(知の創造)、社会貢献(知の社会還元)を実施しています。一方、産総研は1882年に創立された地質調査所をはじめとする産業技術系の旧国立研究所群を統合して2001年に創立した研究機関で、「持続的発展可能な社会の構築、技術を社会へ」という理念のもとに、産業競争力強化・産業技術政策の地域展開への貢献を目的に、基礎研究から製品化研究まで幅広い連続した研究を実施しています。

京都大学と産総研は、これまでにも共同研究等により各種研究プロジェクトを推進するなど、先端的研究・教育を連携して進めてきました。今般、「学」の中核に位置付けられる京都大学と、この「学」の成果を「産」に橋渡しする位置にある産総研が協定を締結し、科学技術立国にとって必要不可欠な産官学連携をより強固にすることで、優れた「学」の成果の効果的な社会還元を図り、地球規模で拡大しつつある諸問題の解決に大きく貢献します。

1.協定の目的

(1) 「学」の中核に位置付けられる京都大学と、「学」の成果を「産」に橋渡しする位置にある産総研の連携による相乗効果で、研究の実社会への貢献をさらに加速させます。
(2) 国立大学法人と独立行政法人という異なる基盤とその特色を生かし、研究・教育内容の充実、学術・文化の発展、および科学技術の高度化を図ります。
(3) 環境・エネルギー分野や医工融合研究分野等における共同研究、産官学連携による社会貢献、科学技術立国を目指した基礎学術研究などにおいて、研究・教育・社会貢献の迅速な推進を図ります。
(4) 大型研究プロジェクトなどの先端的研究および教育をさらに精力的に推進しうる学術的土壌を醸成します。

2.主な連携内容

(1)研究分野における協力
<1>環境・エネルギー分野における共同研究
地球温暖化問題から低炭素社会への移行が世界的に求められており、二酸化炭素排出量を低減する様々な革新的技術の開発が不可欠です。京都大学と産総研は長年にわたる電池等の研究実績を有し、現在、国の「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発プロジェクト」や「革新型蓄電池先端科学技術基盤研究事業」を共同実施しています。今後、画期的な蓄電池・燃料電池・太陽電池等のエネルギーシステムの研究開発や省エネルギーデバイス開発を連携して推進します。
<2>医工融合研究分野における共同研究
これからの高度化医療の発展を図るためには、医療機器などの一層の技術革新と医学・生物学を基礎とした新しい概念に基づく研究の創出が不可欠で、医学、工学の新たな融合領域を切り拓くことが重要になります。両機関は、京都大学が有する臨床現場の真のニーズを互いに理解しながら、相互の特徴を活かした診断と治療に関わる医工融合研究を遂行できる連携体制を構築します。

 

(2)国際連携および産官学連携・人材育成等における協力
わが国にとって世界、とりわけ近隣諸国との国際連携協力が重要です。京都大学が中心に進めている持続可能な環境・エネルギーフォーラムは、アジア地区における新エネルギー技術と人材育成を目的にしています。フォーラムに発足当初から参画している産総研は、今後、重要なパートナーとして連携活動の推進を目指します。
京都大学は歴史的に優れた人材を社会に供給しており、一方、産総研は産業人材育成への貢献をミッションの1つとしています。両機関は、インターンシップをはじめとする人材交流・研修を実施するとともに、優れた人材の供給という視点から、産業界の協力を得ながら効果的な共同事業を策定いたします。

以上の共同研究・連携事業の展開を通じて、イノベーションシステムの構築や産業競争力の強化にも寄与します。

補足説明資料

連携体制図

研究協力の概念図