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お知らせ記事2005/02/10

産総研と北海道大学が連携プログラムに関する協定を締結

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)と国立大学法人 北海道大学【総長 中村 睦男】(以下「北大」という)は、両機関の連携による「研究開発を通じた社会への貢献」のため、相互に有する資源を有機的に活かしながら、より効率的で効果的な協力関係を構築することに合意し、2月10日に連携プログラムに関する協定に署名致しました。

 この協定は、広範な研究協力や人材交流を通して互いの得意とするところで補完し合い、世界トップ水準の研究成果を達成するとともに、その成果を迅速に社会へ還元することを目指したものです。

 当面、以下の分野に関する連携プログラムを推進しますが、相互の技術を活かすことが可能なあらゆる分野への発展性にも期待して、着実な前進に向けて真摯に取り組みます。

1.研究協力分野のプログラム

(1)ナノバイオテクノロジー
 バイオテクノロジー分野におけるこれまでの連携活動を基礎に、ナノテクノロジー・材料分野との融合を図り、生命科学において高度な機能を有するバイオマテリアルや生体を模倣した高分子の開発を推進するとともに、医工連携による人に役立つ先進的成果の実現を目指します。具体的には、ナノ構造を制御した高機能バイオマテリアル(人工筋肉等)開発や、細胞培養ナノシート等ナノテクノロジーの応用による医工連携研究を推進します。

(2) 計算科学
 産総研による新しい計算手法およびソフトの開発研究と、北大での先端的実験研究および理論研究を連携することで、独創的なシミュレーション研究を実施し、高い水準の成果の発信を目指します。具体的には、燃料電池の電極反応における触媒開発に関し、分光学的測定とシミュレーションを併用して解析と評価を行います。また、生命科学に関しては、糖鎖構造解析におけるシミュレーション精度の向上の可能性を検討し、ポストゲノム時代の創薬産業に貢献します。

(3)分散型エネルギー
 熱需要の高い寒冷地に適したコジェネレーション中心の分散型エネルギーシステムの導入を目的として、これまでに蓄積された北海道内の気象データやエネルギー需要データ等を活用しながら実証試験を通して、寒冷地独自の分散型エネルギーシステムの構築と評価を行います。

(4)地質科学
 北海道およびその周辺海域において、地球科学に関わる広範な課題について共同研究を推進し、両機関が有する情報および成果を活用することにより地域の安全性や防災力の向上を目指します。具体的には、北海道地域の津波に対する防災力の飛躍的向上を目的に、北海道の公的機関とも協力して津波ハザードマップ等を作成するための研究や、北海道で大規模な地震や火山災害等の自然災害が発生した際に、迅速に国や自治体の要請に対応するため、その原因となった地球科学的現象についての現地調査等に、密接な連携の下に取り組みます。また、これら知見に基づいた国際支援にも積極的に取り組みます。
 

地域連携に関するプログラム

 産総研と北大は各々が有する産学官連携に関するネットワーク、情報、経験・ノウハウを有機的に連携し活用することで、企業への技術移転の促進と地域産業の活性化に貢献します。

 昨年は、両機関を中心に、幾つかの大学、北海道経済連合会、北海道中小企業家同友会、北海道経済産業局等多くの機関が結集した産学官の連携拠点、「R & Bパーク札幌大通サテライト」を札幌市中心部のテレビ塔に近い、大通り公園に面した地に開設しました。同サイトは、これまでも、企業ニーズと大学・公的研究機関の技術シーズのマッチング、技術開発相談、知的財産の活用促進、地域産業技術情報の発信、セミナー開催等、産学官交流の拠点としての活動を行ってきましたが、今回の協定締結により、全国に展開する産総研の研究組織と北大の全学組織の協力が得られるようになるため、その活動がより強化され、地域産業の活性化と新事業の創出への貢献が一層増大することが期待されます。