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お知らせ

2018/01/01

理事長年頭所感-新春に想う 2018-

年頭所感の中鉢理事長画像


あけましておめでとうございます。
日頃は、産業技術総合研究所(産総研)の活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。

特定国立研究開発法人として世界水準の研究開発を推進

産総研は2016年10月施行の特別措置法により、理化学研究所、物質・材料研究機構と共に特定国立研究開発法人に指定されました。産総研は、これまで以上に、わが国の科学技術水準の向上を図り、社会と経済の発展に寄与することが期待されています。

また、2017年3月には、世界的な報道機関であるロイターが、学術論文や特許情報を基にイノベーションを牽引する世界の国立研究機関ランキングを発表し、産総研は世界の名だたる研究機関と肩を並べ、第5位の研究機関と評価されました。

私たちは社会の大きな期待、高い評価に応えるため、世界水準の研究開発活動とそれを推進する人材育成に務め、産学官が連携してイノベーションを創出するナショナルシステムの中核機関としての役割を担ってまいります。

産総研が進めるオープンプラットフォームと技術の橋渡し

産総研は2001年の設立当初から、「社会の中で、社会のために」をスローガンとして活動してきました。この実現のためには、産総研がその研究成果を産業界に橋渡しし、社会への還元を進める必要があります。このため、研究の目的を明確に定める「目的基礎研究」と研究成果を効率的に産業界に移管する「技術の橋渡し」の仕組みづくりに取り組んでまいりました。

産総研福島再生可能エネルギー研究所、臨海副都心バイオ・IT融合研究所は、それぞれ設立当初からオープンイノベーションプラットフォームと位置づけ、外部からの研究者が産総研と共同で研究開発を行うことができる研究環境の整備を進めてまいりました。

昨年度より、大学構内に「オープンイノベーションラボラトリ」(OIL)と名付けた産総研の研究室を設置し、大学との共同研究を推進しています。このOILは、各大学が得意とする基礎的な研究活動と産総研の強みである産業化技術を融合させることで、基礎から応用研究、実証・実用化開発までを一気通貫に行い、研究開発のスピードアップを図るものです。これまで全国7大学に設置し、活動を展開しています。

企業との連携については、企業から提供された資金を基に、パートナー企業名を冠した連携研究室、通称「冠ラボ」を産総研内に設置しています。これは個別企業のニーズに即した研究開発を効率的に進めるために、企業と産総研の研究者が協働する仕組みで、これまでに8企業と連携研究室を設立し、新たな事業や商品のシーズ開発を進めています。

イノベーション創出の基盤-人材育成と活用

人材の育成と活用は、研究活動とイノベーション創出の基盤です。産総研は、人材活用・育成も活動の中心に据えて、様々な取り組みを行っています。

とくに次世代を担う若手の研究者を育成することは、将来の日本の科学技術発展のために最重要ともいえる課題です。産総研は、ポスドクや大学院生を対象に、研究活動と企業実務を実体験できるイノベーションスクールを毎年開講し、企業や研究機関の現場で即戦力として活躍できる人材を養成しています。

また、研究職を志望する、有能で意欲ある大学院生の経済的基盤を支援するため、リサーチアシスタント制度を設けています。この制度は、産総研が大学院生を雇用し、所内の研究業務に参画してもらうことで、経済的な問題を軽減し、優れた研究人材を育成することを目指しています。

人材育成には、外部との人材交流も重要な要素です。人材交流を促進するため、クロスアポイントメント制度を整備・活用しています。この制度により、大学や他機関から研究者を招聘すると同時に、産総研の研究者が他の機関で研究活動に従事することで、交流が促進され、各々の研究と技術が融合し、発展することを期待しています。

産総研はダイバーシティの推進、特に女性の研究者の採用・育成と女性管理職登用にも力を注いでいます。女性が活躍できる職場は、ワークライフバランスが整備され、全職員にとっても働きやすい環境となります。産総研はそのための制度作りを進めています。

地域センターを中核に地域社会の発展に貢献する

産総研は地域イノベーションの拠点として、全国7か所に地域センターを有し、それぞれの地域特性やニーズに合った研究開発に重点的に取り組み、その成果を地域の企業や社会に還元しています。

産総研はこれら地方企業のニーズに合致する研究開発を、地域センターだけでなくオール産総研で支援する体制を整える一方、大学や他の研究機関との協力関係も積極的に構築しています。加えて、金融機関との協力関係も築きながら、人・技術・資金が三位一体となった支援体制で地方発のイノベーションを創出し、地域企業と地域経済の活性化に取り組んでいます。

持続的な社会構築に貢献する

近時、ITやAI(人工知能)技術の発達により、私たちの社会が新たなステージに入ることが予想されるとして、Industry 4.0あるいはSociety 5.0と呼ばれる未来社会構想が活発に議論されるようになってきました。私たち産総研は、この未来社会構想の中でも、科学技術の研究開発により、中核的な役割を務めてまいりたいと考えています。

これまで、科学技術は産業と経済の飛躍的な発展を推進し、豊かな社会を作り上げてきました。その一方で、地球温暖化は進み、天然資源は枯渇し始めました。技術の発達がもたらす負の側面が、私たちの未来に対するリスクとして顕在化しています。産総研は、公的機関として、これらの負の側面とも正面から向き合い、産業と社会が健全な形で発展する、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

本年も益々のご支援とご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。


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