産総研:ニュース

お知らせ記事2007/05/15

産業技術総合研究所と八十二銀行が相互協力に関する協定を締結
-中小企業の技術経営革新への支援に向けて-

ポイント

  • 産総研と八十二銀行(長野県)は産業振興の相互協力に関する協定を締結した。
  • それぞれの支援の取り組みを協働して行い、地域中小企業の新たな技術革新を目指す。
  • 産総研が地方銀行と協定を締結するのは今回が初めて。

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と、株式会社 八十二銀行【取締役頭取 山浦 愛幸】(以下「八十二銀行」という)は、それぞれが進めてきた産業振興と地域経済の活性化に貢献するための取り組みを連携して行うため、5月15日に相互協力に関する協定書に調印しました。産総研が地方銀行と協定を締結するのは今回が初めてです。

 これまでの、産総研の技術支援による地域貢献と八十二銀行の企業支援に関するそれぞれの取り組みを、今回の協定締結により、相互協力して進められるようになり、中小企業に対し、情報提供、コンサルテーションのみならず、技術支援のニーズ掘り起こしから技術開発支援まで、連続的な支援をすることが可能となります。

 今後、モデルケースを作り上げ、その蓄積を通じて、中小企業の技術経営革新に対する支援を一層強化していきます。

相互協力協定の概要図

社会的背景

 我が国の産業競争力強化を図るため、経済産業省は、地域の中堅・中小企業、ベンチャー企業等の新事業展開やイノベーションの創出を促進し、IT、バイオ、ナノ、環境、ものづくり等の産業集積(産業クラスター)の形成を目指す「産業クラスター計画」を、全国で17プロジェクト推進しています。長野県においても、岡谷・諏訪・松本・伊那市を対象地域とした「地域産業活性化プロジェクト 中央自動車道沿線ネットワーク」、南信地域を対象とした「地域産業活性化プロジェクト 三遠南信ネットワーク」が進められおり、中堅・中小企業への優れたネットワークと情報収集力・仲介能力を有する八十二銀行と協働することにより、企業の技術開発ニーズをより広く収集し、産総研の技術シーズを、中堅・中小企業に技術移転することによる長野発のイノベーション創出等への貢献が期待されています。

経緯

 産総研は、平成13年の発足以来、基礎研究から製品化研究まで幅広い連続した研究「本格研究」を通じて、大学と産業界、あるいは、地域間、国際間を繋ぐハブ(結節点)として、持続的発展可能な社会を支える産業を実現するためのイノベーションの創出を促進してきました。

 八十二銀行と産総研は、これまでそれぞれが進めてきた産業クラスター計画推進、産業振興と地域経済の活性化への貢献を、協働することにより更に促進するため、相互協力協定を締結することになりました。

協定の内容

  • 八十二銀行は、支店網を通じて技術的な支援を要請する中小企業を産総研に紹介します。
  • 産総研は技術的なアドバイスを行うほか、必要に応じて、共同研究、受託研究、技術移転等を行い、当該企業を支援します。
  • 中小企業の技術開発に向けた取り組みを活性化し、新産業を創出することを目的に「技術交流会」等を共同開催します。
  • 連携活動の進捗状況や成果を把握するため、「連絡協議会」を共同で組織します。
  • 有効期間は、締結日から平成22年3月31日までとしますが、双方合意により延長可能です。

今後の予定

 今回の協定締結により、中小企業に対し、情報提供、コンサルテーションのみならず、技術支援のニーズ掘り起こしから技術開発支援まで、連続的に支援することが可能となります。

 今後、モデルケースを作り上げ、その蓄積を通じて、中小企業の経営革新に対する支援を一層強化していきます。

用語の説明

◆本格研究
産総研では、未知現象より新たな知識の発見・解明を目指す研究を「第1種基礎研究」、既知の知識を幅広く選択・融合・適用する研究を「第2種基礎研究」、またプロトタイプなどの社会が利用可能な最終成果物を創り出すための研究を「製品化研究」と呼ぶ。
研究テーマを未来社会像に至るシナリオの中で位置づけて、そのシナリオから派生する具体的な課題に幅広く研究者が参画できる体制を確立し、第2種基礎研究を軸に、第1種基礎研究から製品化研究にいたる連続的・同時並行的に進める研究方法論を「本格研究(Full Research)」と呼ぶ。(詳細情報[参照元へ戻る]