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お知らせ記事2004/04/01

「平面ディスプレイ超先端研究センター」が完成

ポイント

  • 独立行政法人 産業技術総合研究所が整備した、新しい産学官連携の場としての『平面ディスプレイ超先端研究センター』が完成
  • 30型以上のHDTVクラスの高精細平面ディスプレイを20万円以下で実現可能とするための製造技術に関する研究開発を実施
  • 施設、設備一体として、有機物汚染、微振動、電源電位のゆらぎ等のプロセス阻害要因を極力排除した最高の研究環境を実現
  • 省資源・省エネルギーを目指した製造技術開発を推進

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という。)が、平成14年8月から宮城県仙台市泉区に建設を進めてまいりました「平面ディスプレイ超先端研究センター」が平成16年3月末日に竣工いたしました。同センターは、経済産業省の平成13年度第2次補正予算で整備したものであり、地上2階建て延床面積約9,760m2で、約2,500m2のクリーンルーム(クラス1,000、一部クラス10)を有した研究施設であります。

 産総研は、株式会社フューチャービジョン【代表取締役社長 島 亨】(パネルメーカー・装置メーカー・材料メーカー・建設関係の国内企業二十数社の共同出資会社)と共同で「大型FPD連携研究体【連携研究体長 小園 裕三】」を構成し、同センターにおいて国内液晶産業の圧倒的な国際競争力獲得を目標とし、具体的には、「30型以上のHDTVクラスの高精細液晶ディスプレイを20万円以下で実現できる製造技術の確立」を目指し、研究開発を推進していきます。なお、株式会社フューチャービジョンは、東北大学のサポートを受けて研究を実施していくことになっています。

 本施設の特長としては、クリーンルームを構成する材料、電気、機械の各設備に、徹底した有機物汚染対策、電源電位のゆらぎ対策、微振動対策等を施し、施設・研究開発設備一体として、製造プロセスにおける阻害要因を極力排除した他に類を見ない研究環境を実現しています。

 同研究センターにおける主な研究内容としては、投資生産性の大幅向上、工場面積の大幅縮小、電力・薬液・ガス消費量の大幅低減を目指すために、下記の研究を進めていきます。

 (1) 大型TFT基板用低コスト製造装置・プロセスの研究
 (2) 低コストの液晶ディスプレイ構成部材の開発、製造プロセス簡略化の研究
 (3) 工場生産性の解析手法に関する研究、高電圧給電、クリーンルーム内不活性ガス消火法の研究

施設概要

平面ディスプレイ超先端研究センターの写真

独立行政法人 産業技術総合研究所
平面ディスプレイ超先端研究センター
SARF (Super Advanced Research Center for Flat Panel Display)

■建設予算: 153億円(平成13年度補正予算)
■建設場所: 宮城県仙台市泉区七北田字大沢大ヶ沢132-8
■施工者: 大成・TEL・FV共同企業体
■建物概要: 鉄骨造 2階建て
敷地面積 21,490m2、延床面積 9,760m2、建築面積 5,604m2
クリーンルーム面積 約2,500m2(クラス1,000、一部クラス10)
平成16年3月末竣工
■設備概要 1.大型FPD製造設備
 大型TFT基板製造装置、部材関連設備

2.大型FPD用検査設備
 膜厚測定装置、異物検査装置、長寸法測定機、外観検査顕微鏡パターン検査装置、膜ムラ検査装置

3.その他設備
 情報状態管理システム、自動搬送設備、洗浄装置

用語の説明

◆FPD(Flat Panel Display
平面ディスプレイの略で、奥行きが短くかつ、画面が平坦な表示方式を用いたディスプレイの総称。大型のテレビ用途としては、液晶ディスプレイとプラズマディスプレイが主流になっている。[参照元へ戻る]
◆HDTV(High Definition Television
高精細テレビの略で、走査線の数を増やしてきめの細かい高画質を可能にする次世代テレビ表示方式の総称。日本の高精細テレビはアナログからデジタルのハイビジョンへの移行が始まっている。[参照元へ戻る]
◆TFT(Thin Film Transistor
元々は薄膜状のトランジスタのことであるが、この薄膜トランジスタを利用したものを指すこともある。ガラス基板上などにアモルファスシリコンなどの半導体膜で構築したトランジスタで、液晶ディスプレイなどの表示装置に多く用いられている。[参照元へ戻る]