産総研:ニュース

お知らせ記事2003/04/01

産総研&北海道大学発ベンチャー「株式会社バイオイミュランス」を設立
-癌、アレルギー、自己免疫疾患の新たな診断方法、治療方法の確立に期待-

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)の「ベンチャー支援任用制度」を活用した第1号ベンチャー企業「 株式会社バイオイミュランス 」が平成15年4月10日に設立されます。同社は、北海道大学及び産総研の研究成果の技術移転を受け、癌、アレルギー、自己免疫疾患等の新しい診断方法、診断薬や細胞による治療を中心とした新しい治療方法、治療薬の開発・製造を行うバイオベンチャーです。本ベンチャーは、「産総研ベンチャー支援任用制度を活用した第1号ベンチャー」であると同時に、「道内で初めての産総研&大学発ベンチャー」です。

 代表取締役には、富樫 裕二 氏(平成14年8月1日~平成15年3月31日まで、産総研にベンチャー嘱託職員として在籍)が就任(産総研ベンチャー嘱託職員による創業第1号)し、研究開発担当取締役には、北海道大学遺伝子病制御研究所 西村 孝司 教授 ならびに 同大学院 医学研究科 小池 隆夫 教授 が就任する予定です。また、「AISTベンチャー企業」の認定が内定しており、産総研北海道センター「バイオベンチャー育成センター」の施設及び研究設備を活用し、産総研糖鎖工学研究センター【センター長 地神 芳文】、北海道大学、札幌医科大学等との共同研究を実施しつつ、事業展開を図る予定です。

 なお、同社には、北海道ティー・エル・オー株式会社【取締役社長 泉 誠二】(技術移転機関:以下「北海道TLO」という)が、ベンチャーの円滑な設立のために設けられた「大学発ベンチャー経営等支援事業(経済産業省)」を活用して、ビジネスモデルやビジネスプランの策定のための支援を行いました。さらに、北海道TLOは、本ベンチャーの中核となる 北海道大学 西村教授 らの研究成果を実用化するために、大学が民間企業・民間病院等と連携して行う研究開発を支援する「大学発事業創出実用化研究開発事業(経済産業省)」の管理業務を行って参ります。

会社の概要

企業名 株式会社バイオイミュランス
設立予定日 平成15年4月10日
住所 〒062-8517 札幌市豊平区月寒東2条17丁目2-1
独立行政法人 産業技術総合研究所北海道センター内
資本金 2500万円
株主構成 個人(大学教官他)84%
法人(投資事業組合「北洋ベンチャーファンド1号」他)16%
※「北洋ベンチャーファンド1号」の第1号投資案件

役員構成(予定)
代表取締役: 富樫 裕二(3月31日付産総研ベンチャー嘱託職員退職)
取締役: 小砂 憲一((株)アミノアップ化学 代表取締役社長)
取締役: 西村 孝司(北海道大学 遺伝子病制御研究所 免疫制御分野 教授)
取締役: 小池 隆夫(北海道大学 大学院医学研究科 免疫病態内科学分野 教授)
取締役: 末富  弘(北海道ティー・エル・オー(株) 総務部長・営業開発部長)
監査役: 牛嶋 和夫((株)むらずみ経営 常務取締役、経営コンサルタント)
最高顧問: 武井 正直((株)北洋銀行 取締役会長)
従業員数 5名
 

事業内容

 株式会社バイオイミュランスは、癌、アレルギー、自己免疫疾患等の難治性疾患に対する免疫療法の最先端治療を確立させ、広く世間に普及させることにより、健康寿命増進の実現に向け社会貢献することを目指しており、以下の事業を展開します。

  1. 癌、アレルギー、自己免疫疾患等の免疫学的検査(Th1/Th2免疫バランス検査)
  2. 癌、アレルギー、自己免疫疾患等のバイオセラピーに用いる細胞の加工
  3. 疾患の研究、検査、治療に関わる骨髄細胞、リンパ球、臍帯血等の保存・管理
  4. 抗体、サイトカイン、遺伝子等の試薬の販売                --等

事業内容の図

各種支援策の活用

独立行政法人 産業技術総合研究所「ベンチャー支援任用制度」
 産総研外の研究者・技術者が、産総研職員との連携のもと産総研の技術ポテンシャルを活用して研究を進めることによって3年以内に起業化を図ろうとする場合、その者を産総研職員として任用した上で技術開発費を支給し、その他の様々なサポートと合わせて「ベンチャー創業のために必要な技術開発の促進」「起業家の身分の安定化」を図り、ベンチャー創業を目指す研究者・技術者を支援する制度です。平成14年度は、本制度により3名を採用しました。
  採用者 :富樫 裕二(前職:北海道大学 遺伝子病制御研究所 免疫制御分野 助手)
  任用期間:平成14年8月1日から平成15年3月31日
  参考(2002年8月1日付プレスリリース)

AISTベンチャー企業
 産総研の技術シーズや技術ポテンシャルを活用して、製品化・事業化を目指しているベンチャー企業の内、産総研の支援を希望する企業が、一定の基準審査をクリアした上で認定される制度です。
産総研から各種の支援措置を受けられます。

バイオベンチャー育成センター
 産総研北海道センター内に、平成14年4月15日付けで設立された、産総研内外の技術シーズを用いたバイオ関連ベンチャーの支援を目的とした施設です。
 専属のインキュベーションマネージャーを配置し、外部の専門家3名から構成されるインキュベーションボードを設置したのは、国内初です。

経済産業省「大学発ベンチャー経営等支援事業」
 優れた技術を有するものの、経営面でのノウハウに欠けがちな大学発ベンチャーを志す研究者、ポスドク学生等に対して、大学発ベンチャーの創業準備期及び創業初期の経営面でのリスクを軽減するために、(社)発明協会から経営・財務・法務の専門家を派遣し経営等支援サービスを実施する制度です。
  派遣先  :北海道ティー・エル・オー株式会社
  支援対象者:バイオイミュランス
  支援期間 :平成13年度・14年度

経済産業省「大学発事業創出実用化研究開発事業」
 「大学発ベンチャー1000社」計画の一環として、大学等における研究成果の技術移転による事業化を促し、新たな産業や雇用を創出することを目的として平成14年度から実施されており、民間事業者と大学等が連携して行う事業化可能性を探索するための研究開発を支援する制度です。
  申請者    :北海道ティー・エル・オー株式会社
  研究開発代表者:北海道大学 遺伝子病制御研究所 教授 西村 孝司
  補助事業年度 :平成14年度・15年度・16年度(予定)