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発表・掲載日:2006/10/18

等身大ヒューマノイドロボット用多指ハンドの開発


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写真 近年、数多くの等身大ヒューマノイドロボットが登場し、その実用化に対する期待が大いに高まっていますが、現状のヒューマノイドによる作業性能はあまり高いものとは言えません。その理由の一つとして、現状の等身大ヒューマノイドのハンドがある作業に特化した専用ハンドや外観を重視したハンドであることが挙げられます。このため、人間と同じように汎用性の高い多指を有する手を搭載して、作業性能を向上させることもヒューマノイドロボットの実用化に向けた重要な技術課題の一つとなっています。

 多数の指を持つ多指ハンドの研究開発は、ヒューマノイドロボット自身の研究開発よりも古くから行われており、これまでにも多数の研究が行われてきました。しかし、多指ハンドをヒューマノイドロボットに搭載するには、大きすぎたり、十分な力を指先に備えられないものがほとんどでした。

 今回、産総研は成人男性の平均的な手とほぼ同じ大きさで、十分な指先力を有するヒューマノイドロボット用の多指ハンドの開発に成功しました。(写真は、今回開発した多指ハンドを、実環境で働く人間型ロボット試作機HRP-3Pの右手に装着した状態です)

 今回の成功は、指の動作をスムースにするための低バックラッシュ機構、十分な指先力を得るための駆動機構、指先力を関知する小型センサ、神経系統に相当する通信機能を備えた多指ハンド用の分散コントローラを新たに開発し、実現できたことによります。

 今後、今回開発した多指ハンドの基本動作試験ならびに評価試験を通して、機械的な機構や制御ソフトウェアの修正を行い、等身大のヒューマノイドロボット用の手を実現し、人間と同じような作業を行える実用的なロボットの完成を目指します。

 開発した多指ハンドの基本仕様は以下のとおりです。

  • 成人男性と同程度の寸法
    対人親和性の観点から、等身大ヒューマノイドに搭載して違和感の無い大きさを実現。成人男性の平均寸法(手長[手首-指先間の長さ]:180mm程度、手幅[親指を除く指の根元部分の幅]:84mm程度)と同程度。
  • 指先力
    人間が指で押す操作力:15N(ニュートン)程度の指先力の実現。
    トルク伝達効率を55%と仮定時に、指が伸びた状態で指腹部に最大約5N程度、指が曲がった状態(末節リンクと基節リンクが直交する状態)で指先部に最大約15N程度の指先力を実現。
  • 低バックラッシュ
    高精度な指先位置制御と操り制御を実現するため、サーボモータと、ハーモニックドライブ減速機による駆動機構を基本とした、低バックラッシュ機構を実現。
  • 関節構造
    人間に類似した動きを実現するため、直交2軸を有するMP 関節[中手指節関節]を備え、DIP 関節[遠位指節間関節]がPIP 関節[近位指節間関節]に連動して動き、3 自由度[4 関節]/指を備えた関節構造を実現。ただし、親指に関しては、4 自由度[5 関節]
  • 指本数
    把持した対象物に3 軸並進と3 軸回転の運動を、冗長能動自由度を持って与えられるように、3自由度の指を3、4自由度の指を1
  • 指先力センサ
    高い操り性能を実現するため、指先に力センサを搭載。
  • モジュール化に向けた取り組み
    モジュール化に向け、アクチュエータ、メインの分散コントローラ、モータドライバ等を多指ハンドの「甲」部分に内蔵化。ただし、駆動電源は、等身大ヒューマノイドに内蔵のバッテリーを使用することを想定し、外部から供給。
  • 通信機能
    等身大ヒューマノイド搭載時に、ヒューマノイド体内のホストコントローラと多指ハンド用の分散コントローラ間での通信を実現。

写真

今回開発した多指ハンドを右手に装着

関連情報

2005年9月8日 発表(プレスリリース)
実環境で働く人間型ロボット試作機HRP-3Pの発表


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