産総研:ニュース

お知らせ記事2004/04/27

産総研つくばセンターに国内最大の太陽光発電設備が完成
-国内初のメガワット級分散型太陽光発電システムの実証・評価-

ポイント

  • 国内で初めて1MWpを超える太陽光発電の実証設備が完成
  • 1年間に100万kWhの電気エネルギーを供給し、二酸化炭素の排出量を年間約300トン削減できる見込み(つくばセンター・つくば中央の電気使用量の約0.8%、一般家庭約300世帯の電気使用量に相当)
  • 産総研では、今後も引き続き、先進的なエネルギー供給システムを導入し、環境調和型のエネルギー技術の開発を推進する

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)が、かねてより「つくばセンター・つくば中央」に建設中であった「つくばセンター太陽光発電設備」がこのほど竣工致しました。

 つくばセンター太陽光発電設備は、平成14年度補正予算「分散型エネルギー供給システム実証プラント導入のための高度化改修事業」の一環として、最高レベルの対環境性と省エネルギー性を有したエネルギー供給システムの一部として整備したものです。本設備の完成により、産総研つくばセンター・つくば中央では、太陽エネルギーからのクリーンな電気が年間100万kWh(当該地区の年間電気使用量の約0.8%、一般家庭約300世帯1)の年間電気使用量に相当)供給され、二酸化炭素の排出量が年間約300トン2)削減される見込みです。

 産総研は、全国の研究拠点でこれまでにも定格出力の合計で約500kWの太陽光発電システムを導入してきました。本設備は、新たに国内最大規模となる定格出力844kWの分散型太陽光発電システムをつくばセンター・つくば中央に導入したものです。既存の太陽光発電システムと合わせると、太陽電池の定格出力は、つくばセンター・つくば中央だけで1MWp3)(メガワット・ピーク:1,000kWp)を超えました。

 今回導入された太陽電池パネルは全部で約5,600枚(約6,500m2)にのぼり、総面積はサッカーグラウンド1面分(つくばセンター・つくば中央敷地面積の約0.7%)に相当します。これを、二酸化炭素の吸収能力と等しい森林面積に換算すると、つくばセンター・つくば中央の約1/4の敷地面積(240,000m24)に相当します。太陽電池パネルは、単結晶シリコン型・多結晶シリコン型・ヘテロ接合型・アモルファスシリコン型の4種類、9仕様を採用しています。太陽電池の直流出力を交流に変換するパワーコンディショナは、4kWユニットの7機種211台からなり、出力は構内配電網に連系されています。わが国は、2000年から太陽光発電の生産量と導入量で世界一となっていますが、この「つくばセンター太陽光発電設備」は、わが国の最新太陽光発電技術を一堂に集め、世界に向けてアピールするためのパビリオンと言えます。また、本設備には、運転特性記録用計測器と気象計測器が設置されており、多面的な特性評価が可能となっています。

 わが国の2010年における太陽光発電の導入目標は、現在の64万KW(IEA(国際エネルギー機関)の最新統計による)の約7倍である482万kW(総合資源エネルギー調査会「長期エネルギー需給見通し」による)です。目標達成までの過程で、太陽光発電システムが地域コミュニティに集中的に導入されていくことが予想されており、このメガワット級発電出力の「つくばセンター太陽光発電設備」はその先駆的なモデルケースとなります。産総研では、今後も引き続き、先進的なエネルギー供給システムを導入して最高レベルの対環境性と省エネルギー性を実証・評価すると共に、環境調和型のエネルギー技術の研究開発を推進して行きます。

1)一般家庭(標準4人世帯)の年間電気使用量を3,400kWhとして計算。
2)電力会社の二酸化炭素排出源単位0.036kg/kWhから、太陽光発電システム製造時の二酸化炭素排出源単位0.007kg/kWhを差し引いた値(0.029kg/kWh)と仮定して計算。
(修正:電力会社の二酸化炭素排出源単位
0.36kg/kWhから、太陽光発電システム製造時の二酸化炭素排出源単位0.07kg/kWhを差し引いた値(0.29kg/kWh)と仮定して計算。)
3)Wp(ワット・ピーク)とは、標準試験条件(日射強度1,000W/
m2、エアマス1.5、太陽電池温度25℃)の状態に換算した太陽電池パネルの最大出力の単位。
4)森林1
m2の二酸化炭素吸収能力を約1kgと仮定して計算。

施設概要

『 つくばセンター太陽光発電設備 』概要

つくばセンター太陽光発電設備の年間予想発電量のグラフ
つくばセンター太陽光発電設備の年間予想発電量


目的: 「分散型エネルギー供給システム実証プラント導入のための高度化改修事業」において、対環境性と省エネルギー性に優れた最新のエネルギー技術を実証・評価する。
予算: 約8億円(平成14年度補正予算)
場所: 独立行政法人 産業技術総合研究所 つくばセンター つくば中央
(茨城県つくば市東1-1-1 中央第1 )
名称: つくばセンター太陽光発電設備
概要: 太陽電池 総定格出力:869kWp(パネル約5,600枚)
パワーコンディショナ 総定格出力:844kW(4kWユニット211台)
平成16年3月竣工
特徴: ・ 4kWの分散型太陽光発電システム211台で構成された国内最大の太陽光発電設備。
・ 単結晶シリコン型・多結晶シリコン型・ヘテロ接合型・アモルファスシリコン型の4種類、9仕様の太陽電池パネルを採用した太陽光発電パビリオン。
・ 太陽光発電の発電量などの運転状態、日射量などの気象、構内電力需要等を計測し、太陽光発電の多面的な評価(運転性能やピークカット効果など)が可能。

主要設備

エネルギーセンターの写真

 エネルギーセンター

 エネルギーセンターの、のり面を利用した太陽光発電システムです。遊休スペースを有効に活用し、今後わが国で導入が期待されている河川堤防や休耕田への太陽光発電システムの利用に1つの方法を提案しています。

 南・東・西のり面:104kW
 屋上部:36kW
 地上部:92kW
          合計 232kW
太陽光発電パビリオン「太陽の広場」の写真
 太陽光発電パビリオン「太陽の広場」

 6仕様、4種類(単結晶シリコン型・多結晶シリコン型・ヘテロ接合型・アモルファスシリコン型)の太陽電池パネルによる太陽光発電システムを一カ所に配置しました。

 単結晶シリコン型:16kW
 多結晶シリコン型:48kW
 ヘテロ接合型:16kW
 アモルファスシリコン型:16kW
             合計 96kW
パーキング融合型太陽光発電システムの写真  パーキング融合型太陽光発電システム

 駐車場に停車する車の日よけとなる屋根を兼ねた、遊休スペースを有効に活用した一石二鳥のパーキング融合型太陽光発電システムです。

 第2エリア:96kW
 第3エリア:80kW
 第7エリア:36kW
          合計 212kW
屋上設置の太陽光発電システムの写真  屋上設置の太陽光発電システム
  (写真は中央第7エリア)

 つくばセンター第1、第2、第3、第7の建物屋上に、合計300kWの太陽光発電システムが設置されました。

 第1エリア: 32kW
 第2エリア:160kW
 第3エリア: 20kW
 第7エリア: 88kW
          合計 300 kW
産総研つくばセンターの正面を飾る「太陽の門」の写真 産総研つくばセンターの正面を飾る「太陽の門」

 透過型太陽電池モジュールを利用し、産総研の正面玄関を美しく飾ると同時に、つくばセンター太陽光発電設備の入り口(門)となります。また、通勤バス停の屋根を兼ね、夜間にはライトアップされます。

 太陽の門:4kW