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お知らせ記事2007/12/06

産業技術総合研究所とサービス産業生産性協議会が相互協力協定を締結
-「経験と勘」に頼るサービス産業に「科学的・工学的」な手法を導入-

ポイント

  • 産総研の研究ポテンシャルと協議会の連携プラットフォーム機能の効果的な協力がサービス産業の生産性向上につながることが期待できる。
  • 経済産業省が推進するサービス産業生産性向上施策に対する貢献も期待される。

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)とサービス産業生産性協議会【代表幹事 牛尾 治朗】(以下「協議会」という)は、それぞれが進めてきたサービス産業の生産性向上に関する取り組みを連携して行うため、12月6日に相互協力に関する協定書に調印しました。

 この提携によって、産総研の研究ポテンシャルと協議会の連携プラットフォーム機能の効果的な協力がサービス産業の生産性向上につながることが期待できます。また、経済産業省が推進するサービス産業生産性向上施策に対する貢献も期待されます。

調印式の写真
吉川 産総研理事長(左)、岡田 経済産業省商務情報政策局長(中)、
牛尾 サービス産業生産性協議会代表幹事、ウシオ電機(株)代表取締役会長(右)

社会的背景

 サービス産業はわが国の産業の約7割(雇用ベースおよびGDPベース)を占めていますが、製造業や、あるいは他国のサービス産業に比べて、その生産性およびその伸び率が低いことが指摘されています。そのため、サービス産業の生産性を向上して、製造業とともにわが国経済の「双発のエンジン」とすることは、政府において喫緊の課題とされています。

 サービス産業の生産性およびその伸び率が低い原因として従来から、「経験と勘」に依存するところが大きく、また製造業に比べて企業規模も小さく、研究投資もあまり行われていないことが指摘されています。しかし、工学的な手法を取り入れることにより、効率性や付加価値を向上させている企業も存在します。そこで、サービス産業に「科学的・工学的手法」の導入を促進し、「経験と勘」からの脱却を促すことにより、生産性を向上させることが期待できます。

経緯

 協議会は、産業界、教育機関、行政が連携してサービスイノベーション、サービス産業の生産性向上に取り組むための共通プラットフォームとして、本年5月に設立されました。協議会では、「経験と勘」に頼るサービス産業に、「科学的・工学的」な手法を導入することにより、サービス産業の生産性を向上させることを目指しています。

 一方、産総研は、バイオ、ナノテク、IT、環境、エネルギー、地質、計測等の幅広い研究スペクトルを持つ、産業技術に関する大規模な公的研究機関であり、平成13年の設立以来、共同研究、受託研究や技術移転など、積極的に産学連携を推進して、研究成果普及に努めています。

 産総研の持つITや人間工学、計測技術等の研究ポテンシャルは、サービス産業における「科学的・工学的」な手法の研究に合致しています。また、サービスの研究には、「サービスの現場」が必要不可欠であり、その点で企業と研究機関の連携が必須であるといえます。今回の協定締結により産総研と協議会が協力することで、協議会の連携プラットフォームとしての機能が発揮され、産総研とサービス企業との効果的な連携が次々に生み出されて、サービス産業の生産性向上につながることが期待できます。

提携の内容

 産総研と協議会は次に掲げる事柄について、連携・協力を進めていくことで合意しました。

  1. サービス産業の支援
  2. サービス産業の人材育成支援
  3. サービス産業における産学官連携の推進
  4. サービス産業に関する情報交換と情報発信
  5. その他、本協定の目的遂行上必要な事項

今後の予定

 今回の提携により、サービス産業に対し、科学的・工学的手法の導入のための、共同研究、技術移転、人材育成などの支援が容易となります。今後、産学官連携を通じて、サービス産業の生産性向上につながる取組を一層強化していきます。