産総研 - ニュース お知らせ

お知らせ記事2003/10/01

産総研と伊藤忠、包括提携
-先端技術分野で中小・中堅企業を支援-

概要

 独立行政法人産業技術総合研究所(以下 産総研)と伊藤忠商事株式会社(以下伊藤忠)は、先端技術分野で中小・中堅企業を支援・育成するために、本日(平成15年10月1日)付で包括的提携協定書を締結しました。

提携の目的

 21世紀のわが国の産業にとって、その屋台骨を支える中小・中堅企業が、激化する国内外での競争に打ち勝つためには、先端技術分野へ展開することが不可欠になっています。そのためには、技術開発、人材、資金、マーケティングなど多角的な支援が必要とされます。

 産総研と伊藤忠はこのような状況を踏まえ、このたびそれぞれがもつ資源を有効に生かした包括的提携協定書を締結し、中小・中堅企業の新たな展開を支援することとしました。わが国最大の公的研究機関である産総研が総合商社と包括的な提携をするのは、今回が初めてです。

提携の骨子

 ライフサイエンス、ナノテク・材料・製造、情報通信、環境・エネルギー、地質・海洋、などの先端技術分野を対象に、伊藤忠は、中小・中堅企業の研究開発ニーズ、或いはマーケットニーズに関する伊藤忠の機動的な情報網を活かして、全国から共同研究を求める有望な中小・中堅企業を発掘し産総研に斡旋します。また、適宜研究開発資金を提供します。一方産総研は、広範な研究開発能力や技術の蓄積を活かし、中小・中堅企業が求める新規技術開発に協力します。また産総研の持つ種々の中小企業支援策を適宜活用します。

 斡旋される技術開発案件は年間5-10件程度、用意する資金は数億円を見込んでいます。協定期間は当初平成17年3月末までですが、問題がなければそのまま継続する予定です。伊藤忠は斡旋に伴い、発生する知的財産権、特許実施料、技術移転料などの一部を得るほか、当該技術の展開に当たって事業化、販売、投資に協力します。発生する知的財産権などの帰属は、各案件ごとに、共同研究契約にて定められます。

産総研・伊藤忠の提携スキーム図
産総研・伊藤忠の提携スキーム

提携の意義

 産総研にとっては、総合商社である伊藤忠のネットワーク、情報及び機能を活用し、中小・中堅企業支援、並びに技術移転の推進を拡大出来ることとなり、また伊藤忠のビジネス感覚や市場知識を活かし、マーケットを見据えた技術、即ち売れる技術の研究開発を推進できます。

 伊藤忠にとっては、産総研の研究開発資源を活用して中小・中堅企業との先端技術共同研究を推進し、マーケット開発や海外取引などを通じて中小・中堅企業とのビジネスを拡大出来ることになります。伊藤忠が中心になり立ち上げた“がんばれ日本企業ファンド“とも協調し、中小・中堅企業向けに投資するなど、資金面や企業成長戦略面でも支援が可能となります。

具体的共同研究案件候補

 産総研と伊藤忠は、既に、具体的な共同研究案件候補につき、話し合いを始めており、(株)KITANO(徳島県小松島市)との、「DNAマイクロディスクシステムに関する共同研究」の可能性を検討しています。また、(株)アースシップ(東京都文京区)との、「空気サイクルの空調利用に関する共同研究」の可能性の検討もしています。

 このように、わが国最大の公的研究機関と、わが国を代表する総合商社による提携及び中小・中堅企業支援は、従来の産学官連携の枠を越えた新しいビジネスモデルであり、わが国の中小・中堅企業の活性化に貢献するものと期待しています。