産総研:理事長挨拶

石村 和彦

国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)は、1882 年に創設された農商務省地質調査所を発祥とし、以来 140 年にわたりわが国の発展と国民生活の向上に寄与するために研究活動を続けてまいりました。

気候変動と自然災害、先進国が抱える少子高齢化、なおも拡大が続く感染症、緊張の高まる国際情勢と経済安全保障――。現在、日本のみならず全世界が、複雑化したさまざまな社会課題に直面しています。私たち産総研のミッションは、科学技術によってイノベーションを生み出し、これらの社会課題を解決へと導くこと、また、日本の産業競争力の強化に貢献することです。

このミッションを達成するために、産総研は自らの将来像を日本全体の「ナショナル・イノベーション・エコシステムの中核」と定めました。そして、2030 年にその姿を実現するにはいま何をすべきか検討し、経営改革を進めています。
その一つが社会実装本部の新設です。ミッション達成には、産業界と連携して革新的な技術を製品やサービスの形で確実に社会実装することが必要です。社会実装本部が担う事業構想、実証プロジェクトの実施、組織取組型スタートアップの推進という3つの機能によって、研究成果を効率的に社会実装に結びつけたいと考えています。また、この機能をさらに強化するために新たな法人の設立も視野に入れています。

産総研はいま、大きな改革の途上にあります。産総研の魅力をより一層高め、社会から求められる研究所であり続けられるよう努めてまいります。
皆様のご理解とますますのご支援をお願い申し上げます。

国立研究開発法人産業技術総合研究所
理事長 兼 最高執行責任者
石村 和彦(いしむら かずひこ)
ISHIMURA Kazuhiko